弱点をアピールポイントに変えろ!ユニークな無料プレゼントキャンペーンで大成功した農業機器メーカー

コンテンツマーケティング

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コンテンツマーケティングでは、その名の通りブログやソーシャルメディアを駆使して魅力的なコンテンツを作り継続的に発信してお客さんの興味を引き付けることがとても重要だ。

自分たちの製品がアップル社の製品のように特別デザイン性に優れていたり、使っているだけで優越感を得られるというようなカッコいい製品でない場合は、どうやってお客さんの興味を引くことが出来るだろうか?

今回は、「トラクターはデザイン性がなく、かっこ悪い。」という常識を逆手にとって世界に一つだけのイケてるトラクターを作りたくさんの人の関心を呼ぶことに成功した会社のケースをご紹介しよう。時には、自分たちの製品の弱点を強みに変えて世間をアッと驚かせることも出来るのである。

都会人にもトラクターを売るマーケティングとは?

ジョン・ディア社は世界的な農耕機械メーカーであり、主にトラクターやコンバインなど農業には欠かせない機械類を長年販売してきた。同社のブランド力と高い製品力は農業の世界で高く評価されて来たにも関わらず、農業分野以外のマーケットに参入する上でいくつかの悩みを抱えていたのである。

・同社の主なマーケットは都市部から遠く離れた農業地帯に限定されていたために、はるかに市場規模が大きい都市部のマーケットに参入出来ずにいた。

・トラクターなどの農業機械の開発はその性能ばかりを重視して行われてきたので、そもそもお客さんの中にどんなニーズがあるのかに意識を向けていなかった。

そこで同社は社内に専門のマーケティングチームを立ち上げて改善に乗り出したのである。

アンケートなどを活用した徹底的な市場調査の結果、普段農業に従事していない都市部の消費者の中にも大きなニーズがあることが見えてきたのである。

・自宅で家庭菜園やガーデニングを趣味として楽しむ人が都市部には一定数存在し、彼らは自宅の庭でも使えるような家庭用のコンパクトなトラクターを必要としている。

・庭いじりを単なる雑用としか考えない人たちは、自宅の芝刈りをとっとと終わらせることが出来るような芝刈り機を求めている。

こうした隠れたニーズを発掘して商品開発にお客さんの声を生かした結果、同社は売 上を大幅に伸ばし、都市部のマーケットでも存在感を発揮することが出来たのである。

ここで一気に攻勢に転じて一般の消費者の間でも知名度を高めたい同社は、あるとてもユニークな手法のコンテンツマーケティングを実施し大きな成功を収めることになるのである。

トラクターの無料プレゼントキャンペーンを実施

・同社は自社ブランドの知名度アップのために、有名な自動車デザイナーであるチップ・フーズ氏を招聘し、彼が同社の主力商品であるトラクターを特別にカスタマイズしてそれを抽選で無料プレゼントするというキャンペーンを仕掛けたのだ。

・同社は、トラクターがデザインされていく様子を記録したビデオをユーチューブ上に開設した専門チャンネルで順次公開したのである。各ビデオの最後には、「伝説の男、チップ・フーズがカスタマイズしたクールなトラクターを手に入れろ!今すぐお近くのディーラー店で応募しよう!」という強いメッセージで視聴者の行動を喚起したのだ。

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完成までを記録したビデオはユーチューブで公開され大反響を得た!

・4か月間行われたキャンペーンの結果、数万人がこのキャンペーンに応募し、それを遥かに上回るたくさんの人がオンライン上でトラクターがカスタマイズされていく様子に注目していた。さらに、そのトラクターはドライブ・グリーンキャラバンというトラクターの試乗体験イベントにも参加し、大勢の人がその仕上がり具合を一目見ようと足を運んだのである。

同社のコンテンツマーケティングは大成功!

・同社の専用ユーチューブチャンネルには、予想をはるかに上回る数の視聴者が殺到した。 フーズ氏が同社のトラクターを初めて目の当りにする初回のビデオは、なんと13000回もの閲覧数を記録したのだ。

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同社の専用ユーチューブチャンネルには同社の製品をアピールする動画が絶えずアップデートされている。

・トラクターが徐々に完成に近づくにつれ、「もっと見たいという!」という飢餓感をかき立てられた視聴者の口コミで話題が話題を呼び、ますますたくさんの人がこのキャンペーンに参加することになった。

・数万人がこのキャンペーンに応募したことで、同社はこれまで開拓できずにいた都市部の消費者の中にもたくさんの見込み客を獲得することが出来た。これまで農作業に縁がなかった人たちもこのキャンペーンでジョン・ディアのブランドを認知し、結果的に芝刈り機や家庭用のコンパクトなトラクターの売上増に貢献したのである。

・トラクターという従来デザインの要素があまり感じられなかった農業機械とポップカルチャーの要素を融合させることで、トラクターそのもののイメージアップに成功した。これにより、流行に敏感な都会の人間もジョン・ディアをクールなブランドとして認知するようになったのだ。

article137_4.gif?こちらが改造前のビフォー写真

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右の写真がアフター写真。スタイリッシュなデザインに仕上がっている。

今回のケースから学べること

いかがだっただろうか?今回は、「トラクターはイケてない!」という世間の認識を逆手にとることでたくさんの人の関心を集めた例をご紹介した。無料キャンペーンを通じて、従来製品のイメージアップを行い、会社のブランド力まで強化してしまった今回のケースから学べることはとても多いのではないだろうか? もしあなたの商品やサービスに弱点があるとお考えならば、今回の例を参考にして大胆なやり方で弱点をセールスポイントに変えてしまうのもアリかもしれない!

参考資料:Marketingsherpa

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