ゆく年くる年 2013年のコンテンツマーケティングの振り返り

コンテンツマーケティング

2013年は日本における「コンテンツマーケティング元年」であった。

多くの企業やマーケターがコンテンツマーケティングに注目し、Google の新アルゴリズム導入はその重要性を後押しした。

今をときめく「コンテンツマーケティング」だが、市場も手法もまだまだ成熟しているとは言いがたい。まさに発展途上である。

本日は、2013年のコンテンツマーケティングを振り返ると同時に、2014年の動向についても考えてみたい。

1.これからも続く、コンテンツ・ファースト発想

欧米では、数年前から多くの企業が取り組みはじめていたコンテンツマーケティングだが、2013年に日本で”ブレイク”した背景には、Google の検索アルゴリズムがコンテンツ重視に大きく舵を切ったことがある。

これにより、従来のテクニカルなSEO手法の多くは過去の遺物となり、Google 検索結果の上位にサイトを表示させるためには良質なコンテンツの発信がその重要な要素となった。

これまでGoogle の検索アルゴリズムやポリシー変更に振り回されてきたWebマーケターやSEO担当者は多いと思うが、それでも継続的にコツコツと良質なコンテンツを発信し続けていた”本物のコンテンツクリエイター”がようやく報われる時がきた。

Google は、今後もコンテンツ重視の姿勢を貫いていく方針であり、良質なコンテンツをWebサイトに蓄積していく施策が評価されるのは間違いないだろう。

2..UGC(User Generated Content-ユーザー生成コンテンツ)の活性化

ソーシャルメディア上でいかにして自社のコンテンツを”バズらせる”か。

そのためにいま企業が求めているのは、数秒の露出に数百万ドルのコストがかかる著名人によるCMなどではなく、無名の一般ユーザーとの”コラボレーション”だ。InstagramやVine、Tiwitterといったツールによって個人が大企業や世界的ブランドのキャンペーンと”コラボ”することはかつてないほど容易になった。

以前、THE CONTENT MARKETINGのキューレーションモデルとコンテストモデル ユーザー参加型マーケティングの2つの成功モデルでも紹介したように、UGCは大きな可能性を秘めたコンテンツ制作手法である。

これらのUGCは、一流クリエーターと制作チームによるコンテンツには質では及ばないかもしれない。だが、ユニークなアイデアや切り口をもった素人の作品が瞬く間に全世界に拡散し、一夜にして”時の人”になってしまった事例は枚挙にいとまがない。その広告価値たるや、企業にとって計り知れないものがあるのだ。

企業によるUGCを利用したキャンペーンは2014年、さらに活発化するだろう。

3.コンテンツマーケティングの、最後のPiece

マーケティングの代表的フレームワーク「4P」と同様に、コンテンツマーケティングにも独自のフレームワーク「4P」が存在する。

コンテンツ―マーケティングの「4P」とは、

1.Plan(コンテンツ企画) 2.Produce(制作) 3.Publish(公開) 4.Promote(プロモーション/拡散)

の各ステップのことを言う。

これを継続的にまわしていくことで、企業やブランドの信頼性/ブランド価値を向上させ、ファンを獲得し、最低限の広告費で顧客を獲得していく。

この中でも、取り組み当初に”仕組み化”するのが最も困難なのが、1.Planと2.Produceのステップだろう。

それゆえ、3.Publishまでこぎ着けると安心してしまい、公開したコンテンツを放置してしまうことがある。次のコンテンツ作成のネタ探しなどに忙殺されてしまうこともあるかもしれない。

これまでは、それでも一定の効果はあげることができただろう。コンテンツマーケティングに取り組んでいる企業自体が少なかったからだ。

しかし、これからはそうはいかない。

競合他社がこぞってコンテンツ発信に取り組む中で、 公開したコンテンツを各種メディア上でいかに効果的に拡散させていくかというPromotionの部分も網羅した施策が必要となってくる。

2014年は、コンテンツマーケティングの「4P」のPromotionを埋める施策に注目が集まってくるだろう。

4.バイラルムービー狂想曲

2013年はバイラルムービー(ソーシャルメディア上でバズることを目的として発信される映像コンテンツ)マーケティングが盛り上がった年だった。 (参考:短編動画は大きな潮流になるか? これからの動画コンテンツとバイラルマーケティング)

コンテンツマーケティングにおけるリッチコンテンツの重要性が増すとともに、バイラルムービーはさらに増えていくと思われるが、この手法の評価基準についてはまだ確立されたとは言いがたい。

バイラルムービーはその名の通り”バズること”を狙いとして公開されるが、言うまでもなく企業の最終的な目的は露出による知名度向上、ブランド価値向上、そして売上増加による利益の拡大だ。

その点、この手法の評価はいまだに”再生回数”に偏ったものであり、”実際の成果”については軽んじられている。その結果、”どれだけ見られたか”というその場限りの盛り上がりになりがちなきらいがあるように思える。

確かに、今年大反響を呼んだDoveのReal Beauty Skechesように、強烈にブランドメッセージを訴求する秀逸なバイラルムービーがあることも確かである。ただ、ブランドメッセージを置き去りにした、「バイラルすれば全てよし」のような動画コンテンツが流布していたのもまた事実であろう。 http://www.youtube.com/watch?v=XpaOjMXyJGk

この反省を踏まえ、2014年はマーケティング効果から設計されたバイラルムービーが評価される時代が訪れるのではないだろうか。

5.ブログの栄光、再び

数年前にWeb業界に持ち込まれた「キュレーション」という言葉だが、2013年にはすっかり一般化したように思える。

日本でもGunosyやSmartNewsといった”キュレーションアプリ”と呼ばれるツールが人気を博し、Twitterを代表としたソーシャルメディア上で様々なニュースやトピックを個々の視点で”キュレーション”している人々も多く存在している。

このような環境の中、もはや他者のコンテンツを紹介する”キュレーション”だけではユーザーの興味を引き続けるには不十分。自分で制作した、オウンドコンテンツの発信が不可欠だ。

そして、ここにいたって再び注目されるのがブログである。

ブログは、コンテンツマーケティングにおいて重要な”継続的、定期的な高品質なコンテンツの発信と蓄積”に向いているからだ。ブログを情報の”発信基地”とし、画像や動画ならInstagramやVineにYouTube、スライド資料ならSlideShare、音声データならSoundCloudといった外部サービスと連携、そしてFacebookやTwitter、Google+といった主要ソーシャルメディアがで拡散する。逆を言えば、ソーシャルメディアが真価を発揮するためには、ブログを中心としたオウンドコンテンツ施策が不可欠なのである。

このようなプラットフォーム横断的な戦略の中心にブログが返り咲くだろう。

6.需要の高まる”デジタルオールラウンダー”人材

このように、今後は”正しい場所/方法で、正しい相手に良質なコンテンツを届けること”が重要になっていく。そして、そのコンテンツはテキストだけでなく画像、動画、音声などリッチ化を進めていくだろう。

このような高度なコンテンツマーケティングを戦略的に展開していくために、今後必要とされるのが、様々なスキルを併せ持った”デジタルオールラウンダー”的人材だ。

・魅力的な企画立案を可能にする幅広い視野と知見 ・テキスト、画像、動画、音声など多様なコンテンツの制作能力 ・編集能力 ・Webだけにとどまらない多様なメディア・媒体知識 ・コンテンツの拡散に不可欠なSEO知識 ・成果を正確に分析し次のコンテンツに活かすための分析力

などだ。

これらのスキルを併せ持った人材はいまだ乏しく、需要はより高まっていくだろう。 これからコンテンツマーケティングを学ぼうするならば、技術的なスキルだけでなく幅広い知識の獲得につとめよう。

まとめ:そして変化は続く

デジタルメディアの世界は文字通り日進月歩だ。

そしてこの継続的な変化はDNAに生まれつき書き込まれた”性質”のようなものである。2014年も、様々な新しいツールやサービスが登場し、変化を促していくことだろう。Google Glassのようなウェアラブルデバイスもその変化に拍車をかけていくと思われる。

しかし、コンテンツマーケティングの本質は変わらない。

人々が価値を見出す良質な情報(コンテンツ)を、正しい時に正しい人々へ届ける。そして、それを続けていくことで、ロイヤリティーの高いファンが生まれてくるのだ。

無尽蔵に増えていくWeb上の情報に対し、人が一生に触れられる情報はその1%にも満たない。 それであれば、せめて、人々が日々目にする情報にはそれだけの価値があって欲しいものではないか。

本日紹介した振り返りだけでなく、このコンテンツマーケティングの本質も忘れずに、来年度もコンテンツマーケティングを取り組んでいって欲しい。

<参考元> ・Five daring predictions for social marketing in 2014What Will Be Trending in Social Marketing in 2014?14 Social Media Trends for 2014 Photo:Some rights reserved by kamurogi, flickr