コンテンツマーケティング成功事例(ベンチャー編)

EC(Eコマース)

以前、コンテンツマーケティングが、ビジネスをスタートしたばかりのベンチャー・スタートアップにとって、マーケットからの認知向上とターゲットカスタマーとの関係構築のための効果的な手段であることを述べた。

参考:ベンチャー・スタートアップこそコンテンツマーケティングを始めるべき10の理由

一方、ターゲットマーケットやカスタマーの特性によって、コンテンツマーケティングにもいろいろなアプローチがありうる。

そこで今回は、サンフランシスコとトロントをベースに、スタートアップ企業のスケールアップをサポートするOnboardlyの共同創業者Renee Warrenのブログ記事を参考に、コンテンツマーケティングを活用して、ロケットスタートを切ることに成功したアメリカのスタートアップ企業の具体的な事例を3つ紹介しよう。

Reneeは記事の冒頭で、事例に登場する3つのビジネスが、そもそも素晴らしい商品と、UI/UX、バイラルループ、そして優秀なチームをもっていたこと、そして、アドワーズや一般的なPR戦略、そしてパートナーシップも活用していたことを認めている。

しかし、その上で彼女は、それぞれに異なるコンテンツマーケティング戦略が、3社のブランドメッセージの拡散とマーケット内でのポジション確立に大きな役割を担ったと述べる。

それでは見ていこう。

1.ニッチマーケットに特化する:Unbounce

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出典:Unbounce Blog

Unbounceはランディングページ作成&A/Bテストツール提供に特化したサービスだ。豊富なテンプレートやフォーム、カスタマーへのメール送信機能、などランディングページに関わる機能をワンストップで提供、誰でも簡単にWeb上でランディングページがつくれてしまう。

さらにUnbounceは、その情報量豊富なブログでも有名になった。ランディングページ最適化のヒントから、テンプレートアイディア、効果事例にいたるまで、ランディングページに関するありとあらゆる情報を公開。オンラインマーケティング担当者やデザイナーにとって、最高のリソースを提供している。

ランディングページという非常にニッチなポイントに特化したUnbounce。ビジネススタートアップの初期から、認知度を高めるためにコンテンツマーケティングをうまく活用してきた。

コンテンツを使ったマーケットの啓蒙

Unbounceは、商品が今のかたちにブラッシュアップされる前から、コンテンツマーケティングをマーケットの啓蒙に使ってきた。また、他サイトへの記事提供も数多く行ってきた。

マーケティングディレクターのGeorgina Laudiはこう語る。

「Unbounceはサービススタート前から、ランディングページやコンバージョンへの興味喚起や啓蒙にコンテンツマーケティング使ってきました。『ランディングページを最適化するための101のヒント』や『初心者のためのオンラインマーケティングガイド』などの記事はネット上で露出し、ターゲットとなるカスタマーコミュニティとつながりを築くのに大きな意味をもったと思います。」

“ランディングページのことならUnbounce”という地位を確立

現在も、Unbounceのブログ一覧を見ると、例えばランディングページの効果事例から、ランディングページに誘導するリンク文言に関するヒントなど、ランディングページに関するありとあらゆる情報が集まっている。

Unbounceの情報提供はブログ記事だけにとどまらない。 独自のセミナー動画の公開、ebooks出版、リソースライブラリーの拡張などを通じ、自社に蓄積したナレッジをおしみなく読者に公開。ランディングページに関する情報ならUnbounce、という地位を確立しているのだ。

領域のエキスパートとブログを通じてコミュニティを形成

Unbounceは、毎週2つか3つ、クオリティの高いブログ記事をアップしている。

半分は社内で作成されたものだが、残りの半分はコンバージョンに詳しい外部のエキスパートによるものだ。Unbounceは社内にとどまらず、コンバージョンレート最適化に関わる領域で才能ある人々を長い時間をかけて探し、ネットワークを築き、定期的にブログに寄稿してもらっており、ブログが領域のエキスパートからの新鮮なナレッジが集まる場になっているのだ。

Unbounceブログ上ではそうしたエキスパートの関わる外部サービスも、喜んで宣伝してもらっている。しかし、ブログが有用な情報の集まる場になると、そうした情報を必要とするカスタマーも集まってくるようになったのだ。

Georginaはこう続ける。
「Unbounceにとって、こうしたコンテンツの提供は多くの意味をもっています。内部の人間にとっては、常に学び続けるための原動力に。カスタマーコミュニティの近くで、彼らの興味関心やニーズに常にふれていることで、どんどんサービスをブラッシュアップできるからです。一方、外部に向けては、楽しめて、かつ勉強になるコンテンツをカスタマーやソーシャルネットワークに提供できる。正直なところ、アクティブなブログ更新なしのソーシャルマーケティングなんて考えられないです。」

2.情報ギャップに注目、著名ブログサイトを活用:Mint.com

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出典:MintLife Blog

コンテンツマーケティングの成功事例として語られることの多いMint.com。個人向けの資産管理サービスを提供するこのサイトは、サービススタートアップ初期から、コンテンツを使ってマーケットのマインドシェアを高め、存在感をあらわしたコンテンツマーケティング先駆者のひとつだといえる。

ターゲットマーケットでの情報ギャップに注目

Mint.comは、銀行の出入金管理や、クレジットカード管理、ローン支払、貯蓄など、生活に密着した個人資産管理のためのWebサービスを提供している。

比較的若い層もターゲットになるため、彼らはまず、若いビジネスマンに向けて個人資産管理に関するブログを構築することに集中した。例えば、その内容はクレジットカードの活用方法から、日々のお金の節約ヒントといったものまで多岐にわたった。

当時、20代ビジネスマンに向けたそうしたお金に関わる情報が少なかったため、Mint.comのブログコンテンツはターゲットのニーズに見事にマッチ。アメリカではパーソナルファイナンスの領域で一番のブログとして認識されるようになった。

「サービスのアプリ自体がバイラルすることが難しくても、ブログ記事がDiggやRedditt(アメリカを中心に人気のソーシャルニュースサイト)で定期的にヒットすることで、アプリへの流入を稼いでいる」と、Mint.comのデザイナーJason Putortiは語る。

コンテンツ専門チームを設置

Mint.comでは当初、創業者たちがすべてのブログ記事を作成していたが、コンテンツがカスタマー獲得に大きな役割を果たすことがわかってくると、コンテンツ作成に関わる専門チームを社内に設置するようになった。

コンテンツマーケティングのコンサルタントを雇い、ブログコンテンツを定期的に更新、マーケットに広まるためのしくみを設計。ライターや、その業界の第一人者にも定期的にブログ執筆を依頼するようになった。また、フルタイムの編集スタッフやライターの雇用に加え、Redittや Diggのようなソーシャルサイトに時間をかけて深く関わるフリーランスのスタッフも抱えた。

Lifehackerなど影響力ある外部サイトを活用

さらにソーシャルメディアの活用においては、一般的に考えられるようなTwitterなどの活用だけでなく、Gawker Media配下にあるGizmodeやLifehackerなどのブログメディアをうまく活用した。Mint.comでは、GizmodeやLifehackerと同じ読者層に響くようなブログ記事を作成。

すると、そのメディアに記事提供するブロガーに取り上げられ、数多くのシェアを生み、結果としてソーシャルメディアへの大きなトラフィック源となったのだ。Jasonは、「そうしたメディアの影響力は非常に高く、一度取り上げられるだけでサーバーがクラッシュするほどのサイト流入がある」とも語る。

3.全ての秘密をシェアしてしまう:Freshbooks

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出典:Freshbooks Blog

Freshbookはスモールビジネス向けに、Web上でのシームレスな請求システムを提供するサービスだ。

面倒な月々の請求作業や入金確認に悩むスモールビジネスのオーナーは多いと思うが、Freshbookはそうしたオーナーに、シンプルでわかりやすいサービスを提供、加えて、彼らに本当に役に立つブログ記事などのコンテンツを提供することで、高いターゲットクライアント獲得とリテンションを実現した。

Freshbooksのコアクライアントは、小~中規模のビジネスを立ち上げたアントレプレナーたちで、平均1000ドル(約10万円)代の請求を中心に処理している。FreshBooksは、平均で11日早い入金を可能にし、請求作業にかかる時間を毎週8時間短縮している。シンプルでわかりやすいサービスが、請求入金にかかる時間の短縮に寄与したのは確かだ。

しかし、それだけではない。Freshbooksは、活用方法をわかりやすく解説・啓蒙するコンテンツを数多く提供。それにより、ユーザーはつまづくことなく請求入金作業を終えられるのだ。

実際のクライアントストーリーを記事にする

Freshbooksの提供する記事には主に4種類の柱がある。

1.サービス利用の上でよくある問題を解決するためのコンテンツ
2.クライアントストーリーを語るもの
3.サービスをつかうきっかけづくりをするもの
4.内輪のネタをシェアするもの

実際にサービスを使ったクライアントが、どんな風にサービスを使ったか、どんな風にプロダクトが助けになったかを、リアルに語るコンテンツは中でも人気コンテンツになっている。

取り上げられたクライアントにとっても、スタートアップストーリーがブログにフィーチャーされることほどうれしいことはないだろう。そして、心に響く話はシェアもされやすい。これこそがFreshbooksのコンテンツが高いリテンションを導く、ひとつの要因にもなっている。

まとめ

どうだろうか。参考になる点はあっただろうか?

同じコンテンツビジネスでも、ターゲットとするマーケットによって、違うアプローチが効く、ということがわかったのではないだろうか。

コンテンツマーケティングは決して、一朝一夕に効果が出るものではない。少し時間はかかるし、あなたのビジネスにあわせて戦略を練ることも必要だ。しかし、一度カスタマーと関係性を築くしくみができてくると、あなたのビジネスファンになってくれたカスタマーが、ビジネスを押し上げ、広げる手助けをしてくれるだろう。

参考元:How Content Marketing Rocketed These Startups Forward
Photo: Some rights reserved by plewicki, flickr