観光業界のためのオウンドメディア事例

オウンドメディア

ファッション業界やIT業界など、今まで様々な業界のコンテンツマーケティング事例を紹介してきたが、今回は旅行・観光業界のコンテンツマーケティングを取り上げたいと思う。

(コンテンツマーケティングって何?という方は、こちらのEbookをダウンロード頂きたい。)

その親和性の高さから海外ではすでにコンテンツマーケティングを中核に据えている旅行会社も多く見られるが、国内では"本格的"に取り組んでいる企業はまだ見られない。

この記事では、なぜ旅行・観光業界にコンテンツマーケティングが効くのか、そしてコンテンツマーケティングを成功に導くためのカギとは、という2つの点をご紹介したい。なお、旅行といっても国内・海外の2つがあるが、今回は海外の方に絞って解説していく。

55%の旅行者がオンラインコンテンツに影響を受けている

アメリカの統計となってしまうが、実に55%にもおよぶ旅行者がオンラインコンテンツを参考にしつつ旅行計画を練っているという。今までは旅行ガイドブックなどで情報を収集することが多かったと思うが、インターネット上での情報収集も一般化しつつあるのだ。

海外旅行プランを立てる時、現にあなたもインターネットで観光名所や現地の地図などを検索することが多いのではないだろうか?

消費者の情報収集活動の比重がインターネット上にシフトしつつある今、あらゆる業界はインターネット上にコンテンツを蓄積させ、見込み客を自社メディアへと呼び寄せるマーケティング手法を採る必要が生じてくる。

特に、旅行・観光業界など、見込み客が旅行プランを立てるために入念にリサーチする傾向がある業界の場合には、なおさらこのコンテンツマーケティングが効いてくるのである。

現地の観光スポットやオススメ旅館情報など、見込み客が本当に求めているコンテンツを蓄積することで、見込み客の流入を促せるのである。

"本格的"に取り組んでいる企業がない、とは?

冒頭で「国内では"本格的"に取り組んでいる企業はまだ見られない。」と述べさせていただいたが、この言葉に疑問を抱いた方もいらっしゃるのではないだろうか?

確かに、日本でも観光スポットやオススメツアーなどのコンテンツを掲載している旅行会社が多い。

しかし、それらのコンテンツは淡泊な観光スポットの紹介文に留まっていたり、ホテルや旅館の宿泊情報を全面に押し出したコンテンツがほとんどなのではないだろうか?

どのコンテンツも「宣伝色」が強く、コンテンツとして楽しんで読めるような代物ではない場合が多いのではないだろうか?

では、一体どのようなスタイルにすれば、"本格的なコンテンツマーケティング"と言えるのだろう。

意外かもしれないが、本格的なコンテンツマーケティングを実践する際には、海外旅行の場合には現地の日本人が編集しているウェブマガジンが非常に参考になる。 現にあなたも旅行プランを練る時に、現地の日本人のブログを参考にした経験があるのではないだろうか?

現地の文化や生活、そして旅行に深みを増してくれそうな渋いローカル情報などを掲載しており、海外旅行者を引き寄せる魅力的なコンテンツを提供しているメディアが多いのだ。

以下では、在外日本人が運営するフランスとドイツのウェブマガジンをご紹介したい。

Ovninavi パリジャン並みのパリ通になる

世界一観光客が訪れる街、パリ。日本からも年間60万人にもおよぶ観光客が訪れ、海外旅行マーケットしても非常に魅力的だろう。
このパリにも、日本人在住者向けのウェブマガジンOvninavi(オヴニーナビ)が存在している。

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出典:Ovninavi

このウェブマガジンでは、粋なローカルブティックやお洒落な穴場カフェなど、旅行を一層楽しめるようなコンテンツが多く掲載されている。

例えば、以下の「忘れられない思い出ができる これぞパリの食堂。」という記事などは、現地の生活者でなければなかなか制作できないのではないだろうか?

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王道のコンテンツと併せ、このようなオリジナリティー溢れる魅力的なコンテンツを蓄積できれば、パリの旅行者が必ず訪れる人気メディアを作ることも可能だろう。そして、コンテンツから旅行パッケージまで自然に遷移できるような仕組みを作れば、売上アップにも大いに貢献できるはずである。

ハンドメイドライフ ドイツでの暮らしを言語やライフスタイル面からサポート

次にご紹介するのは、僭越ながらも筆者自身が運営しているライスフタイル情報サイト「ハンドメイドライフ」である。ハンドメイドライフでは、他サイトのように主要都市のイベント情報や観光スポット、暮らしに役立つ基本情報(切符の買い方など)を載せている。

他サイトと異なるコンテンツは主に「ハンドメイドな生き方」と「ドイツ語の裏技講座」だろう。ドイツに住み、自分の手でどう人生設計をするのか、これを問う手段として「ハンドメイドな生き方」では在独邦人や現地人のインタビューを載せている。学生や社会人にドイツへ来たきっかけ、学業や仕事、住んでいる町などについて語ってもらう。

「ドイツ語の裏技講座」ではドイツ語会話で聞く口語表現や言い回し、言葉のニュアンスを毎週、一つ取り上げている。この講座はドイツに興味がある人に限らず、ドイツ語を学んでいる人も読んでいる。読者から掲載してほしい表現を寄せられたこともあり、反響が良く、嬉しい。

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(「もう無理!」、「疲れた」をドイツ人はIch bin kaput.=私は終わりにいる(直訳)、と表現する。)

海外旅行だけでなく、海外移住コンサルティングや留学などを斡旋している会社などの場合、このようなコンテンツ設計も見込み客へのアプローチとして有効だろう。

ウェブマガジンだけじゃない

以上、旅行会社がコンテンツマーケティングを実施する際に参考となるようなウェブマガジンをご紹介させていただいた。

しかし、旅行プランや現地の魅力を訴求するならば、記事だけでなく動画コンテンツも配信してみることをオススメする。業界は異なるが、以前紹介したH&Mの事例のように、ロケ番組さながらの動画コンテンツを配信してみたら、より多くの見込み客を呼び寄せることができるかもしれない。
参考元:H&Mが描く、未来のアパレルマーケティングの姿

まとめ

「検索」という行動が一般化し、企業から情報提供するのではなく、消費者側から情報収集するようになった時代、こちらから見込み客の欲しがるコンテンツを提供し、自社サイトに引き寄せていくという発想が重要になってくる。

特に、海外旅行といった顧客が入念にリサーチをする傾向にある業界では、なおさらこのアプローチが重要になってくるだろう。

しかし、見込み客を惹きつけられるようなコンテンツを制作するためには現地の魅力を熟知したライターの存在が必要になってくるだろう。誰にでも書けるような淡泊なコンテンツでは、見込み客を惹きつけるのは難しく、他メディアとの差別化も図りにくいのだ。

その解決策として、現地ライターの採用やウェブマガジンとの提携、そして現地ライターを豊富に持つコンテンツマーケティング会社に依頼してみるのも良いだろう。

国内の旅行会社では本格的に取り組んでいる企業がいない今、競合との差別化を図るために取り組んでみてはいかがだろうか?

また、オウンドメディアについては以下の記事を参考にして頂きたい。
参考記事:今さら聞けないオウンドメディアの意味とは?
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