ブランディングでも活用したいSNS。それぞれの特徴と注意点

経営・ビジネスハック

企業にとって非常に大切なブランディングにおいても、最近ではSNSの活用が広がっています。その背景と実施する際のポイントについてまとめました。

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そもそもブランディングとは?

最初にしっかりと認識を持っておきたいのが、「ブランディング」という言葉の意味です。広報活動と勘違いされることもありますが、両者は別物。広報は自社に関するさまざまな情報を第三者(メディア)を通じて消費者に情報発信をする手法のことです。一方、ブランディングとは消費者に企業に対する特定のイメージを持ってもらう活動全般、ということができるでしょう。

ブランド、というと日本ではシャネルやグッチのような高級品の代名詞となっています。しかし、本来の意味でのブランドとは決して高級品だけにあてはまるものではありません。ブランドは消費者がその企業に対して抱くイメージであるため、商品とは違って簡単に他社がコピーすることができません。このため、グローバル化が進み多くの業界での競争が激化する中、企業にとってのブランドの重要度は高まっているのです。

ブランドを構成する要素

この「ブランド」という目には見えない資産を定義したブランド・エクイティという言葉があります。アメリカの経営学者であるデイヴィッド・A・アーカー氏が90年代はじめに提唱したもので、ここでは生産設備のような有形資産同様、ブランドも投資を続けることで価値が高まり、事業を有利に進めることに貢献するとしています。この考え方によれば、ブランドが持つ価値は次のように5つあります。

  • ブランドロイヤルティ
  • ブランド認知
  • 知覚品質
  • ブランド連想
  • 他の所有権のあるブランド資産

たとえば、知覚品質を上げることで他社と同じような機能の製品であってもより価値が高いように感じさせることで自社製品を有利に販売できたり、ブランドロイヤリティを高めることで顧客囲い込みができたりするのです。日本語では「顧客のファン化」といわれることもありますが、こうした要素を高め、ブランドをより価値あるものにする活動がブランディングなのです。

 

SNSを活用したブランディングが注目される背景

企業のブランディングにおいて、最近ではSNSを利用するケースが増えています。これには、消費者が得た情報をもとに自ら判断する傾向がより強まっており、企業にとってのブランディングも単純な情報発信だけではすまなくなってきたという背景があります。このため、SNSを通じてさまざまなコンテンツを提供することで、消費者の一人ひとりにブランドをつくってもらう必要があるのです。

また、SNSを使ったブランディングはコストが抑えられるというメリットもあります。日本でブランドという言葉が高級品と同義になったのは、銀座の一等地に店舗を構えたり、顧客向けに大規模なイベントを開催したりするには多額の費用が必要なため、かつては大企業でなければ取り組めなかった、という事情もあるといえるでしょう。SNSを活用することで、一般的に多大なコストがかけにくい中小企業でも積極的にブランディングに取り組めるようになっているのです。

 

SNSごとに見る特徴

SNSを通じたブランディングを行うにあたっておさえておきたいのがSNSごとに異なる特徴です。以下のようにまとめることができるでしょう。

Twitter

どのような業態の企業であっても、公式Twitterアカウントによる情報発信を行うことは、もはや珍しくなくなりました。多種多様な企業が活用する理由は、やはりその情報拡散力の高さにあります。タイムラインに投稿する、流れてきた情報をリツートやいいねする、あるいはリプライする、と基本的な機能が絞られていることも情報発信のツールとしてポイントです。ただし、Twitter特有のノリを掴んだある種の「ネタ」がリツート・いいね数を伸ばす傾向にあるのも事実で、この点は企業アカウントの運用としてはやや難易度が高いかもしれません。

Facebook

Twitterに比べると「正統派」な書き込みがメインになるため、Facebookであれば企業アカウントとしての運用も比較的悩まずに行うことができるでしょう。全世界に膨大な数のユーザがいるだけではなく、友達や同僚といった”リアルなつながり”からのネットワークに影響を与えられることがポイントです。ただし、非常に幅広い年齢層が参加していることと若年層のアクティブユーザが減っていることで、ターゲットを絞ることが難しいかもしれません。

インスタグラム

写真がメインでインフルエンサーの活用も増えているSNSです。若年層や女性のユーザが多いこと、ファッションやグルメなど特定の分野に強いことでターゲッティングがしやすいでしょう。また、ハッシュタグをうまく活用して拡散させる手法もポイントです。ただし、宣伝要素を意図的におさえていることやURLを画像に直接埋め込むことができないなど、企業アカウントとしての運用には他とは違った難しさもあります。

 

複数のSNSを活用している企業の事例

上記の3つだけではなく、他にもブランディングで活用が考えられるSNSはありますが、ここで数多くのSNSを使いこなし成功をおさめている企業事例を見てみましょう。

福島県に本社を置くハニーズは、10〜30代の女性をターゲットとして全国に店舗を展開するアパレルメーカーです。同社が展開する女性向けカジュアルファッションは非常に流行に敏感な業界であること、さらにそれほど高額でないアイテムが主力であるため、流行に短期間で素早く反応し来客数を伸ばすことが経営におけるキーでした。そんな同社が顧客の声を取り入れるために力を入れているのがSNSです。運営するSNSの数は合計6つ。それぞれのSNSの特徴をよくつかんで活用しているといえます。

新商品やコーディネートの紹介をほぼ毎日行っているのがFacebookです。さらに、Twitterにはより個別のアイテムに絞った紹介が投稿されており、ECサイトへの誘導もあります。また、ファッションと親和性が高いことと、主要なアクティブユーザ層がハニーズのターゲットと重なるインスタグラムでのコーディネート紹介にも力を入れています。加えて、よりパーソナルなコミュニケーションが可能なLINEの公式アカウントでは、友達紹介キャンペーンやクーポンの配布なども行っています。この他にアメーバブログとPinterestでも情報発信を行うハニーズは、「私たちは、いつもお客様の『声』に真剣に向き合います」というブランドのメッセージを、SNSで顧客と積極的にコミュニケーションをとることでわかりやすく具現化しているといえるでしょう。

 

SNSでのブランディングで注意したい点

ブランディングは消費者に特定のイメージを持ってもらうことやファンになってもらうことを目的としています。ここでSNSは大いに成果を期待できますが、反対に「とりあえず」複数のSNSでアカウントを開設し、同じ内容の投稿を繰り返すようなやり方は避けるべきでしょう。企業価値を高めるための活動として、SNSの運用や投稿内容、効果測定についてもしっかりと検討して実施していきたいところです。また、先に述べたように個々のSNSには違った特性があるため、自社のブランドとの親和性を見極めることも大切といえます。

また、「とりあえず」の一例としても見られるのが画像サイズが最適でないというパターン。タイムライン上で目を引くこともあり、企業の投稿の多くが画像付きとなりますが、画像は視覚効果を狙ったものであることを忘れてはなりません。スマートフォンからかPCからか視聴方法によっても異なりますが、最適化されていない画像は見る側にとっては想像以上に不快なものです。ネガティブなイメージを持たれないためにも個々の投稿への細かい配慮が必要です。同様に、最近のSNSはスマートフォンでの閲覧が大前提。コンテンツのスマートフォン対応も必須といえます。

加えて、最近盛り上がりを見せているインフルエンサーを活用した投稿の場合には、企業との提携であることを示す「PR」をつけることも忘れないようにしましょう。

 

“バズ”だけではない長期的なブランディングを目指そう

SNSが普及してからのマーケティングの難しさは、単純に情報が拡散されれば成功、というわけではなくなったところ。ブランディングに関しても、SNSの特性を見極め良質なコンテンツをつくり、継続的に顧客の感情に寄り添うことが求められています。

しかし、マーケティングの取り組みには、まだまだ悩みや課題のある企業様が多いようです。そのような方々に向け、イノーバでは、伴走型マーケティング支援サービスを提供しております。関心のある方はご覧ください

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