海外の通販サイトが実践している ユニークなコンテンツページ作り 5つの工夫

EC(Eコマース)

Google が2011年にパンダアップデートを導入し、『来訪者に役立つ、高品質で優れたコンテンツを上位に表示出来るようにする』ことを目指した検索アルゴリズムの刷新を行いました。この方針は現在も、今後も変わることはないでしょう。

本来あるべき理想の形に検索エンジンは向かっているに過ぎないとはいえ、通販サイトも対応に迫られることになりました。単純にメーカーや卸からもらった商品説明文をコピーしただけでは他の通販サイトとほぼ同一コンテンツになってしまい独自色が皆無です。商品名と型番、写真、価格だけが掲載されたページも問題外です。しかし、独自性のあるコンテンツを作るといっても商品点数が少ないならまだしも、数百、数千単位の商品それぞれのオリジナルで価値のあるコンテンツを作成していくことは決して容易ではありません。

こうした悩みは日本の通販事業を営む会社のSEO担当者からもよく相談されますが、海外でも事情は同じです。海外の通販事業者も、あの手この手の工夫をして、独自性の高いコンテンツを継続的に発信していく仕組みを取り入れています。

では、どのようなことを実践しているのでしょうか。

1. 人気・話題の商品に集中してコンテンツを作成する

まず第1に、売上や粗利などの観点も考慮しつつ、人気や話題の商品を優先して消費者の購買意思決定にかかわるコンテンツを作成・発信していくという方法です。特に商品点数が多い通販サイトにおいて、全ての商品1つ1つのコンテンツを作りこんでいくことは現実的ではありませんので、季節など区分をつけて重点商品を決定して集中していきます。

最近の日本を例にとると、例えば通販サイト内に「8インチWindowsタブレットの比較表」を設けているところが少なくありません。また、艦これ(※ DMMのオンラインゲーム・艦隊これくしょん)がプレーできるかという観点で特設サイトを設けている通販サイトもあります。また、「艦これ」「8インチWindowsタブレット」「ヤマハのルーター」をテーマに、外出先でも艦これを遊ぶ様々な手段を紹介しつつ、それぞれの商品詳細ページにリンクしている事例もありました。

検索キーワードデータやTwitter、Google+ での話題性、テレビ番組での露出度などの情報を組み合わせると、いま、関心をもたれている商品はどういったものか簡単に判断できます。また、こうした話題性の高い商品についてのユニークな記事であれば、ソーシャルでも言及・共有されやすいため、検索を通じた発見性(見つけやすさ、Findability)も高められます。

余談ですが、ネット上の話題や興味関心にあわせて機動的に重点商品を選択していく、ちょっと高度なアプローチをとるショップも出てきています。たとえば、アップルから新製品の発表がされる可能性が高いイベントにあわせて、大量にコンテンツを投下するという戦略です。これは「ネット上で関心が急速に高まっている検索クエリに対しては、最新の最良の結果を表示する」(QDF = Query Deserved Freshness という仕組み)傾向にあるので、同社のイベント開催にあわせて関連情報を集中投下することで自然検索結果を面で押さえてしまいトラフィックを得るという戦術です。むろん、全く関係ない話題や品質の低いコンテンツで同様の手法を行えば単なるスパムになりますので、コンテンツが有用であることはむろん大前提です。

2. メーカー提供情報に「一工夫」して価値あるものに変える

各メーカーから商品毎に提供されるスペック表をそのまま掲載するのでは、あまり意味がありません。ユーザーが比較・検討対象とする可能性の高いライバル機のスペック表と併記して「比較表」を作成すれば、それは購入検討者にとって価値のある情報となります。

メーカーがスペック表に掲載していない詳細データを載せることもまた、価値ある情報になります。例えば3G/LTE対応のスマートフォンやタブレット端末のスペック表を見ると、対応するLTE周波数帯(バンド)が記載されていないもの、利用可能なSIMサイズなどの情報が記載されていないものが意外とあります。こうした場合、独自に対応周波数帯を調べてスペック表に公開しておくだけでも、付加価値をつけることもできますし、実際、TwitterやGoogle+での共有や反響も高まっている事例があります。つまり、海外SIMフリーなスマートフォンを求めている人は、購入前に自国で利用可能なモデルをしっかりと確認したいというニーズがありますから、こうしたメーカー非公開でも独自に調べたちょっとした情報を加えるだけで、価値が出るのです。

製品写真1つとっても、どの角度で撮影した写真を掲載すべきかを考えて工夫することで、コンテンツの価値が高まることもあります。例えば、デジタル一眼レフカメラであれば正面だけでなく、背面や両脇のコネクタの位置も商品詳細ページで確認できる方が好ましいでしょう。同様にノートパソコンであれば、ヒンジ(液晶画面の開閉部分)がどのようになっているのか、薄さはどの程度か、USBポートは左右それぞれ何個、どの位置にあるのか、キーボード配列はどうなっているのか、etc.. といった、実際の店舗であれば実物で確認するであろうような要素を写真で掲載しておくだけでも、それは有用なコンテンツなのです。その情報があれば、安心して購入意思決定を行うことができます。

どの通販サイトも、メーカーから提供されたスペック表や商品概要をそのままコピーして掲載してしまう傾向があるのですが、同じくコピーしただけの他の通販サイトとコンテンツの差別化が出来ません。しかし、それをベースにちょっとした工夫 -- そのユーザーが検討する時に実は欲しい"ちょっとした情報" -- を加えるだけでも独自色を出すことができます。

3. ジャンルに精通したライターに依頼する

社内でコンテンツ企画から作成まで行えれば理想ですが、十分なリソースを持たない通販サイトも少なくありません。2013年11月にラスベガスで開催されたSMX Social Media Marketing 2013 に参加した時のあるセッションでも、この「コンテンツは誰が作れば良いのか?」という課題が話題になったのですが、話を聞いていると(そして私が知っている取り組み事例もあわせると)そのジャンルに精通したブロガーやジャーナリスト、フリーのライターに依頼しているケースが多いとのことでした。

実際には、社内では本コラムの最初に紹介したような「人気・話題商品は自社で企画・作成する」、それ以外で集客をしたい、検索の発見性を維持したいような継続的な売上が見込める商品は外部のリソースを活用して継続的に情報を発信していくという方法もあります。

なお、クラウドソーシングは品質管理ができないなら、あまりおすすめは出来ません。内容の薄っぺらなコンテンツを継続的に作っても、それはGoogleが全く評価したくないゴミを溜め込むようなものです。コンテンツを作ること自体が目的化してしまいがちなスキームを導入する際は、慎重に運用方法を検討しなければなりません。どのようなコンテンツを依頼したいのか、どんな視点で、どんな結論やまとめになる文章を書いてほしいのか、きちんと要件定義するとともに、アウトプットの確認も適切に行うことが大切です。

4. レビュー(クチコミ)投稿・閲覧機能を提供する

レビュー(クチコミ)は通販サイトのユニークなコンテンツの獲得手法として定番中の定番です。多数のユーザーが投稿した、商品やサービスに関する意見や感想は、それ自体が有益なコンテンツだからです。日本の「価格.com」や「食べログ」を想像頂ければわかる通り、十分に参考になるコンテンツですよね。

また、様々なユーザーが継続的に様々な意見や感想を投稿してくれれば、それはまた「継続的なオリジナリティのあるコンテンツ」という側面もありますので、SEOによる検索の発見性を高める手法として効率的かつ効果的です。

また、商材によってはテキストによるレビューではなく、動画や写真による投稿を受け付けることも有効です。例えば Amazon.com は動画や写真も受け入れています。カメラやレビューのレビューであれば、写真サンプルは絶対に見たいのではないでしょうか。エポック社が販売している「ドラえもん ひみつ道具 空飛ぶタケコプター」であれば、テキストであれこれ説明されるよりも、動画で確認できた方が有用ではないでしょうか。様々な種類のコンテンツを集められるような仕組みにすることで、自身のサイトを有用でオリジナリティの高いサイト作りに役立ちますし、また、そうした異なるコンテンツを集められればウェブ検索だけでなく、画像検索や動画検索など別の検索チャネルからの集客機会も生み出すことができます。

ただ、仕組みだけ作ってもレビューは集まりません。レビュー投稿機能を設ければ自然にユーザーが投稿してくれるわけではありません。従って、楽天一番の多くのショップに見られるような「レビューを書いてくれたら送料無料」などのようにインセンティブを与えるのが一般的です。Googleもレビュー投稿を促すインセンティブを与えること自体は、ガイドライン違反ではないと明言しています。

5. 簡単に回答できるような質問コーナー、敷居を下げる工夫

レビューを投稿すること自体は敷居が高いことも事実です。そこで、レビューほどではないけれど、簡単な一言アンケートを設けるなど「カジュアルなフィードバック」を求める通販サイトも出てきました。例えば、「この商品買った理由を1行で教えて」といった質問です。一言ならすぐに回答できますし、仮に50人が答えてくれれば50行になりますから、ユニークなコンテンツにもなります。

また、レビューは本来自由であるべきですが、自由過ぎて商品そのものとは全く関係のないことなど、的外れなレビューが増えてしまうことは好ましくはありません。したがって、レビューを投稿してもらう時に「デザイン面」「携帯性」といった具合に、商品にあわせて「こんな観点で書いてくれるとうれしいな」的なことを書いておくと、ある程度、購入前のユーザーに役立つレビューが集まることもあります。あまりレギュレーションを設けると窮屈ですし、あまりに具体的で誘導的なお願いは反発されますので、ゆるくお願いするのがポイントです。

まとめ:購入検討者の目線を大切に

実は上記のお話は、自分が購入側の立場にたって考えていれば至って普通、あってしかるべき情報だったりするのですが、いざ販売側に立ってしまうと(日常業務でそれが当たり前になりすぎる故に)見落としてしまうポイントが増えてしまいます。しかし、今日の Google に良質なサイトとみなしてもらうためには、そのごくごく基本的な事柄の積み重ねが重要だったりします。コンテンツだからとお金をいくら必要だとか、何人の編集者を確保しないといけないとか考えてしまいがちですが、ほんの少し視点を切り替えるだけで今のリソースで実行できることは数多くあるはずです。