海外の事例に学ぶ、ホテルビジネスを成功に導くコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティング
ホテルのWebサイトと聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろうか? パンフレットに載っているような、きれいな建物に広いプールの画像……? でもそれは、一昔前のスタイルだ。
今では、コンテンツマーケティングを取り入れているホテルが、どんどん増えている。しかも、ユニークな手法を使っているホテルもあるので、学べることも多い。
本記事では、ホテル業界の海外事例を複数ご紹介する。
目次
Webマガジンを提供:Four Seasons Hotels & Resorts
Four Seasons Hotels & Resorts(フォーシーズンズホテル)のユニークなコンテンツは、Webマガジン「Four Seasons Magazine」に詰まっている。これから旅行に行く人のガイドとしても役立つが、読み物としても十分に楽しめる内容だ。
「旅・食事・スタイル」というカテゴリでは、様々な国や都市のレストラン・ショッピング・観光スポットが取り上げられている。行き先が決まっている人は、「行き先」から絞り込んでいくといい。基本情報に加えて、関連記事や動画が表示される。
また、「コンシェルジュのおすすめ」というカテゴリがあるのだが、コメント欄がけっこう賑やかなことに気づいた。「ベジタリアンのレストランがあるか?」とユーザーが尋ねると、スタッフが「直接ご案内するよう、ホテルの方に連絡しておきました」と答えている。
カスタマーサービスの場としても機能しているようだ。
ターゲットを女性に絞る:Wyndham Worldwide
ターゲットの設定が重要なのは、ホテル業界でも同じだ。Wyndham Worldwideが選んだのは、出張、または休暇を目的とした女性客。そして、ターゲット向けに公開したコンテンツハブ(コンテンツ配信の中心メディア)が、「Women On Their Way」だ。
女性だけに焦点を当てているだけあって、女性向けのコンテンツが、ずらずらと並んでいる。ブログ記事は、全て女性ライターによって、女性のために書かれたものだ。他にも、旅行の計画を立てるコツ・旅のトレンド・ビジネス旅行・一人旅・低予算旅行・旅の安全・健康と美容のヒント・動画などのコンテンツが提供されている。
「女性向けならでは!」と思わせるコンテンツの1つが、ウェディングとハネムーンに特化したページだ。計画を立てる際のヒントや、アイデアに関する記事の他にも、スケジュール・予算・招待リストを管理できるツールが用意されている。
ユニークなブログ記事:Como Hotels & Resorts
出典:COMO Blog
Como Hotels & Resortsがコンテンツを提供している中心メディアは、「COMO Blog」だ。他の多くのホテルと同様に、地元のイベントの紹介や、ローカルな情報を提供している。
しかし、このブログのユニークなところは、自宅でも使える貴重な情報を多く提供しているところだ。特に目を惹いたカテゴリが2つあるので、ご紹介する。
1つは、身体と心の健康に関する情報が充実している「Mind, Body & Spirit」。ヨガ・ピラティス・食事・ダイエット・ストレスなどのトピックがカバーされている。「自宅でできるヨガ」や「ストレスマネジメントのコツ」といったガイドは、日常生活で使えそうだ。
もう1つの魅力的なカテゴリは、「Good taste」だ。ホテル内、または周辺にあるレストランの紹介かと思ったのだが、そうではない。料理やカクテルのレシピが紹介されているのだ。これも自宅で試せそうな優れたコンテンツだ。
ユーモアを取り入れる:Hilton Hotels & Resorts
出典:Urgent Vacation Care Center
最後は、Hilton Hotels & Resorts(ヒルトンホテル)のユーモア溢れる「Urgent Vacation Care Center」だ。トップページは、一見まじめそうなサイトに見えるが、実はかなりふざけている。
サイトで使われている「Vacationitis」とは、休暇や旅行でしか治すことのできない、職場に存在する慢性の病気のこと。「Vacation(バケーション)」と、「-itis(○○炎)」を組み合わせた造語だ。
この「Vacationitis」の症状が14個、ユーモアたっぷりのイラスト付きで紹介されている。例えば、「Commuteritis(通勤病)」は、毎日何時間もかけての通勤に苦痛を感じている状態のこと。ちなみに筆者には、PCスクリーンを長く見すぎることによって起こる「Acute Retinal Monitoritis(突発性網膜モニター炎)」が、一番当てはまる。
これらのイラストは、「Download, laugh and share(ダウンロードし、笑って、シェアしてください)」と紹介されている。ユーザーたちが自分に当てはまるイラストを喜んでダウンロードし、どんどんシェアしてくれることは間違いないだろう。
最後に
全ての事例に共通しているのは、役立つコンテンツをつくり、皆が見てくれる場所で提供し、お客さんとつながっていること。
コンテンツマーケティングの基本は、どの業界においても変わらないのである。
今はホテルに限らず、マーケティング戦略を見直さなくてはならない時代。成功するためには、他の業界も参考にしながら、想像力や、ユニークな発想と視点が、もっともっと必要となっていくだろう。
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