コカ・コーラのコンテンツマーケティング戦略 ~「飲み物」ではなく「読み物」を提供~

コンテンツマーケティング

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「全企業は出版社化する」

コンテンツマーケティング時代の到来とともに、消費者に楽しんで読んでもらえるようなコンテンツを制作・配信することが、マーケティング戦略の要となってきている。

その先駆けとして、世界随一のマーケティングカンパニー・コカ・コーラ社は「Content 2020」を掲げ、コンテンツマーケティングを戦略の中核と置いた。

その施策の要として、Coca Cola JourneyというWebサイトをローンチしたようだが、その中身とは一体どのようなものなのだろうか?

飲み物の代わりに読み物を公開

Coca Cola Journeyを一言で表現するならば、それはウェブマガジンを中心としたコカ・コーラ カンパニーのWebサイトだ。

しかし、コカ・コーラや他の飲料(スプライトやファンタ)関連の記事ばかりを載せ、購入意欲の促進を図っているわけではない。

世界にとって重要なトピック、環境・社会問題、企業ニュースを独自に執筆し、世間との新しいデジタルコミュニケーションを試みている。洗練された文体からプロのライターが関わっているのがよく伝わり、出版社のオンライン・マガジン並みに質が高い。

語ることが重要

Coca Cola Journeyで最も重視すべきカテゴリーは「Stories」である。フード、カルチャー、ビジネス、スポーツなどの10つのテーマに分けられる様々なストーリーが公開されている。

例えば、9月5日に公開された記事は海の環境NPO法人Ocean Conservancyが1986年から続けている海岸のゴミ収集について。2012年には50万人以上のボランティアが集い、国際的に行われる自然保護イベントに成長した。

記事には代表者のインタビューやボランティアの宣伝ビデオも載っている。ザ コカ・コーラ カンパニーの従業員が27か国で参加した事実がこのボランティア活動を紹介するきっかけとなっているのであろうが、コカ・コーラとの関連性は一文に抑えていて、社の自然保護への取り組みを過度にアピールしていない。
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また、9月9日のよく読まれている記事ベスト10に入っているのは”5 Ways to Blast Past Perfectionism and Get Your Work Done”(「過去の完璧主義を捨て、仕事を終える5つの方法」)。コカ・コーラとは全く関係ない、世の働きマンやキャリアウーマンに向けた記事である。精神科医の書籍を元に完璧主義者の特徴を分析、完璧にこだわらずストレスを減らして仕事に打ち込む方法をまとめている。

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こうしてみるとCoca Cola Journeyの記事は何もコカ・コーラのファンだけでなく、様々な生活を送る老若男女全般に語りかけていると言える。

日本版の特徴

代わって、日本版Coca Cola Journeyはライフスタイル関連の記事が多く、誰でも気軽に読める内容が目立つ。

人気記事の1つに、シリーズ「ハピネスの食卓」がある。ライフスタイルプロデューサーの村上萌さんが初心者でも作れるような料理のレシピに写真とエッセイを加え、食事と共に毎回1種のコカ・コーラ製品を紹介するという企画だ。

女性誌に載っていてもおかしくない、かわいらしい内容である。日本コカ・コーラ株式会社はお茶やコーヒーといった非炭酸飲料も販売しており、この企画で多種の飲み物を紹介できるのは良い宣伝なのだろう。

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また、日本版Coca Cola Journeyには「自動販売機」という何ともマニアックな項目がある。自動販売機の歴史、マルチマネー対応やソーラーパネル付き自販機などの種類紹介、自販機と遊べるおもしろアプリ「自販機AR」などについて細かく記載されている。

自動販売機設置に興味がある企業向けのお堅いページになっていないのが良い。「こんな自販機があるのか!」と子供が持つような好奇心で読み入ってしまうページ作りがされている。

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限界がないコンテンツ作りでブランドイメージの向上に成功

飲料メーカーに限らず、特定の商品に特化したメーカーのWebサイトで紹介できる内容は限られているように思う方は多いのではないだろうか?

長い歴史を持つコカ・コーラ社は時代に沿ったマーケティング方法でブランドイメージを維持・向上させるため、通常の「情報を載せるWebサイト」を「おもしろい内容を読ませるWebサイト」に変身させた。

「おもしろい内容を読ませて何になるのか?」と疑問を抱く方もいるかと思う。

しかし、コカ・コーラは商品としての「味」ではなく、その商品に付随するイメージ・体験を売りにしているブランドである。

面白いコンテンツを継続的に読んでもらうことによって、消費者の頭の中に常にコカコーラの存在を刷り込み、なおかつブランドイメージを維持・向上させるのが狙いなのだろう。

実はこの手法、コカ・コーラに限らず、P&G資生堂も類似したウェブマガジンサイトを運用している。

コンテンツマーケティングが描く新たなマーケティングの世界を知りたい方は、ぜひこれらのサイトもチェックしてみてはいかがだろう?

また、他業界のコンテンツマーケティング事例・課題に関しては以下の記事をチェックしてみていただきたい。
ローカライズ型コンテンツマーケティング戦略で顧客との信頼関係を築く方法(スーパーマーケット)
3つの成功事例に学ぶ、ベンチャー・スタートアップ向け コンテンツマーケティング活用術(スタートアップ)
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記事執筆:(株)イノーバ。イノーバでは、コンテンツマーケティングのノウハウを詰め込んだ無料のebookや事例集をご提供しています。ダウンロードはこちらからどうぞ→https://innova-jp.com/library/


参考元
Big Content Marketing Plays from Coke, Pepsi and Red Bull

画像元
Coca Cola Journey(英語版)
Coca Cola Journey(日本語版)