Cadbury Glowの巧みなマーケティング戦略:チョコレート+カスタマイズされたギフト

デジタルマーケティング

空気がぐんと冷えてきて、チョコレートが恋しくなる季節になった。チョコレート業界では売り上げが伸びるベストシーズンを迎え、巧みなマーケティング戦略を持つ商品が続々と登場している。

そのひとつが、「Cadbury Glow(キャドバリー・グロウ)」のチョコレートだ。Cadbury Glowとは、2014年9月に、インドにあるMondelez International(モンデリーズ・インターナショナル)社が発表した、ギフト用のブランドである。

Cadbury Glowのギフトチョコレートはメッセージや歌、写真、動画などで思い出や気持ちをチョコレートと一緒に贈ることができるという。

そこで今回は、このCadbury GlowのTwitterをはじめとする、ソーシャルメディアを味方につけた戦略を取り上げていきたい。

贈れるのは「贅沢な高級チョコレート」……だけじゃない!

cadbury-glow-chocolate_2.png出典:Cadbury Glowのチョコレート。

Cadbury Glowは、スロバキアで作られたプレミアム品質のチョコレートを輸入し、インドで再包装している。チョコレートギフトボックスは16個入り(400ルピー)、24個入り(600ルピー)、限定の54個入り(2000ルピー)の3種類だ(2014年11月現在、1ルピーは約1.86円)。

Cadbury Glow の動画「Make the Moment Glow」

https://www.youtube.com/watch?v=YlIVElqlwLk

贈る人も受け取った人もシェアしやすいコンテンツ

贈る人は商品の裏面にあるQRコードをスマートフォンなどでスキャンして、歌、メッセージ、動画、フォトアルバムのいずれかを選択し、指示に従って動画を作成したりメッセージを記入したりする。そして、受け取る人の電話番号でパーソナライズしたギフトにロックをかける。

受け取る人は同様に、商品の裏面にあるQRコードを読み取り、自分の電話番号を入力してロックを解除し、贈られたギフト(歌、メッセージ、動画、フォトアルバム)を楽しむことができる。

cadbury-glow-chocolate_3.png出典:ギフトの方法。操作はとても簡単(「Cadbury Glow」の公式ページより)

贈る人はパーソナイズギフトをロックしたときに、受け取る人はロックを解除してそのギフトを見たときに、ソーシャルメディアに簡単にシェアできるようになっている。

32万人以上のフォロワー数を誇るメディアに取り上げられて話題に

実際にこのギフトチョコレートはブログメディアに取り上げられ、Twitterでも話題になった。

きっかけとなったのは、インドのブログメディアMissMalini(ミス・マリニ)だ。MissMaliniはボリウッド(インド映画界)やファッション、ライフスタイルなどの情報を発信するブログメディアだ。このブロガーの一人が、親しい友人から「Cadbury Glow」のギフトチョコレートと動画をプレゼントされた。その旨を公式Twitterでツイートすると、多くのフォロワーのリツイートにより拡散された。

cadbury-glow-chocolate_4.png出典:「MissMalini」は、ボリウットやファッションなどのトレンドを発信している

2014年11月現在、MissMaliniのTwitterフォロワー数は32万人以上。サイトの新着記事や最新情報をチェックすることができるため、フォローする人が多く、ツイート内容が一気に拡散されやすい。MissMaliniは、インドにおける若者世代のトレンドに多大な影響力を持つメディアのひとつだ。

インドのソーシャルメディア情報に特化したブログ「Lighthouse Insights」によると、「#GlowMoment」と「#MakeTheMomentGlow」というハッシュタグがついたツイート数は、今年の10月半ばまでに50万件以上になるという。

日本での類似例:AGF「春のサンタに、なろう」キャンペーン

2014年4月に日本でも行われていたAGF(味の素ゼネラルフーヅ株式会社)の「春のサンタに、なろう。一杯の『ありがとう』を、とどけよう。」キャンペーンは、今回取り上げた「Cadbury Glow」とよく似ている。

cadbury-glow-chocolate_5.png出典:味の素ゼネラルフーヅ株式会社のニュースリリースより

スティックコーヒーのギフトはサンタの形をした箱に入っていて、そのギフトと一緒に送られてくるカードにあるQRコードをスマートフォンで読み込む。箱の上にスマートフォンを載せると、画面上に現れた春のサンタの口が、贈る人が登録したメッセージを読み上げてくれるというサービスだ。国内や海外のメディアにも多く取り上げられ、話題になった。

AGF GIFT 「しゃべるギフト」で春のサンタに、なろう。

https://www.youtube.com/watch?v=06_J1zBZ8bE 【パーソナライズしたしゃべるギフトは、サンタがメッセージを読み上げてくれる。】

メディアはバナー広告の1.6倍の影響

ニールセン社が発表した「商品の購入に対するメディア別関与影響度」によると、「新聞記事などの編集された媒体」は「バナー広告」のおよそ1.75倍の影響力がある。

cadbury-glow-chocolate_6.png出典:ニールセン「商品の購入に対するメディア別関与影響度」

つまり、メリットや強みだけをアピールした広告に比べて、ユーザーの目線により近いメディアによる本音の情報は、購入の意思決定への影響度が大きいのだ。

大手メディアにより記事として取り上げられたり、Twitter上でアルファツイッタラー(フォロワー数が多く、影響力が強い人)にツイートされたりすることは、広告よりも迅速に、広範囲に影響を及ぼすようだ。さらに、商品やサービスの購入を考えているユーザーにとって、広告よりも高い信頼性がある。

まとめ

ブログメディアの編集部やアルファツイッタラーは、常にバズるネタを探している。そのときにキーになるのが、その商品の「ずば抜けた個性」と「斬新さ」。そして、そこに「誰かに教えたくなる要素」があるかどうかだ。

今回ご紹介したCadbury Glowのギフトチョコレートは、ブロガーに「書きたい」と思わせ、アルファツイッタラーに「ツイートさせたい」と思わせたからこそ、拡散を生むことができたのだろう。

もちろん、その根底にはギフトチョコレートを贈った人と受け取った人が「感動」し、その体験をシェアしたいと思わせる、Cadbury Glowによる「ニクい」マーケティング戦略があった。それがあってこそ成功した事例といえるだろう。

参考元: Cadbury Glow How A Premium Chocolate Was Launched With A Personalized Touch On Digital Miss Malini AGF

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