新興国のEC市場規模、市場動向(ATカーニー調査レポート)

EC(Eコマース)

コンサルティング会社のATカーニーが、主要新興国30国のEコマース環境を評価し、トップ10を選定している。

普段、日本国内やアジアをターゲットにビジネスをしている人が多いと思うが、時々、こういうレポートに目を通し、世界中に視野を広げて、ビジネスチャンスを探す事も重要だ。

新興国のEC市場規模、市場動向(ATカーニー調査レポート)

ATカーニーは、主要新興国である30国のEコマースを巡る環境を評価し、トップ10を選定した。評価の指標は、市場の魅力(50%)、インターネット環境の整備状況(20%)、法制度の整備(15%)、小売の発達度合(15%)を加味したものである。

トップは、断トツで中国。ブラジル、ロシア、チリ、メキシコをおさえて堂々の1位である。

1位 中国

中国の現在のEコマース規模は、230億ドルと巨大である。 2006年より年次78%の急成長を遂げ、今後5年間で更に81億ドルへの成長が見込まれる。 インターネット人口は現在5億1300万人で、世界で最も多く、うち、インターネットショッピングの利用者は1億6400万人にのぼる。

家電、衣料、コスメ商品の利用が多い。 (なお、同社のレポートはBtoBビジネスのみを対象とし、BtoCは含まない。また、主要カテゴリー商品のみを調査対象としているため、Eコマース全体の市場規模は同社発表の数値より更に大きい)

このように中国の市場規模は超巨大だが、しかし、実はその潜在能力はインフラの整備によりまだまだ抑えられている部分がある。 現在、地方小都市住民のインターネット利用率は相対的に低く、また、それら地域へ配送するための交通網も道路の整備も大幅に遅れている。 Eコマースの更なる発展のためには、これらインフラ上の障害が取り除かれる必要がある。

2位 ブラジル:

Eコマース市場規模は、2017年までに187億ドルを越える見込み。 中流層の利用者が多く、また、グル―ポン系の共同購入サービスの利用者が多いのが特徴 宅配サービス網の整備とオンライン決済のセキュリティ強化にまだ課題が残る。

3位:ロシア

Eコマース市場規模は、2016年までに163億ドルに達する見込み。 課題は、国民の間で現金取引の習慣が根強いこと。世帯クレジットカード保有率はまだ20%ほどでしかない。 オンライン決済のセキュリティを強化し、キャッシュレス決済の信頼度を高めること、また、宅配サービスの遅延改善が課題。

4位:チリ

世帯クレジットカード保有数4枚と、キャッシュレス決済が国民に広く浸透しているため、Eコマースへの親和性が高い。 今後5年間で市場規模は15億ドルへ拡大の見込み。

5位:メキシコ

Eコマースは今後5年間で3倍成長、44億ドルにのぼる見込み。 インターネット環境は劣悪で接続スピードも遅い。しかし、ネット上で商品を選んでクーポンをプリントアウトし、実店舗で購入する、というユニークなサービスが普及している。

6位:アラブ首長国連邦

インターネット普及率76%。また、従来より小売業が活発な国柄であり、現在、Eコマース市場は2億2700万ドル規模。

7位:マレーシア

人口の約半分が個人パソコンを保有。クレジット決済やデビットカード決済も広く浸透し、宅配サービス網も整っている。 現在Eコマースの市場規模は2億5000万ドルだが、今後倍の成長が見込まれる。

8位:ウルグアイ

インターネット普及率は48%と、ラテンアメリカ諸国で最も高い。 ユーザーの70%がオンライショッピングを利用しており、Eコマース市場は2016年までに現在の倍、9200万ドルに達する見込み。

9位:トルコ

スピーディーな宅配網が全国に整い、国民の月間インターネット利用時間は30時間にのぼる。 消費者保護に関する法制も整備されている。

10位:オマーン

アラビア半島の先端に位置する小国だが、インターネットへの親和性は極めて高い。 全世帯の50%がパソコンを保持し、国民の62%がインターネットを利用。 モバイルからのアクセスも多く、携帯を複数台持つ人も多い。

まとめ

参考になっただろうか?中国のEコマースが圧倒的ではあるものの、それ以外にも有望な国が多数存在する事が分かる。 中国以外だと、ブラジルとロシアの市場規模はかなり大きい事が理解できるし、市場規模はまだ小さいものの、ラテンアメリカ、中央アジアなどにも、有望な国が存在している。

日本の会社の多くは、中国、東南アジアを進出先に選んでいると思うが、逆に日本から離れたマーケットの方が、競合が少なく、日本製品の強みを生かせる可能性がある。

グローバルにEコマースを展開するためには、普段からこのようなレポートを通じて情報を入手して、ビジネスのアンテナを高く張り巡らしておきたい。 Source:2012 A.T. Kearney Retail e-Commerce Report Internet Retailer

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