日本のEコマース市場の成長ドライバーと阻害要因(フォレスター社アナリストブログより)

EC(Eコマース)

米国の調査会社フォレスターのアナリスト(パティ・フリーマン)が、先日日本を訪れ、日本企業を訪問していったのだが、彼女が、日本のリテール市場の改善すべき点と評価すべき点に関するブログを書いているので、ご紹介したい。

日本のEコマース市場の成長ドライバーと阻害要因

私のクライアントの多くが日本のeコマース市場に着目しているので、私が東京で得た情報が役に立つのではないだろうか。

 

現地のビジネス関係者の見方では、日本の経済は苦しいというものだが、街には活気があふれており、我々の最近のレポートである「アジア太平洋地域のEコマースの市場予測(2011〜2016)」でも、Eコマース分野では成長が続くと予測している。確実に市場の成長ののびしろはあるが、そのために変化を起こさなければいけない。

日本のeコマース市場が抱える阻害要因

私は日本のeコマース市場が抱える阻害要因は以下の二点であると考える。

1 英語がビジネスの場であまり使われていないこと

日本ではビジネスの場では主に日本語が使われている。世界で第三位の経済力を持つ国なのだから、当然だろう。しかしビジネス英語をスラスラと話せる人が少ないということは問題だ。これではeビジネスでグローバルに成功を収めることは難しいだろう。ただ唯一楽天だけは従業員全員が英語を自在に操ることが出来る日本では珍しい会社だ。

 

2 小売の販売チャネルが店舗に偏っている事(O2Oが進展していない事)

私が話した日本企業は、顧客と複数のタッチポイントを持つ重要性を理解しようとしている段階で、実際に、複数のチャネルに渡って販売活動を行っている会社はほとんど見つけられなかった。例えばビックカメラの店舗は、驚くほど多くの商品を取り揃えいているものの、(Eコマースサイトなどの)他の販売チャネルへの誘導は、ほとんどなかった。

 

日本のeコマース市場が抱える成長ドライバー

日本の小売市場の成長ドライバーは以下の二点である。

1 携帯電話の普及率が高いこと

携帯電話が普及しているということは携帯電話からマルチチャネルのeコマースビジネスが生まれる可能性が高いということだ。日本ではスマートフォンのシェアは急激に伸びており、その成長と共にモバイルでのペイメント、モバイルでの商品検索、モバイルでの購入が生まれることが期待できる。

 

2  インターネットがオフラインでの人の行動にも影響力を持っているということ

築地市場の外に三つの寿司屋が横一列に並んでいる場所があり、その中の二つの店には行列が出来ているのに、一つの店には全く人が並んでいないということがあった。現地の人が教えてくれたことだが、3件とも、同じ料理を提供し、いずれも同じ美味しさである。にも関わらず、行列が出来ている店はインターネットを上手く活用しており、行列がない店は使っていないらしい。試しに私は行列がない店に入ってみたが、最高に美味しいマグロを一切待たずに食べることができた。

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マルチチャネル、マルチタッチポイント化への取組みが急務

以上、米国の調査会社フォレスターが、実際に日本を訪問して感じた感想である。英語の問題もさる事ながら、マルチチャネル化、マルチタッチポイント化は、急務である。実際、私が話しをする企業でも、Eコマースはやっているものの、会社の戦略として、明確に位置づけられていない会社が非常に多い。

 

例えば、記事の中で登場するビックカメラは、実際にはEコマースサイトがあり、2012年8月期の売上で400億円を見込んでいる。そして、先日アマゾンにも出店し、500億円規模を目指しているという。しかし、記事の中で指摘されている通り、Eコマースとリアル店舗との連動はほとんどみられない。これは、何もビックカメラだけの話しではなく、実店舗のオペレーションが強い企業であればあるほど、Eコマースの取組みが遅れている。

 

これまでブログで何回か取り上げているように、スマートフォン時代になり、今までよりもEコマースの重要性が大きく増してきている。それは消費者が、スマートフォンを自在に使いこなし、好きな時に好きな店で買い物をするようになったからである。

 

米国では、店舗とEコマースを統括する役員が置かれるなど、Eコマースも含めたクロスチャネル、オムニチャネル時代に着々と突入し、O2Oなどのクロスチャネル販売のノウハウを蓄積して行っている。(参考記事:米リーバイスが、店舗とEコマースを統括する役員ポストを新設、リンク先 英語:Levi’s creates a new position to oversee e-commerce and stores

 

日本企業も、これまでのように片手間にEコマースを行うのを止めて、きちんとしたEコマースの戦略を立てる時期が来ているのではないだろうか?

出典:Inhibitors And Drivers In Japan’s Retail Market