中小企業にこそブランディングが必要なわけ

デジタルマーケティング

「そりゃあ、大企業みたいに費用をかけて、ゴージャスなWebサイトやイケてるロゴを作りたいけど、あいにくウチにはそんな予算はない」という中小企業の企画・マーケティング部門の方々。

その状況は理解できるが、だからと言って「ブランディング」に力を入れないのは、「イケてない」。ブランディングはマーケティング戦略の要。規模の大小を問わず、あらゆる企業で注力すべきことなのだ。

「そんなの、わかっている。でも、『元手』がないんだから、仕方ないじゃないか。そんなところに回す費用があったら、営業マンの1人でも増やしたほうがマシだ」という声が、経営者の方々から聞こえてきそうだが……。

それでもやはり、ブランディングは重要。そして、中小企業にこそ必要なものである。その理由と、実際に進めるときのヒントを見ていこう。

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なぜ、中小企業にこそ必要なのか

そもそもブランディングとは何か? それは、顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するために行う活動のことである。ブランドの要素を強化することで競合との差別化を図り、顧客や消費者の自社に対する関心を高めて、商品の購買を促進する。

この「強化するブランドの要素」としては、ロゴやWebサイトを含むビジュアル関係のほか、ネーミングやスローガンなどが挙げられる。

なぜ、これが中小企業にこそ必要とされるのだろうか?

マーケティングのスペシャリストであるハイディ・コーエン氏のサイト「Heidi Cohen」では、「5 Small Business Branding Guidelines」という記事で、次のような理由を挙げている。

1.あらゆる作業を効率化し、コストを抑えられる

ブランディングの「ガイドライン」がきちんと策定されていない場合、例えば、仕事上何かをデザインしなければならなくなったとき、各部門や社員一人ひとりがそれぞれ、ああでもない、こうでもないと暗中模索することになる。

それは、「時間と経費の無駄遣い」である。無駄なコストをできるだけ省かなくてはならない中小企業においては、絶対に避けなければならないことだ。

実際、セールス部門が作るチラシとカスタマーサービス部門が作るパンフレットのイメージが全然違う……という会社もあるだろう。この場合、それぞれの部門でデザインを考えるという「時間のロス」があった可能性が高い。そのうえ、一貫した企業イメージを発信できていないという、二重に「イタい」結果となってしまっている。

そのようなことにならないよう、社内で共有できるブランドのガイドラインを作成する必要がある。

初めはこれの作成に時間がかかるが、結果的に、社内で行われるさまざまな作業を効率化することができ、コストを抑えられるようになる。

2.プロフェッショナルなイメージを与えられる

たとえ多額の費用をかけられなくても、自社で用意する全てのコミュニケーションツールやプロモーショングッズなどに、一貫性のある「ブランドイメージ」を持たせることが大切。

特に、まだあまり世間に知られていない企業の場合は、一貫したイメージを発信し続けることで自社のインパクトを強められ、また、人々にプロフェッショナルな印象を与えることができる。

大企業のように「規模」で勝負できないからこそ、「インパクト」と「プロフェッショナリズム」を前面に押し出す必要がある。

名刺やEメールの署名などの作成にも手を抜かず、隅々まで自社ブランドをしっかり反映させることが肝要である。

ブランドカラーを印象づけるのも有効。例えば、コンテンツマーケターにはおなじみの「Content Marketing Institute」のロゴはオレンジが基調となっているが、同社のCEOであるデーブ・カーパン氏やジョー・ピュリッジ氏はいつもオレンジを着ているそうだ。

3.発信するコンテンツを「○○社のものだ」と印象づけられる

あなたの会社で発信するコンテンツに一貫したイメージがない場合、見込み客や顧客にとってはあなたが「何者なのか」がわからない。あなたのビジネスとあなたのブランドが、頭の中で結び付かないのだ。

せっかくビジネスのアイデア自体は良くても、それを自社ブランドとしっかり結び付けられなければ、ブランディングの上手い他社が同じような事業を始めた場合、その会社のインパクトのほうが強くなってしまう可能性がある。

下手をすると、人々に「ああ、○○(ビジネス名)と言えば○○社(ライバル会社)ね」と思われてしまうことになる。

中小企業はまだブランド名が浸透していない場合も多いため、特に注意したい点である。

まず以下の基本事項を再確認!

中小企業にこそブランディングが必要な理由がわかっていただけたのではないかと思うが、それでは実際ブランディングを行っていくときには、何を手掛かりにすればよいのだろうか?

「Heidi Cohen」の「5 Small Business Branding Guidelines」(前述)では、まず以下のような基本事項をチェックすべし、としている。

1.ビジネスの目的は? 何を達成したいのかを確認する 2.ターゲットオーディエンスは誰なのかをはっきりさせる 3.他社にない自社の強みを再確認する 4.あなたの会社を「表現」するエレメント(要素)を見直す

最後の4.について補足すると、会社を表現するエレメントとしては、次のようなものが挙げられる。これらを見直す必要があるということだ。

  • 雰囲気、見た目の第一印象
  • 字体(サイズや間の取り方にも注意)
  • 色(同業他社との差別化が図れているか)
  • マスコットキャラクター(会社のイメージに合っているか、あるいは、作る必要があるか)
  • コミュニケーションの取り方
  • 会社の歴史、バックグラウンド

会社のビジュアルイメージをチェックする、あるいは創り上げるには、デザイナーが作るような「ムードボード(mood board)」を作成するのもよいだろう。

「ムードボード」とは、目指すデザインに近い写真やイラストなどをひとつのボードに集め、イメージを視覚的に表現するものである。

デザイナーがクライエントへのプレゼンテーションを行うときなどに使ったりするのだが、これをブランディングに利用すると、ブランドイメージを固めやすい。

ひとたびブランドイメージが固まったら、一貫性のあるブランドイメージを発信し続けることが大切だ。だが、ときには基本を崩さない程度にブランドイメージに「幅を持たせる」のも、人々の関心を引くことができるため効果的である。ブランドに親しみを持ってもらうには「遊び」も必要なのだ。

Google Doodlesはその一例として挙げられる。

あらゆるシーンにおける「ガイドライン」を作成する

ブランディングを進めるうえでの基本事項が確認できたら、次は具体的な事項を織り込んだ「ガイドライン」の作成が必要となる。ブランドの「軸」がブレないようにするためだ。

これには、広告宣伝に関することから会社の規定に載せるようなことまで、さまざまなものが含まれる。

電話応対の仕方、オフィスや社用車の外観および内装、ソーシャルメディアの活用の仕方など、あらゆるシーンにおいて、「どうブランドを反映させるか」のガイドラインを作成しておこう。

ブランディングは大企業に対抗するための鍵となる

大切なのは、ブランドの輪郭をはっきりさせ、「一貫性のあるイメージ」を発信し続けることである。

骨格のしっかりしたブランドを創り上げ、それを確実に広められるブランディングを実行できれば、それが大企業に対抗するための鍵となるだろう。

予算がなくても、始められることはいろいろあるはずだ。

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参考元: 5 Small Business Branding Guidelines:Heidi Cohen How to Do Branding Without a Budget:Heidi Cohen Why Small Business Needs Branding:BCBUSINESS

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