Oracle/Salesforceが切り拓くソーシャルCRMの時代

コンテンツマーケティング

昨日、Oracleが、ソーシャルメディアの分析を行う会社Collective Intellect社を買収する事を発表した。 オラクル、“ソーシャル・インテリジェンス”ツールのコレクティブ・インテレクトを買収へ

実は、Oracleは先日ソーシャルメディア分野で大型買収の発表を行ったばかりだ。これまでデータベースやERPなど、企業向けのビジネスソフトウェアを販売してきたOracleがソーシャルメディアのスタートアップ企業を立て続けに2社買収したのはなぜだろうか?

実は、彼らはソーシャルCRMという大きなビジネスチャンスを狙っているのである。

ソーシャルCRMって何?という人向けに、ブログ記事の末尾に参考記事を乗せておくので、これを機にぜひ理解を深めてほしい。簡単に言うと、ソーシャルCRMとは、従来からあるCRM(顧客関係管理、カスタマーリレーションシップマネジメント)に、ソーシャルのデータを加えて統合したものであり、真の意味で消費者一人一人との関係性を構築して行くことを目指すものである。マーケティングの分野で大きなビジネスチャンスとして期待されている分野である。

今回は、OracleやSalesforceが行った買収劇に関して、米国の調査会社Forresterが非常に優れた分析記事を出しているので、翻訳してご紹介したい。僕は、前職時代より、このソーシャルCRMの分野をウォッチしてきたけれど、いよいよビックシフトが始まったと言える。これは、マーケティング関係者、テクノロジーの関係者の全員に、注目頂きたいトレンドである。(以下、翻訳記事)

ソーシャルCRMの分野で軍備増強の動きが加速している

1週間前にソフトウェア最大手のOracleがソーシャルメディアマーケティングの会社であるVitrueを買収し、そして、昨日CRMソフトの大手Salesforceが、BuddyMediaの買収を発表。そして、今日、Oracleは、ソーシャルインテリジェンスのCollective Intellectを買収した。そして、1年前にSalesforceは、ソーシャルモニタリングの会社であるRadian6を買収している。これらの1連の買収劇は、ソーシャルCRMを実現しようとするもので、業界の再編に向けた、大きな序章と言えるだろう。

なぜ今買収するのか? 我々Forresterが長年主張していたことだが、顧客中心の時代が来たという事だ。企業は、顧客について常に考え、変化する顧客のニーズを把握しないといけない。顧客中心の時代には、顧客が利用する様々なチャネルを通して、顧客と接点を持つ必要がある。ソーシャルはその中で最もホットなチャネルであり、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)に関連するテクノロジーは、これらの要求に応えていく必要がある。

なぜ買収が続いているのか? ソーシャル分野のスタートアップが、大手のテクノロジー企業が必要としている革新的な技術を保持しているからだ。ソーシャル分野では、数千のスタートアップが次々と生まれており、ソーシャルツールを作る事自体は簡単である。しかし、成功するソーシャルテクノロジーを開発する事は、極めて難しい。

そして、Forrester Researchの同僚であるMelissa Parrishが指摘しているとおり、「これらの買収は売上の拡大を目指したものではない。むしろ、テクノロジーのオファリングを拡大する事を目指したものである」すなわち、将来の市場のニーズを満たすための、独自のテクノロジーを獲得する事を意図しているのである。

これらの技術がどう統合されるのか? ソーシャルCRMは難しい。ソーシャルデータやコンテンツをフィルタリングし、処理し、分析する技術も必要だし、データから顧客に関するインサイトを導き出す技術も必要になる。これまでのCRM分野の企業は、こういうデータを管理するツールは保有していたが、ソーシャルメディアのデータを取得し、分析できるツールを持つ会社はほとんどいなかった。OracleやSalesforceは、これらの買収を通じて、ソーシャルデータを取得し分析するツール、ソーシャルメディアを管理・投稿するツールを取得し、ソーシャルCRMの領域へ一歩近づく事になる。彼らは、今後、これらのバラバラのソーシャルメディアの管理プラットフォームを統合するという難しいタスクを追うことになるが、少なくても必要な部品を手に入れた事にはなる。

なぜ、Collective Intellectなのか? Collective Intellectの買収は、ユニークな技術を手に入れるという点で正当化される。ソーシャルモニタリング、ソーシャルメディア分析、ソーシャルメディア監視などの多数のソーシャルメディア関連のツールは100以上あるけれども、ソーシャルメディアのデータと顧客のデータを統合し、外部のシステムにエクスポートする事が出来るツールはCollective Intellectだけであった。これはまさにソーシャルCRMのコアとなる技術である。多くのプラットフォームがソーシャルメディアのデータを取得、分析する事ができるが、他の多くはデータを統合的に分析・管理するレベルには達していない。

次はどうなるのか? OracleやSalesforceは、ソーシャルCRMをリリースするための開発競争に突入する。ソーシャルCRMに必要な部品を購入するのは簡単だが、それらの部品を、OracleやSalesforceの既存のテクノロジー製品に組込み、ソーシャルCRM製品を作り上げるのは、容易ではない。 その他の企業にとっては、OracleやSalesforceにキャッチアップするのが至上命題になるだろう。今後、より多くの買収やパートナーシップが発表されるだろう。それは、CRM分野の企業はもちろんの事、BI、ERPなどを初めとする、ビジネスソフトウェアの企業が発表する事になる。なぜならば、これらの一連の買収劇がソーシャルメディアにとってのターニングポイントになるからだ。

これらのソーシャルメディア関連企業の買収が発表され、しかも、その買収価格が一般の予想を上回る額であった事は、ビジネスの世界がソーシャルメディアに取り組む準備が出来ている事を示している。もはやソーシャルメディアは、一時的な流行ではなく、長く続くトレンドである。ビジネスはソーシャルメディアに真剣に取り組まざるをえない時代に来ているのである。なぜなら、消費者がそれを使っているのだから。

まとめ

記事の中で予測されているとおり、今回の買収劇をきっかけとして、OracleやSalesforceは、ソーシャルCRMの構築に向けて大きく一歩を踏み出したといえる。また、彼らの競合は、あわてて買収先を探すことになり、同様な買収が今後も続くことになるだろう。マーケティング関係者には、今後もソーシャルCRMの動きに注目してもらいたい。

出典: The Social CRM Arms Race Heats Up

ソーシャルCRMの関連リンク

「ソーシャルCRM」が2015年度までに国内で進展、NRI予測

ソーシャル化するCRMの未来