【基本】アイドマの法則とは?自社のWebマーケティングを見直してみよう

デジタルマーケティング
アイドマの法則は、Web以前の古い消費者モデルだと考えられているが、実はそれは誤解だ。
アイドマの概念が生まれた米国において は、現在も基本のプロセスとしてマーケティング会社や広告代理店が現場で活用している。逆に、日本では知名度があるアイサス(AISAS)やアイドカ (AIDCA)は、米国においてはそれほど一般的ではない。アイドマの法則は、名前を押さえておくだけでなく、企業のマーケティングで確実に実践するべき 考え方だ。
ここでは、マーケティングの基本「アイドマの法則」を、生命保険会社のWebマーケティングに当てはめながら改めて考えてみよう。
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アイドマ(AIDMA)の法則とは?
まずは、アイドマの法則の内容をおさらいしておこう。
ア イドマの法則とは、消費者が製品の存在を知ってから、実際に購入するまでの心理状況の変化を複数の段階に分けたものを表す「購買プロセス」の1つである。 他に、アイドマ(AIDMA)、アイーダ(AIDA)、アイドカ(AIDCA)、Web時代の消費社行動を表したアイサス(AISAS)などのモデルがあ る。
アイドマの法則とは、Attention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字をとったものだ。
Attention(認知) 製品の存在を知る
Interest(興味) 製品に興味をもつ
Desire(欲求) 製品を欲しいと思う
Memory(記憶) 製品を思い出す
Action(行動) 製品を買う
1920年代にアメリカの経済学者ローランド・ホールが提唱したことが発祥だ。アイドマの法則の前身となるアイーダの法則は、1898年にセント・エルモ・ルイスが提唱しており、すでに100年以上の歴史をもつ。
アイドマの法則を用いることで、売り手は、消費者の心の動きがどの段階にあるかを理解し、各ステップに応じた切り札を用意することができる。適切な切り札を適切なタイミングで差し出すことで、消費者に「売り込む」戦略から、消費者が自然に「買いたくなる」戦略を実現することが可能だ。
アイドマの法則の例:生命保険に加入するまで
例えば、消費者A氏が、生命保険Bに加入するまでの実際の行動を購買ステップに分けて解説しよう。
Attention(認知)
A氏は、B社の初月加入無料キャンペーンのウェブ広告が目に止まり、B社の存在を知る。
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Interest(興味)
どんな商品のキャンペーンかを知るためにネット検索をした結果、商品のランディングページを見つける。ランディングページのサイドバーに表示されている、 資産運用に関するお役立ち情報に興味をもち、メルマガの定期購読を申し込む。メルマガを購読するうちに、生命保険を使って銀行より高い利率で貯蓄できるこ とを知り、生命保険に興味を持ち始める。
↓
Desire(欲求)
A氏は、商品に関する資料請求を申し込む。B社はこの申し込みを受けて、加入者の声を掲載したダイレクトメールを送付する。A氏は、B社の価格表を確認 し、思っていたよりも安価であることを知る。また、B社の商品は米国資本であるため米ドル建ての利率が業界でも一番高いことを知り、A氏にとっていくつか のメリットがある商品であることに気づく。加入者の声には、多くの日本人が「高い死亡保証額を担保しながら、資産運用に成功した」という喜びの声が掲載さ れており、B社の商品に信頼性を高める。
↓
Memory(記憶)
B社の商品に魅力を感じながらも、他社の生命保険会社の商品調査を進める。B社はダイレクトメールで、頃合いを見てキャンペーンの案内を送付し、A氏に商品のリマインドをする。
↓
Action(行動)
A氏は、B社と他社の商品を比較・検討した結果、最終的にB社の商品がもっとも自分にとってメリットがあると判断し、申し込みを決める。レスポンスの良さや提供情報の信頼性も申し込みの決め手となった。
自分の意思で自然と購入に至っていたと思っていたA氏。
実は、B社が購買ステップにあった的確な情報を提供し、購入ステップまで誘導する戦略を立てていたのだ。
購買ステップごとに適したコンテンツタイプとは?
上記の事例で説明したように、消費者の購買ステップによって、必要な情報は異なる。売り手側は、5つの購買ステップにあわせて、消費者に適切なパスを送りこむことが重要だ。どんなパスが有効であるか、下記に一例を紹介しよう。
Attention(認知)
Point! とにかく消費者の目を引きつける
例:
- 屋外や電車で目にする広告(目を引くグラフィックやキャッチコピー)
- 検索エンジンでぱっと目に入る見出しやメタディスクリプション
- 検索ページトップに掲載されるウェブ広告
Interest(興味)
Point! 自社の製品情報ではなく、製品や業界に関連する消費者にとって有益な情報提供
例:
- ハウツー動画
- テンプレート資料
- ebook
- 業界や製品に関連するためになるブログ記事
- チラシやブローシャー
Desire(欲求)
Point! 消費者のメリットが理解できる自社の製品情報
例:
- 試供品
- 無料トライアル
- デモ
- 他社とのスペック比較表
- 品質が確認できる製品の詳細情報
Memory(記憶)
Point! 時間を空けすぎず、さりげなくフォローアップ
例:
- メルマガ
- ダイレクトメール
- 電話
- リターゲティング広告
Action(購買)
Point! 消費者の手間を最小限におさえた購入環境
例:
- ワンクリックで購入できるURLの送付
- 購入ページに直接とぶウェブ広告
購買ステップによって、消費者の求めている情報はこうも異なる。
認 知段階の消費者に、商品の購入ページに直接とぶリンクを送るとする。消費者はたちまちページを去っていくであろう。なんの説明もなしに、「これ買ってくだ さい! すごく良い製品ですから!」と押し付けるセールスマンと同じである。消費者は、出会った瞬間に尻込みしてしまうだろう。
しかし、すでにほぼ購入を決めている消費者であれば、製品の購入ページへとぶリンクの送付はありがたい情報である。
実践でアイドマの法則を機能させる3つの戦術
戦術1 購買ステップに合わせた切り札コンテンツを準備する
上記に紹介した例を参考に、消費者に提供するコンテンツを熟慮しよう。もっとも重要なポイントは、消費者の欲しい情報がなにかをとことん追求することだ。人物像(ペルソナ)を細かく設定し、彼らの悩みや課題についてチームで議論してほしい。
戦術2 タイミングを逃さないためのオートメーションシステムを導入する
情報が溢れる現代において、情報を提供するタイミングと即時性は重要なポイントだ。
消費者の欲しいタイミングで欲しい情報を迅速に提供できれば、次の購買ステップに進む確率は高くなる。タイミングを逃さないために、オートレスポンダーやマーケティングオートメーションシステムなどを使って、振れる仕事は振ってしまおう。
戦術3 購買ステップを進んでいるか測る指標(KPI)を設定する
有益で価値ある情報によって、消費者の心が遷移していくことが納得感の高い購入につながるポイントだ。
安い製品であれば誰もが購入するわけではない。多少金額が高くても、それに見合った機能や品質であることが納得できれば購入を検討する。納得して購入した消費者は、クレームや返品の確率が低い。むしろ、製品を気に入りリピーターとなる確率が高まるという好循環が起きる。
実際に、消費者が「納得」して製品を購入しているかどうかを知るためには、指標(KPI)を設定しておくとよい。次のステップに進む際の消費者のリアクションを計測し、指標がクリアできているかを検証する。
例えば、ebookのダウンロード数は、Interest(興味)からDesire(欲求)へ進んだ消費者数の表れだと考えられる。製品の資料請求数であれば、Desire(欲求)からMemory(記憶)に進んだことを示す消費者のアクション数である。
KPIの設定により、消費者が「納得」して購入までの購買ステップを踏んでいるのかを明確な数値で実証できる。KPIをクリアできないステップがもしあるならば、そこには消費者が納得できない問題点があるということだ。
?まとめ
購入に至るまでの購買ステップを分解すると、ステップ毎に消費者が求めている情報が違うことに気づく。消費者との会話のキャッチボールが成立すれば、購買ステップは着実に進み、消費者側から製品を購入したいという行動をおこす。
人間の心の動きに注目する戦略は売り手側にとっても得策だ。購入する納得度が高ければ高いほど、自社製品の根強いファンを増やし安定した顧客を確保することができる。根強いファンは、リピーターになるだけでなく、ソーシャルメディアや評価サイトへのコメントを通じて、新たな潜在顧客の誘導を引き起こすのである。
もしもまだ、自社の製品・サービスを購買プロセスにきちんと落とし込んで分析したことがないならば、ぜひアイドマの法則からはじめてみてはいかがだろうか。
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