企業イメージはたったひとつのスローガンで決まる!「伝えたい」ことを「ワンフレーズで伝える」イメージ・スローガンの作り方と3つのポイント

コンテンツマーケティング

2014年6月29日の日曜日、サンフランシスコ。この日、街にあるすべてのバーガーキングでは、客と店員との間でこんなやりとりが交わされていた。

「ワッパーとコーラをください」
「プラウド・ワッパーにしますか? それとも普通のワッパーにしますか?」
「どう違うんだい?」
「両方とも当店自慢のワッパーであることに違いはありません」
「値段は?」
「どちらも4ドル29セントです」

客は首をかしげながらも、「じゃあ、せっかくだからプラウド・ワッパーをもらおうか」と、店員にオーダーします。
出てきたワッパーは、いつもと同じ5インチ(約13センチ)サイズの食べごたえたっぷりなバーガーである。しかし、包み紙を開けた瞬間、誰もが満面の笑みでうなずく。包み紙の裏には、こんなメッセージが「6色の虹」の中に描かれていた。

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「中身はみんな同じだ。」

外見や趣味嗜好、思想信条は違っていても、誰もがみんな同じ人間に変わりはないさ。バーガーキングからのそんなメッセージであった。 毎年6月の最終日曜日は、サンフランシスコの街に「6色の虹」がきらめく。San Francisco Prideの開催日だ。

性的マイノリティの人々が全米中から集まり、「6色の虹」をスローガン・カラーに、笑顔と陽気さと、あらゆる差別と戦う強靭な精神とを武器に、サンフランシスコの街を練り歩く。 もともとは、性的マイノリティの人のためのパレードだったSan Francisco Prideは、今では、あらゆるマイノリティ(人種、国籍、性別、政治信条、思想、身体的特徴など)に対する差別に「NO!」を突きつける意味合いを持つようになった。

バーガーキングは、「世界中で起きている、あらゆる差別に反対する」という企業の方針を、「We are all the same inside.」のスローガンに込めて、San Francisco Prideの参加者にプラウド・ワッパーという商品で示したのだ。

ダイバーシティ(多様性)への積極的な意思表示

バーガーキングのこの一日限りのキャンペーンには、2つの意味がある。

1.ダイバーシティ(多様性)尊重の重要性
2.イメージ・スローガンが持つ力を示したこと

社会における経済活動の活発化にとって、ダイバーシティを尊重することは非常に重要なファクターになる。多様性があるからこそ、社会は発展する。イノベーションが創出される。 ましてや、IT環境の整った現代は、地球全体がひとつの“村”世界を形成していると言ってもよい。そのような時代において、マイノリティを排斥する社会(地域)に、誰が積極的に投資しようとするだろうか? 

ダイバーシティが尊重、保障されてこそ、社会の経済的な発展があるのだ。 同じことは、企業にも言える。バーガーキングのキャンペーンは、ダイバーシティを尊重、保障するという企業としての意思を示したものだ。 だが、ここで注目したいのは、もうひとつの“意味”についてである。イメージ・スローガンの持つ力だ。 企業のブランディングにイメージ・スローガンは欠かせない!

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イメージ・スローガンとはなんだろう?

企業が持っている「理念」「ビジョン」「社会的責任」への考え方などを、消費者にイメージさせる印象的なコピーのことだ。一目見て企業の本質が理解できるようなものが、イメージ・スローガンである。 つまり、「企業が消費者に伝えたいメッセージ」」を直感的に伝える言葉のことである。企業イメージを伝えるキャッチコピーやキャッチフレーズと言い換えてもよい。

だがここでは、「企業の理念をイメージ化する」の意味で、イメージ・スローガンという言葉を使う。 前述したバーガーキングが、プラウド・ワッパーの包み紙に書いたメッセージを思い出してほしい。 「We are all the same inside.」 この一文で、「バーガーキングはダイバーシティを尊重し、あらゆる差別に反対する」という企業としての姿勢が、それを見た者の脳裏に刻み込まれるはずだ。これが、イメージ・スローガンの力である。

見回すと、印象的なスローガンで、企業イメージを形成している例が数多くあることに気付く。その中から、いくつか紹介してみよう。

資生堂:一瞬も 一生も 美しく

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資生堂は、「一瞬も 一生も 美しく」というイメージ・スローガンで、女優や女性タレント、社会で活躍する女性などをモデルにした広告展開をした。一連のキャンペーンにより、“資生堂=社会で活躍する女性の味方”という企業イメージを作り出すことに成功している。

タワーレコード:NO MUSIC NO LIFE

「音楽がなければ人生じゃない」……いや、「音楽のない人生なんて」と訳した方がしっくりくるだろうか? このフレーズだけで、TOWER RECORDS(タワーレコード)の音楽への向き合い方が明確に伝わる。優れたイメージ・スローガンだ。 ちなみにこれは、「虎穴に入らずんば虎子を得ず(No pain, no gain.)」から着想を得たフレーズだそうだ。

Apple:Think different 

これはもう「その通り!」と、多くの方が激しくうなずくだろう。 Appleの歴史は、常にイノベーションを創出する歴史であった。世界初のオールインワンなパーソナルコンピュータ「AppleⅡ」で、コンピュータが家庭に持ち込まれるようになった。世界初のモバイルデバイス「Newton」で、情報携帯端末の世界が切り開かれた。
そして、「iMac」「iPod」「iPhone」と、社会に驚きを与えるテクノロジーを次々と投入し、現在のIT世界の礎を築く大きな役割を果たしている。そのような企業の歴史と思想が、「Think different」の一文で見事に表現されている。 ここで紹介したのはほんの一例だ。ほかにも印象的なイメージ・スローガンは数多くある。興味のある方は、探してみてほしい。

成功するイメージ・スローガンの作り方:3つのポイント

さて、ここで実際にイメージ・スローガンをどうやって作るのか、簡単に説明しておこう。 今回紹介する「イメージ・スローガンの作り方」は、筆者がかつてCM製作者だったときに手がけた数百本にのぼるCM制作の経験から導き出す、極めて個人的な方法論であることをあらかじめお断りしておく。

1.ターゲットを明確にする――誰に伝えたいのか?

もちろんスローガンは、「伝えたい相手」を特定しなくてはならない。ターゲットのペルソナ化だ。そのためには、特定の個人を想定する方法が一番わかりやすい。 情報や商品を届けたい相手を、まず漠然とイメージし、そこから特定の個人にターゲットを絞る。その個人は身近な人物でも構わないし、有名人でもいい。ちなみに、筆者は常に特定の個人に向けてCMを作っていた。

2.ターゲット目線によるフレーズを作る――どう伝わってほしいのか?

多くの人が勘違いしやすいポイントだ。よく、「企業のメッセージは、企業の思いを伝えればよい」という考え方をする人がいるが、それでは消費者にメッセージは届かない。「企業の思い」というのは、やり方を間違えれば、企業目線による理念の押し付けになってしまう。
企業の理念は言ってみれば、企業の都合なのである。そのような企業の都合を一方的に語られても、消費者の心に届くことはない。 メッセージを受け取るのは誰か? このことを考えれば、「企業目線」ではなく「消費者目線」で伝える必要があるのは理解できるだろう。

例えば、昔筆者が作ったCMコピーを紹介してみる。 「100%恋愛小説。」 これは、村上春樹の『ノルウェイの森』(講談社)初版刊行の際に作ったラジオCMのコピーだ。このコピーに決まるまで、数百の案を作った。その中には、完全に企業目線(発行元のメッセージ)によるものもあった。
しかし、最終的にこのコピーに決定した理由は、消費者(読者)が求めているものをストレートに訴えたフレーズになっていると判断したからだ。そして、今でもその判断は正しいと思っている。 資生堂の「一瞬も 一生も 美しく」も、明らかに消費者目線によるメッセージであることがわかるだろう。企業目線ではなく、ターゲット目線。それが重要なのである。

3.スローガンがもたらす未来のビジョンをイメージさせる――何を共感させたいのか?

企業のイメージ・スローガンを受け取った消費者は、そのフレーズを読んでどのような未来をイメージするか? 未来のイメージを膨らませられるメッセージを作る必要がある。 これを上手に実践しているのが、TOWER RECORDSの「NO MUSIC NO LIFE」である。
「音楽のある生活」、「音楽とともに生きる人生」というイメージを、多くの人が抱けるフレーズだ。 人の想像力を喚起すること。その想像力は、未来の自分をありありと描けること。このような未来ビジョンまで踏み込んだメッセージは、人の心に届き、人の記憶に残るものである。

企業の思いをイメージ・スローガンにして届けよう!

ドラッカーを持ち出すまでもなく、企業の役割は社会に対する影響力の行使にある。大企業でも中小企業でも、あるいは個人で行う企業活動でも、社会という存在があるからこそ、経済活動が可能になるのである。 

そのような意味で、「社会的な問題」をメッセージに表したバーガーキングのキャンペーンは、実は「企業の経済的発展は社会の仕組みとは無縁ではない」という、大きな企業からのメッセージであるように思う。 そして、そのような企業の考え方(理念、思想)は、イメージ・スローガンにすることで、多くの消費者の心に届く。

あなたの会社には、どんな理念があるのか? 

その理念を、イメージ・スローガンにしてみてはいかがだろうか。 

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