切磋琢磨:他社とのコラボレーションが新しいマーケティングのカギとなる

デジタルマーケティング

パナソニックを一代で築き上げた日本の実業家、経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏が残した言葉にこんなものがある(出典:松下幸之助『成功する力』)。

「ライバルが強くなければ自分も強くならない。自分が強くなるためには、一緒に強くなる相手がいないと、心がどこかでだらけてしまう。一人でも大丈夫だと最初は思っても、戦いは長い」

ビジネスの世界とは、常にライバルとの厳しい戦いの場である。しかし、そのライバルがいるからこそ、商品やサービス内容の向上を目指し、お互いに切磋琢磨しながら企業として成長していけるのではないだろうか。

また、ライバルは時として良い戦友となる。今回は「ポルシェとアウディ」、「無印良品とロフト(LOFT)」、「モスバーガーとミスタードーナツ」の例を基に、ライバル2社がコラボレーションする形の、新しい目線からのマーケティングについて考えてみたい。

帰ってきたライバルへの熱いエール:ポルシェ(Porsche)とアウディ(Audi)

オートレースファンならば誰もが知っている、フランスの「ル・マン24時間レース」。長い歴史の中で、最多の優勝回数である16回を誇るのはスポーツカーの大御所、ポルシェである。

しかし、ポルシェは本レースへの参加を10年以上前に中止。その後2000年から2013年の間は、ほんの2回を除いてアウディがその栄光を手にし続けていた。

そんな中、2014年のレースでのポルシェの復帰が決定した。同じ舞台へと帰ってきた最大のライバルを歓迎すべく、アウディがポルシェとのコラボレーションで、ショートビデオの作成を行った。

アウディからポルシェに向けた「Welcome Back」というメッセージが印象的な、好感度の高いビデオとなっている。

Race car on the road - "Welcome back"

 

 

 

アウディとしては、度重なる栄光を脅かす最大のライバルが帰ってきたのだから、決して嬉しいばかりではないだろう。

しかし、同じレースを走り、同じゴールを目指している同胞として、両ブランドのイメージを取り入れ、両ブランドへの好感度を上げたコンテンツの制作には、見事な手腕が発揮されている。

お互いの良いところを伸ばしあえる関係:無印良品とロフト

衣料品や家庭用品、食品とさまざまなジャンルの商品を取り扱う無印良品と、生活雑貨を中心に取り扱うロフトが、カルチャーの中心地である渋谷に大型店舗を共同でオープンした。

基本的には、階によってブランドや商品のジャンルを振り分けているが、フロア構成を共同で行ったり、ウェブサイトで相手ブランドの商品の紹介などを率先して行ったりしている。

また、企業やクリエイターとのコラボレーションを行い、ロフト単独では行えない商品の開発や、客向けのワークショップ、アート展なども開催。

期間限定のイベントや展示会場を設けることで、両ブランドのファンだけでなく、新規顧客に店舗を訪れてもらうことも見込めるので、うまく売り上げにつながりそうである。

選択肢を増やす絶妙な合体:モスバーガーとミスタードーナツ

どの業界よりもライバルとの戦いがシビアそうな外食の分野でも、なるほど!と思えるコラボレーションが実現した。

モスバーガーとミスタードーナツを掛け合わせたブランドは、その名も「MOSDO(モスド)」。もともと人気の両店舗が、お互いの良いところを出し合って提供されるメニューは、客の選択を増やす絶妙なマーケティング方法である。

MOSDOオリジナルメニューやパーティー向けセットメニューも魅力的だが、ハンバーガーもドーナツも食べられるというお得感や、どちらか片方を選ばなくても良いという安心感が、客の満足度向上につながっていくだろう。

求めていることは同じである

マーケティングを行ううえで、他より目立つことをして一歩差をつけたいのが当たり前の心情というものだろう。

しかしよく考えてみれば、ライバルとは自分と同じ目的を持った、最も自分と考え方の似た存在ではないだろうか。うまいバランスを見つけることができれば、お互いの利益となる素晴らしい関係を築くのも決して悪くはないはずだ。

お互いを励ます形でも良い。お互いの足りないところを補い合う形でも良い。お互いのベストを出し合って、最強のタッグを生み出す形でも良い。

ライバルに対する目線を少し変えてみるだけで、そこに全く新しいマーケティング・サクセスが潜んでいるかもしれないことに、ぜひ気が付いてほしい。