下期プランニングに向けて、BtoBマーケティングの打ち手とおさらい

インバウンドマーケティング

2016年上期も残りわずか。上期の進捗を受けて下期のマーケティング計画を見直し、調整を加えようとしている方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はBtoB(”Business to Business” = 法人向けビジネス)業界のマーケティング担当者に向けて、あらためて知っておきたい手法とトレンドを紹介します。

「目標は明確だが打ち手に検討余地あり」なら、BtoBマーケティングの手法の選択基準と概観をおさらいしよう

時間とリソースに制限があるなかで、数あるBtoBマーケティング施策から自社に最適なものを選びとり、成果につなげるためにはどうしたらよいのでしょうか。

本来、「手段の目的化」は避けるべきですが、目標が明確であり、それに対してとりうる打ち手が複数ある場合は、それらをすべて洗いだして検討するアプローチも有効です。

マーケティング施策の優先順位づけのポイントであるBtoB顧客の特徴を踏まえつつ、どのようなマーケティング手法を戦略的に展開するべきか、実際にどのような手法があるのかを紹介しましょう。

BtoBマーケティング手法の分類

マーケティングの施策は、大きく分けて「アウトバウンド型」と「インバウンド型」の2種類が存在します。

アウトバウンド型

自社から見込み顧客に対してプッシュのアプローチを行うマーケティング施策のことです。

一般的に、短期で成果が出やすいことや接触効果の高いことがメリットですが、自社から見込み顧客に対して一方的な情報発信になる場合が多く、露出を増やすためにコストがかさんでしまうデメリットもあります。

例)新聞・雑誌・Web広告、テレマーケティング、ダイレクトメール、FAX DM、展示会など

インバウンド型

有益な情報を継続的に発信することで、見込み顧客から自社に問い合わせをしてもらえるようなしくみを作る施策のことです。こちらは、顧客側から主体的に選んでもらうことに主眼を置いているため、コンテンツが資産となり継続的な成果が見込まれるメリットがあります。

一方で、予算に対する成果が予測しにくい、短期間で成果を出しにくいといったデメリットも。

例)Webサイト、ブログ、オウンドメディア、セミナー、ソーシャルメディア、コンテンツマーケティング、リードジェネレーション、eBook・ホワイトペーパー、調査レポートなど

BtoB顧客の特徴

手法の優先順位を決めるにあたって、BtoB顧客に固有な特徴を理解することが重要です。

BtoB顧客の特徴としては、以下の3つが挙げられます。

1 ニッチ性

BtoBの製品やサービスの購買は、見込み顧客側にそれぞれ特有の課題があって初めて実現します。すなわち、マーケティングやセール活動において、顧客像がはっきりしている場合が多いでしょう。

そのため、ターゲット顧客のペルソナを作成し、意思決定に必要な情報をピンポイントかつ適切なタイミングで届けられる手法が有効です。

2 長期的・組織的・合理的な意思決定のプロセス

BtoBの製品やサービスの買い手は、購買の決定を判断する際、合理的な判断を下すために長期的で組織的な意思決定のプロセスを経ることが多いです。

そのため、潜在顧客を段階的に、粘り強く、説得・育成するマーケティング手法が必要となります。

3 複数のステークホルダー

BtoBの製品やサービスの購買において、多くは担当者が情報収集を行い、その情報を意思決定者に提供するというプロセスを経るため、情報収集者と意思決定者が異なります。そのため、組織的なニーズとROI(投資収益率)を満たすことが必要です。

情報提供の際は、買い手の購買検討プロセスや立場を考えましょう。検討段階前半の見込み顧客(情報収集者)に対しては企画立案のための情報を、検討段階後半の見込み顧客(意思決定者)に対してはROIや実績など、投資判断を促すような情報を提供することをおすすめします。

アウトバウンド型とインバウンド型の併用を

上記3つの特徴から、不特定多数を対象にするアウトバウンド型のマーケティング施策はBtoB顧客に対して非効率である可能性が考えられるでしょう。インバウンド型の施策も併用することで、効率的なBtoBマーケティングを展開しやすくなります。

また、昨今のBtoBにおいて、情報源に占めるWeb上の情報の割合が非常に大きくなってきているという背景も考慮すると、オウンドメディアやソーシャルメディアを駆使したマーケティング手法が重要です。さらに、購買フェーズに応じた情報提供も必要となります。

BtoBマーケティングにあたっては、これらを踏まえて考えられる施策を洗いだし、最も効果的な手法を検討しなくてはなりません。下記の関連記事では、具体的なマーケティング手法について列挙するとともに、それぞれの「概要」「メリット」「デメリット」をまとめています。手法選択の参考にしてください。

「目標の見直しや、目的の再定義まで求められている」なら、デマンドジェネレーションを視野に入れよう

これまで広告や宣伝活動によるブランディングや、展示会への出展、商材のカタログやフライヤーの制作といった「販売促進」のプロモーション戦略をとってきたマーケティング組織でも、近年、商材の成約と売り上げにつながる「需要創出」が求められるケースが増えてきており、「デマンドジェネレーション」が注目を浴びています。

デマンドジェネレーションとは

デマンドジェネレーション(Demand Generation)は「需要創出」と訳され、営業活動の起点となる良質な見込み顧客のリストを作りだすための一連の活動を指して使われます。一般的に、BtoBの購買検討プロセスはBtoCのそれと比べると長いため、営業活動を効率化させるためには営業活動のもととなる見込み顧客リストの「質」が重要です。

BtoBマーケティングを導入している企業では、営業部門はマーケティング部門が収集した見込み顧客リストをもとに営業活動を展開します。しかし、自社Webサイトや展示会などから獲得した見込み顧客リストのすべてが案件化して受注につながるわけではないため、リストをそのまま利用すると時間・コスト面で非効率です。

このような問題を解決するために、デマンドジェネレーションが重要視されるようになりました。

デマンドジェネレーションの3ステップ

1 リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、見込み顧客(リード)を集めるための一連の活動です。

自社の製品・サービスを購入しうる具体的なターゲット層を定義し、そのターゲット層に重なるような見込み顧客をなるべく多く獲得することを目的とします。

例)展示会の実施、自社Webサイトの運営、広告出稿、セミナーの運営、DMやメールの送信

2 リードナーチャリング

ナーチャリングが育成を意味することから、「見込み顧客育成」と訳されるリードナーチャリング。この段階では、獲得した見込み顧客リストに対して自社から能動的なアプローチを行うことで関係性を強化し、購買意欲を高めるための活動を行います。この際、それぞれの購買ステージにあるターゲットに合わせた情報を提供することが大切です。

例)メールの配信、Webコンテンツやノウハウ資料の提供、無料セミナーの開催

また、リードナーチャリングの施策を実行する際には、顧客リストの一元管理も欠かせません。CRM(“Customer Relationship Management” = 顧客関係管理)のためのソフトウェア導入や効率のよい活用が求められます。

3 リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションでは、スコアリングと呼ばれる手法を用いて見込み顧客の購買意欲を評価し、受注につながる確率の高いものを抽出します。

具体的には、企業規模、業種、担当者の職位、行動の記録(展示会参加、メールへの反応、資料ダウンロード、サイト上での閲覧ページや時期)などを点数化。一定の点数を満たした見込み顧客に絞り込んで質の高い顧客リストを作成し、営業部門へ受け渡すのです。

なお、昨今ではリードジェネレーションからナーチャリング、クオリフィケーションまでをワンストップで管理できるMA(Marketing Automation = マーケティング・オートメーション)のツールを導入し、受注につながりそうなリードを機械的に抽出するしくみを構築する取り組みに注目が集まっています。

デマンドジェネレーションのカギ、マーケティング部門と営業部門の溝をつなぐ「インサイドセールス」

デマンドジェネレーションにおいて、企業の究極的な目標は利益を上げることです。そのためには、マーケティング部門と営業部門がスムーズに情報をやりとりできる連携が重要なカギとなります。

これらの部門の円滑な連携を保つためには、顧客情報基盤を整備し、両者が情報交換やフィードバックを継続し、見込み顧客の精度を高めていく取り組みは欠かせません。一方で、いま注目を集める「インサイドセールス」も両者の橋渡し役を果たします。

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、電話やメールによるコミュニケーションを主体とした内勤営業のことです。BtoB企業におけるインサイドセールスは、見込み顧客に対して電話やメールなどでニーズをヒアリングし、リードナーチャリングを経て、まだ潜在的な状態にあるニーズの顕在化を後押しします。

インサイドセールスへの期待

インサイドセールスが注目された背景

企業が購買検討をする際、その多くの商品やサービスが高額であることから、事前の情報収集活動に多くの時間と労力をつぎ込み、論理的な意思決定を行います。

Corporate Executive Borad社のBtoB企業1400社の購買担当者に対する調査によると、企業間取引(BtoB)において、その意思決定プロセスの57%を営業担当者との接触前に済ませているとのこと。また、情報収集においては、企業のWebサイト、業界サイトや専門サイト、ニュースサイトなどのWeb上の情報が重要視される傾向にあるようです。

しかし、情報ニーズが専門的でニッチであれば、当然検索難易度は上がってしまいます。インサイドセールスは、興味をもって自ら情報収集をはじめた見込み顧客に対して、その個別のニーズに応じた適切なアプローチをすることで、ニーズを顕在化し、購買検討プロセスを後押しすることができると期待されているのです。

インサイドセールスの果たす効果

インサイドセールスによって見込み顧客とコミュニケーションをとることで、リードナーチャリングとリードクオリフィケーションが期待できます。

また、インサイドセールスはマーケティング部門と営業部門の間のギャップを埋め、両者の橋渡しの役割も担っています。リードクオリフィケーションを経て得た具体的な顧客の情報を共有することで、マーケティング部門から営業部門にバトンタッチしたのちにスムーズに商談に進むことができるのです。

インサイドセールスの注意するべきポイント

インサイドセールスは、「売り込まない」ことが何よりも重要です。インサイドセールスに必要なことは、見込み顧客に寄り添い、現状を理解する「聴く力」や、会話を通して課題に気づかせる「質問力」だといえます。

インサイドセールスを導入する際は、企業規模、業種、部門、役職といった属性やニーズ、課題など、ターゲットとする見込み顧客を具体的に設定しましょう。また、どのような情報提供やヒアリングを行って見込み顧客を仕分けていくのか、あらかじめ定義しておくことも欠かせません。

そして、インサイドセールスがマーケティング部門と営業部門の橋渡し役となるために、見込み顧客の評価指標(KGI/KPI)を設定し、継続的にモニタリングして改善を加えていく必要があります。

最後に

BtoBマーケティングの打ち手の考え方と手法をおさらいしました。

BtoBマーケティングにおいて、見込み顧客の獲得と潜在ニーズの顕在化は必要不可欠です。どうやって見込み顧客を獲得し、ニーズを育てていくのか、あらゆる手法を検討し、自社に合ったものを選べるようになることを期待しています。