愛犬が飲酒運転をストップさせる!?バドワイザーの啓発キャンペーン

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子どもの頃、「〇〇をしてはいけません」と両親や教師から言われれば言われるほど、その禁止行為をやってしまいたくなった経験はないだろうか?

大人になった今でも、「〇〇はダメだ」「〇〇はいけない」と言われると、つい、子どもの頃におなじみだったあの「反抗心」が、心の隅に生まれてしまうという人もいるかもしれない。

今回取り上げたいのは、バドワイザーで知られるAnheuser-Busch In Bev(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)社の動画「Friends Are Waiting(友達は待っている)」である。

この動画は、Anheuser-Busch In Bevが毎年9月23日に行っている「Global Be(er) Responsible Day(節度を持ってビールを楽しむグローバル・デー)」の飲酒運転を防止する啓発キャンペーンの一環として作られた。

「○○はやめましょう」というメッセージを、反感を買うことなく間接的にうまく表現した好例として紹介したい。

飲酒運転の予防と言えば「ショッキングな交通事故シーン」は大定番だった

従来の飲酒運転の予防を啓発するキャンペーン動画では、ショッキングな交通事故シーンが定番で必要不可欠だった。ショッキングなシーンをユーザーに示すことによって、「こうした事故を決しておこしてはならない」と思わせるのが狙いだ。

とりわけ日本のものよりも、海外の方がショッキング度は高く、あまりにも衝撃的すぎる動画も多く存在する。

その啓発動画は「何度も見たい!」と思える内容だろうか?

しかし、そのような強硬手段では、説教臭くなってしまい、ユーザーの反感を買ってしまうこともある。

また、「ショッキングな動画は何度も見たくない」というユーザーが圧倒的に多いだろう。

バドワイザーは飲酒運転予防に「愛犬」というテーマで挑んだ

バドワイザー「Friends Are Waiting」

 

 

 

この動画「Friends Are Waiting」は、愛犬と飼い主の絆がテーマだ。飲酒運転防止という目的であるにもかかわらず、従来の啓発キャンペーンと異なり、動画内ではショッキングな交通事故のシーンは一切使用されていないのが特徴である。

ちょっぴりいたずらっ子の白いラブラドール・レトリバーは、飼い主が大好き。しかし、飼い主は、その日友人たちと飲みに出かけてしまった。

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出典:動画「Friends Are Waiting」より。バドワイザーを手に飲みに行ってしまったご主人

飼い主は、いつもなら昼間出かけても夜には戻るのに、その日は夜遅くになっても帰宅しなかった。ペットを飼っている人なら、朝まで玄関で飼い主を待つ悲しそうな犬の表情に胸を打たれるだろう。

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出典:動画「Friends Are Waiting」より。朝まで玄関で飼い主を待つ犬の姿に、胸を打たれる

翌朝飼い主は帰ってくると、犬にこう言った。「ごめんな。お酒を飲んじゃったから、運転できなくてデイブの家に泊まったんだ」

そこで、「家に戻ってこよう。きみの友達はきみだけが頼りだ」という文字が流れる。飲酒をしたときは車を運転せず、タクシーなどを使って無事に家族のもとへ帰ろうという意味が込められている。

驚異的な目標を達成できるのは最大手ならでは

冒頭で述べた「Global Be(er) Responsible Day」は、節度を持って楽しくお酒を飲むことをテーマとし、今年で5年目を迎えた。

Anheuser-Busch In Bevの公式ホームページの2013年度報告によると、その目標は順調に達成されているようだ。

たとえば、子どもに未成年の飲酒の問題について話して聞かせられるように教育された大人は、2013年末までに約3億4000万人であった! これは、当初目標としていた1億人を大幅に上回っている。

さらに、「2014年末までに50万店のバーや飲食店にID確認ツールを提供する」という目標に対して、2013年末までに120万店という驚異的な数をたたき出した。

また、「2014年末までに100万人のバーテンダーや販売店店員などに、適正飲酒に関するトレーニングを実施する」という目標は、2013年末までに39万人を達成。ビールを買う側だけではなく、売る側にもトレーニングを受けさせているユニークな試みである。

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出典:Anheuser-Busch In Bevの2013年度報告より

バドワイザーが、ビールのリーディングカンパニーであるからこその高い目標設定であり、また、最大手だからこそ、この規模の数字を達成できたと言えるだろう。

まとめ

今回取り上げたキャンペーン動画のYouTubeでの再生回数は、1900万回以上(2014年11月現在)を誇る。

啓発キャンペーンではあるが、「感動」の要素を取り入れて思わず何度も再生したくなり、シェアしたくなるような作品に仕上げたのが、バイラルしている一因と考えられる。

ペットという人々の大事な“家族”を取り扱い、心を打つ作品でありながらソフトに啓発する今回の動画は、キャンペーンとして「大成功」と言えるのではないだろうか。