先進国から東南アジアへ クラウドソーシング動向最前線

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日本でも注目を浴びつつあるクラウドソーシング。今朝一番、デザイン特化型のクラウドソーシングサービスdesignclueを運営するPurpleCowsが、フリーランサーの実態に関するレポートを発表した。
クラウドソーシングだけでなく、グローバル労働市場の今後の動向を理解する上で、非常に示唆深いレポートになっているので紹介したいと思う。
クラウドソーシング報酬の相場は月5万円~10万
下のグラフは、designclueに登録しているデザイナーを対象にした、報酬に関するアンケートの結果である。日本のみならず、インドネシア・フィリピン・マレーシアなどのデザイナーも調査対象に入っている。
5万~10万円という層が約半数を占めているが、10万円以上稼ぎ出すデザイナーも20%程度いるようだ。日本の賃金水準を考えると、やはり副収入程度の額でしかないような気がしてしまう。しかし、東南アジアの賃金水準をベースに考えると、この数字の見え方が変わってくる。(8月2日現在:$1=99.66計算)
インドネシアでは平均賃金の3倍以上
続いて、以下のグラフを見ていただきたい。
先程のグラフから、インドネシアのデザイナーのみを抽出すると、1か月当たり平均8万3000円という数字が出てくる。これは、インドネシアの平均賃金2万3800円の約3.5倍に相当する。労働時間数なども考慮する必要があるが、インドネシアのデザイナーにとって、クラウドソーシングは非常に割の良い仕事なのだ。
日本では平均賃金の3倍以下
では、日本の場合はどうなのだろうか?
グラフを見る限り、平均賃金が32万9000円であるのに対し、クラウドソーシングでの平均報酬は11万9000円に過ぎない。クラウドソーシングによる報酬は、平均賃金の3分の1程度でしかないのだ。
以上のように、途上国と先進国ではクラウドソーシングのポジションが異なることが分かる。日本では、いまだに副収入を得る手段という役割であるが、途上国では高収入を得る手段としてのポジションを確立し始めているのだ
案件の流れは先進国から途上国へ
さて、次はクラウドソーシングの案件の流れを見てみよう。 以下のグラフは、designclueに登録しているデザイナーが、どこの国から案件を受注しているのかを示したものである。
受注側はインドネシアなどの東南アジアの国々のデザイナーが多いのに対し、発注側はアメリカ、オーストラリア、日本などの先進国が大半を占めている。このグラフから、先進国から途上国へのクラウドソーシングの流れが生じているのが分かるだろう。
先進国としては、国内のデザイナーより途上国のデザイナーに頼んだ方が安く案件を発注できるのだ。また、途上国のデザイナーとしても、国内の案件よりも先進国から案件を受注した方が、高い報酬を得られることが多い。
まとめ
どうだっただろう。 国内のクラウドソーシング事情に目が行きがちだが、この流れは世界の労働市場を巻き込んで、人々のワークスタイルに変化を及ぼしている。
20世紀に起こったアウトソーシングの流れは、企業が海外の企業に業務の一部を外注するというものだった。その流れは、世界経済の構造や人々の働き方を大きく変えてしまった。
そして21世紀にまた大きな流れが生まれつつある。企業単位から個人単位での業務委託、というクラウドソーシングの流れだ。やがてこの流れが、かつてのアウトソーシングのように、経済構造や人々の働き方をドラスティックに変えていくのだろう。
本レポートは、今後の労働市場や働き方を考える上で非常に示唆深い内容になっている。フリーランスの方でなくとも、学ぶことが多いのではないだろうか。興味のある方はぜひチェックしてみていただきたい。
参考元:世界中のフリーランスデザイナーの実態を調査した“クラウドソーシング白書2013の第2弾”を発表 ~世界最前線のワークスタイルのリアルをお届け~
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