なぜCMOは代理店に不満を感じているのか?海外のアンケート結果の紹介

デジタルマーケティング

イノーバCEOの宗像です。マーケターを巡る環境がデジタルする中で、クライアントと我々サービス提供者の関係も激しく変わってきていると感じています。米国のビジネスメディアForbes.comに、代理店との関係に関して、CMOに行ったアンケートの結果が掲載されていました。執筆者の許可を得たので、以下に掲載します。

CMOが考える今後の代理店とのつきあい方

まもなく、ニューヨークでアドバイタイジング・ウィークが開催されるが、このタイミングで、広告代理店の関係者は、広告代理業の将来についてもっと心配すべきではないか。マーケティング・コンサルタントのアビダン・ストラテジー社が行った調査によれば、クライアントの62%がエージェンシーを単なるサプライヤーだと見なしており、もはや代理店との関係は、パートナーシップではないと言っている。

広告代理店は、過去数年、極めて大きな変化にさらされている。クライアントからマージンを引き下げられ、サービスがコモディティ化し、テクノロジーの登場で、これまで果たしてきた役割が揺るいでいる。代理店は、ビジネスモデルを変革すると話をするけれども、乗り越えるべき課題は極めて大きい。我々が行った調査(第5回クライアント・エージェンシーの関係性に関する調査。9月15-19日に、主にCMOを対象に実施したもの)でも、クライアントの不満が増しているという結果が出ている。

調査結果の中でも、もっとも衝撃なのは、クライアントが戦略立案とプランニングをインハウス化しつつある事で、代理店がブランドの戦略立案を受託する事が無くなってきているという事である。
代理店は、IMC(Integrated Marketing Communication統合マーケティングコミュニケーション)を実践し、異なるチャネルを通じて統一したメッセージを行う事に課題を感じている。メディア環境が急速に細分化するなかで、これが、代理店にとってのアキレス腱となりつつある。

クライアントは、代理店の人材のレベルが十分ではない、あるいは、十分に教育されていないと感じており、トラディショナルな代理店がデジタルのモデルにシフトしていく事ができないのではないかと思っている。

こうした不満が生まれる背景としては、クライアントの多くは、より少人数のマーケティングスタッフでの運営をせざるを得ない状態になっており、少ない人数でより多くの仕事をしなくていけないという状況がある。メディアが細分化し、消費者のロイヤリティが変わりゆく中で、大量のデータを理解しなくてはならず、単純に圧倒されてしまっている。しかし、代理店は、クライアントを効果的に支援するための施策を行っていないのだ。クライアントは、従来の代理店との関係とは違う形でのパートナーシップを探しているという事ではないかと考えている。

信頼関係が無くなっている事ほど、関係性を壊す事は無い。信頼関係が無ければ、クライアントと代理店の関係性は、極めて脆弱なものになる。代理店に不満を感じている主な理由を訪ねた所、73%が、代理店が真の顧客インサイトを見つけ出す事が出来ない事と指摘しており、58%は、代理店がメディアに対してニュートラルな提案をしない(例え、それがクライアントのメリットになるとしても)と答えている。逆に、代理店は、様々なコミュニケーションの問題の解決策として、テレビを押しすぎている。

53%は、代理店がクライアントのビジネスに影響を与える事項についての理解が足りないと思っており、ほぼ同数が、顧客の事業内容に関する知識や理解が不足しているとか、市場環境への反応が遅いと感じている。

他にもある期待値のずれ

オーディエンスが細分化し、オフラインとオンラインを統合しなくてはいけない時代においては、代理店はクライアントの期待に答えられていない。代理店が統合したソリューションを提供する事が「とても上手である」と答えた人は、わずか16%であり、代理店がコミュニケーションに対して、統合的なアプローチを取っているかという事に対して、78%は不満を感じている。

人員不足と、スタッフの経験不足も、代理店のもうひとつの大きな問題だ。約半数が、代理店の人員の質と離職率を問題として上げている。

わずか32%が、伝統的な代理店がデジタルマーケティングの能力を獲得し、拡張していく事に成功していると答えている。一方で、68%は、代理店は、ビジネスモデルの移行させ、デジタルにキャッチアップする事に苦しんでいると答えている。クライアントの中には、デジタルエージェンシーでさえも、デジタルを理解できていないという人も居た。

パートナーシップの新しい形

リテーナー型の契約(AOR)は、過去のものとなりつつある。82%は、AORとプロジェクト型の組み合わせに移行しようと計画している。62%は、特にデジタルとクリエイティブの分野で、インハウス化を進める予定だと言う。

コミュニケーションのエコシステムがどのように変わっていくのか、まだ明確ではないが、マーケティングミックスが細分化しているために、新しい形のクライントと代理店の関係が登場することを示唆している。クライアントは、現状のパートナーシップ関係とは、別のソリューションを探している。

出典:What CMOs Are Saying About The Future Of Their Relationships With Agencies

所感

みなさん、この記事を読んでどのように思われただろうか?

個人的に注目しておきたいのは、「少ないリソースでデジタルメディアを運用しないといけない」というのが、クライアント側にとって、大きなペイン(課題)であるという事である。どんどんメディアは細分化するし、増え続けるデータを分析しないといけない。異なるチャネルでどのようにコミュニケーションを行っていくのか?大変なのは当たり前だろう。

サービス提供者側、この記事で言う所の代理店サイドは、現状このペインを解決できていない。その結果がアンケートでの不満に繋がっていると思われる。

これはもちろんアメリカでの調査内容なのだが、抱えている課題は、日本でも同様だと思う。

我々、サービス提供者としては、課題を解決出来ていない現状を謙虚に反省する必要がある。更に、その上で大きなビジネスチャンスがある事を再認識すべきである。テクノロジーへの専門性とマーケティングへの理解を両立させ、真に顧客の課題を解決する会社が、クライアントの信頼を得てビジネスを拡大する事が出来るだろう。