オウンドメディア成功例に学ぼう:コカコーラ・ジャーニー

コンテンツマーケティング

コカ・コーラ社といえば、長い歴史と世界でも有数の確固たるブランドを誇り、世界中で莫大なマーケティング予算を投下して常にマーケティング界の先頭を走ってきた会社だ。

そのコカ・コーラ社がいま全力で推し進めているのが、コーポレートサイトの「コンテンツマーケティング対応」である。

新コーポレートサイト「Coca-Cola Journey」は、従来のコーポレートサイトとは一線を画した斬新なものだ。

一見WebマガジンやニュースサイトのTopページのようにも見えるこのサイトを構成しているのが、「ブランド」「ライフスタイル」「ビデオ」「ストーリー」などといった、コカ・コーラにまつわる様々なコンテンツ群だ。

『従来型のコーポレートサイトはもはや役に立たない』

こう言い切る同社では2015年までに従来のプレスリリースによる発信を全てこのWebサイトへ移管しようとしている。

コンテンツマーケティングに本気で舵を切り始めたマーケティング界の巨人、コカ・コーラ社。

本日は、コカ・コーラ社流コンテンツマーケティングの秘訣を、グローバル広告戦略担当副社長Jonathan Mildenhall氏のインタビューを交えて紹介する。

ヒント1:ライバルとの”違い”をうむのは”量”ではなく”質”

『いまネット上には、人々の貴重な時間を無駄にするノイズとしか言いようのないような情報が溢れかえっている。コカコーラ社は、人々が自分から探してくれるような高品質なコンテンツを届けなくちゃならないんだ』 (Jonathan Mildenhall)

高品質なコンテンツを作り出すためには、ビジョンが必要であり、コラボレーションが必要であり、綿密な計画が必要不可欠だ。コンテンツの発信量にフォーカスした戦略をとっているのなら、見直したほうがいい。量に目を奪われると、本当に質のいいもの(そして結果を伴うもの)を送り出すためのクリエイティビティを失ってしまう。

それだけではない。

数や量に執着するあまりに粗悪なコンテンツを量産してしまえば、それはブランディングに悪影響を及ぼす。

逆に、高品質なコンテンツを発信し続けていれば、人々は自らその情報を取りにやってくる。
「プレスリリースを全廃する」という同社の目論みは、このコンテンツマーケティングの基本的な考え方に立脚したものだ。

そして、コカ・コーラ社でデジタルコミュニケーション/ソーシャルメディア戦略を担当するAshley Callahanによれば、同社にはそのコンテンツが発信に値する価値があるかどうかを確認するための以下のようなチェックリストが存在するという。

その1:あなた自身が、母親や親友に”伝えたい”と思う内容か?
その2:そこに驚きはあるか?
その3:多様な価値観の人々に幅広くアピールする内容か?
その4:人々の興味をひく内容か?
その5:適切なKPI(業績評価指標)が設定されているか?

ヒント2:優れたクリエイティビティを現実のものにするためにはメソッド(手法)と少しのマッドネス(狂気)が必要

『飛び抜けたクリエイティビティは、往々にしてマーケティング・プランにそぐわないもんさ』 (Jonathan Mildenhall)

近年の高度に情報化された市場では、マーケティングにおいて論理的・科学的アプローチに重きが置かれているが、それでもクリエイティビティ=創造性はマーケティングプログラムの成否を左右する、とても重要な要素だ。

そして、多くの場合、クリエイティビティはコントロール不可能な「カオス=混沌」の中から生まれ出る。

理数系の左脳型人間には耐えがたいかもしれないが、データと実績に裏付けられたテンプレートや完璧に段取られたスケジュールも、時には柔軟に変えていく度量と勇気こそが成功を呼び込むだろう。

ヒント3:マーケティングに関して今まで見知ってきたこと全てを疑え

『我々が、これまでの125年(コカコーラは今年創業127年)にやってきたことと同等の成果を次の10年であげようと思ったら、そこには頼りになる指針なんてなにもない。マーケティングやクリエイティブに関する全てのことをゼロベースで考え直さなきゃいけないんだ』(Jonathan Mildenhall)

マーケティングの世界には「古典」と呼ばれるようなテキストやフレームワークが存在する。
あなたも大学で聞きかじったことがあるかもしれない。

これらの基本的な考え方やフレームワークは、物事を考える時の指針にはなるだろうが、成功を約束してくれる「魔法の杖」ではない。

人も、技術も、価値観も、絶え間なく変化を続けている中で、新しいことに挑戦せずして、いったいどうして競合他社と差別化できるだろう?

『我々は満足することはない。なぜなら今年有効だった施策は、来年にはもう充分ではなくなっているからね』(Jonathan Mildenhall)

既存の知識に頼ってばかりではだめだ。

知識や経験をガイドラインとして、競合他社から差別化をはかるための新しいアイデアを常に進化させていく絶え間ないチャレンジが必要なのだ。

ヒント4:コンテンツマーケティングに失敗はつきもの

『失敗を恐れ、リスクを取らず、イノベーションを生むための予算すら確保していないようであれば、その組織は成長するに値しないんじゃないかな』(Jonathan Mildenhall)

Jonathan Mildenhall率いるコカ・コーラ社はマーケティングの成功事例の宝庫のような会社だが、それも数多くの失敗の上に築き上げられたものだ。

”The New Coke”キャンペーンは同社の長い歴史の中でも大きな失敗とされている施策の一つである。

しかしこの失敗すらも、同社が「リスクを積極的にとって挑戦する社風」という極めて貴重なものをもたらした。

クリエイティビティにリスクはつきものだ。そして「リスク」とは「失敗する可能性」を意味する。
だが、ことコンテンツマーケティングに関しては失敗から学べることが非常に多い。

肝心なのは、発信するコンテンツ毎に確たるKPI(業績評価指標)を設定し、「なにがどう成功し、なにがどう失敗したのか」を明らかにすることだ。

コンテンツマーケティングは、継続的な発信を積み重ねていくことで効果を発揮する取り組みだ。

最初から無難な企画ばかりに終始していたら、成功はおろか失敗から学ぶことすら叶わないだろう。

ヒント5:差別化の源泉は内から生まれ出る

『組織が肥大してくるとマーケティングやクリエイティブといった機能をアウトソーシングしがちだ。しかし創造性を発揮するには、社内で様々な部門の人々が喧々囂々意見を出し合うスタートアップ的な姿勢が必要だと思う』(Jonathan Mildenhall)

アイデンティティとクリエイティビティは切っても切り離せない関係にある。
どんなに斬新な表現方法やテクノロジーも、ブランドアイデンティティなくしては意味をなさない。

製品やサービス、それを作っている社員や会社を興した創業者の想いに、オフィスの熱量。

そういった、ブランドアイデンティティの源を、現場の社員以上に理解している人間が外部にいるだろうか?

コンテンツマーケティングは一連のプロセスだ。

それを実行するにあたり、アウトソーシングの”使いどころ”はもちろん存在する。
しかし、施策の成否を左右するアイデアの源泉はやはり社内で生み出すことが望ましいだろう。

まとめ

いかがだっただろうか?

実際、コカ・コーラ社の新しいコーポレートサイト「Coca-Cola Journey」は、とても楽しいサイトに仕上がっている。

筆者は特別コーラ好きというわけではないが、本記事のためのリサーチ中、様々なニュースやトピックをついつい読みふけってしまった。

ここまでの労力とコストを費やすことが出来るのは大企業ならではだろうが、同サイトには最新のコンテンツマーケティングのノウハウがてんこ盛りだ。

ぜひ、一度訪れてみてほしい。