【ad:tech NewYork体験インタビュー後編】日本人マーケターよ!英語を学び、外へ出よ!

デジタルマーケティング
皆さんこんにちは。イノーバの亀山です。
2015年11月に米国ニューヨークで開催されたマーケティングイベント”ad:tech NewYork”を視察された(株)ハイブリッドマーケティングの山田氏に伺う【ad:tech NewYork体験インタビュー】。先週の前編に続いて、本日は後編をお送りします。
前編では「ブランド価値向上」が企業のマーケティング活動の主要目的となってきている米国において、いま注目されている「リアルタイムマーケティング」と、それを実現するためのポイントをご紹介しました。
前編はこちら⇒【ad:tech NewYork体験インタビュー前編】「ブランド価値を高めよ」〜“リアルタイムマーケティング”を実現するための3つのポイント
今回は、いまアメリカで急速に伸びている動画マーケティングの話を皮切りに、“パーセプションチェンジ”というマーケティングに求められる新たな役割やマーケティングのグローカリゼーションといった話から、さらには“コンテンツマーケティングという言葉は必要ない”なんて発言まで飛び出したインタビュー後編をボリュームたっぷりにお届けします。
Ads are DEAD! (広告は死んだ!)
亀山 山田さんがさきほどチラッとおっしゃってた「Ads are DEAD! (広告は死んだ!)」という話ですが。
山田 広告屋としてはショッキングな言葉でしたね。(笑) でもこれは、多くのセッションを通して感じた話ことなんです。たとえばダンキンの社長も、それに通じるようなことを言っていましたし、自分の歌をYouTubeに載せて大ヒットさせて、300万人くらいファンがいる十代後半のおねぇちゃんが「Ads are Dead」とかいって業界関係者がピキピキきてたり(笑)
亀山 でも、べつに広告という手法がダメって話じゃないんですよね?
山田 どちらかというと、従来のようには、広告が効きにくくなっているということだと認識しています。「Ads are dying」(広告は死にかけている)ということなりますかね。広告のコンテンツ化とか、役割の変化の話が多かったかという印象です。広告も消費者に積極的にシェアされるようなコンテンツにならないといけないよ、というメッセージですかね。
急激に伸びる「動画」のマーケティング利用
亀山 動画コンテンツのマーケティング利用がすごく増えているのも、そのあたりの背景があるんですかね。
山田 そうですね。僕も実際に行ってみて、びっくりしました。アメリカでは、すでにマーケティングに動画を利用することが、企業の大小に関わらず、標準なのかも知れないですね。テキストやディスプレイについては、ほとんど語られていないかったです。Youtubeはもちろん、日本ではまだブレイクしていないVineが普及していて、目的は広告なんだけど、いかに共感されて、「コンテンツ」としてシェアされるかがすごく注目されていました。
特に、ジェネレーションZと呼ばれるデジタルネイティブ世代は、面白くないとそもそも相手にしない。シェアしにくい、難しすぎるコンテンツも相手にされにくいという。動画のように音声があって視覚的にも動きがあるもので、いかにブランド体験を提供して、消費者とつながっていくか、ということにフォーカスされているなと思いました。
亀山 動画の利用に関して言うと、アメリカだともう事業者の規模問わず、小さいところも自分でやってるという印象ですよね。それこそコンテンツマーケティングの古典的な成功事例であるWine Library TVとか、Dollar Shave Clubとか。
山田 「iPhoneで撮影しました」というレベルのものからありますよね。で、なんで動画なんだろう、と思ったんですよ。何でこんなに動画が浸透したのかなと考えたときに、アメリカにはやっぱりいろんな国の人がいて、母国語も違うし同じ英語であっても全然聞き取れない人もいるんですよね。
亀山 ニューヨークのタクシーとかね(笑)
山田 そうそう(笑) 一方で、僕のような英語にあまり明るくない人間であっても、かなり聞き取れるくらいクリアな人もいる。これは方言とかではないなと。
そういう意味ではテキストというのはカルチャーがないと、読み取るメッセージが違ってきますが、動画だとある程度分かりやすく伝えられるというところがあって、普及している可能性があるなと思いますね。
亀山 個人の解釈が入り込む余地が少ない。だからいろんな人に伝わりやすい。それは確かにあるかもしれないですね。
コンテンツマーケティングの古典的成功事例「Wine Library TV」
パーセプションチェンジのための「コンテンツ」
亀山 スマホというデバイスの普及と通信環境インフラの整備が整った日本でも、動画を含めてコンテンツのリッチ化というのはこれからどんどん進んでいく。それはまぁ必然だと思うのですが、一方でコンテンツを作る側のハードルはどんどん上がっていくんですよね。ブログ書くだけでも大変なのに、今度は動画かい、みたいな。
CMI(Content Marketing Institute)が毎年出してるコンテンツマーケティングに関する調査でも、やっぱり一番大変なのってコンテンツを作り続けていくことなんですよね。
文章書ける人だってそんなにいないのに、それが動画になった時に、作れる人の絶対数がそもそも全然違う。
山田 ハードルが上がるという部分は、僕も同感です。明らかに上ってくるだろうなと思います。でも、日本とアメリカではその成果指標というか、求めているものが異なるんじゃないかと感じました。
亀山 コンテンツに求める成果・役割が違う、ということですか?
山田 はい。少なくとも今回のad:tech NewYorkでお話されているぐらいの企業にとって、動画や広告も含めたマーケティングの成果指標は明らかにリターンじゃなくて「パーセプションチェンジ」なんですよ。どれくらい人を行動させたとか、考え方を変えさせたとかいうことが言葉の節々に成果指標として出てきているなと思いました。CPA(Cost Per Acquisition=顧客獲得単価)のような言葉は出てこない。
亀山 人々のブランドに対する認識・印象をどう変えていくか、動画だろうがテキストだろうが、コンテンツにそれが求められている、と。
山田 日本では、(ブログ記事などの)テキストコンテンツならSEOの効果があったとか、アクセスが伸びたとか、この記事はどれくらいバズッたとか、そういうところで成果の有無が判断されている。動画もおそらく、その延長線上をたどるのではないかなと。結局、その動画がどのくらい流入を生んだかとか、Likeされたかという話になって。でも、そんなこと話題にされていない。イメージをどう変えたんだ、どのくらい消費者の価値観に変化をもたらしたんだ、ということが成果指標になっているところが違うかなと思います。
亀山 PVが増えたから、じゃあお客さんの意識は変わったの?と。広告も含めた、マーケティング自体の成果指標も変わってきているんですね。
山田 やっぱり広告はメッセージだから。大切なのは、誰に何を伝えてどうしてもらいたいのか?だと思うんですよ。僕らは運用型広告を強みにしている広告代理店なので、どうしても販促的な、まさに買おうとしてる人の背中を押すようなことにフォーカスしがちなのですが、本来の広告が持つ意味というのは、いかにして知らなかった商品を欲しいと思ってもらうまでに持っていくかが重要なはずなので。
亀山 それで、前編の冒頭でおっしゃっていた“今回のad:tech NewYorkのメインテーマ=ブランド価値の向上”という話に戻るわけですね。
山田 そうですね。テキストとか動画というのは、方法論の違いであって。いずれにしろ、僕たちもこれからのマーケティングにおいて意識しなければならないのは、いかに人々のパーセプションを変えてブランドの価値を高めるか、なんだと思います。
「ブランド」という言葉と言語の壁
山田 今回のイベントでも感じたんですが「ブランディング」という言葉をよく耳にするようになっていますよね。僕自身、軽はずみに使っていることがあるんですが、「認知の拡大」と「ブランディング」は、全然違いますよね。よく耳にするブランディングは「認知の拡大」というお話が多いなと感じます。
認知をいくら拡大しても、そのブランド価値が受け入れられないと無意味ですよね。だから、ブランドコンセプトがしっかりしていて、ターゲットに提供する価値が何かしっかりしていないと。
亀山 そういう意味では、本来的な意味だと、僕は「ポジショニング」という方が、アメリカで言う「ブランディング」に言葉として近いのかなと思います。
つまり、認知は必要だけど、何者として認知されたいかとうこと明確に持った上での「ブランディング」なんですよね。「こういう存在」だと思って欲しいというのを明確に持った上で、そう思ってもらえるように行動することがブランディング。
そもそも「ブランド」という言葉自体、我々のようにマーケティングや広告の世界にいる人にとってはいわゆる“広告主”である企業と理解しますが、それ以外の人にとっては「ブランド物」という言葉に象徴されるような、ラグジュアリーを想起させるようなものですよね。それこそ先ほど出てきたCOACHとか、Gucciみたいな。
山田 今回渡米してイベントに参加して、痛感させられたことがあるんですが、マーケティングそのものが向こうで概念として生まれて発達してきたのでで、まずは、それをそのまま取り入れることが大事なんじゃないかな、って。
亀山 というと?
山田 お恥ずかしいことなんですが、たとえば英語力なんですよ。ブランドとか、ブランディングとか、パーセプションとか、ロイヤリティとかの言葉は、翻訳して入れようとするからややこしくなっている気がして。
亀山 日本語で表現するのが難しかったり、そもそも訳せないよね、という?
山田 たとえば、アメリカの大学を卒業後に、ずっと外資に勤めている友人に、「この英文を翻訳してもらえないですか?」と依頼すると困惑されるんです。英語は、英語のまま理解しているらしく…その意味が、よく理解できなかったのですが、今回ニューヨークへ行って、なんとなく理解できました。
たとえばブランディングって、日本語でうまく解釈しようとすると誤った解釈や認識をしてしまう可能性もあるし、日本語にないものだから、英語は英語として取り入れるぐらいの英語力を持たないと一人前のマーケッターになれないのかなと・・・ガンバリマス(苦笑)
亀山 で、山田さんの英語熱に火が付いたと(笑) 日本のマーケターの皆さん、英語を学びましょう!
マーケティングのグローカリゼーション
亀山 たしかに、たとえば「マーケティング4.0」みたいな普遍的な概念の話とかは、そのまま取り入れると言うのがひとつ大事なことだと思います。
一方で、方法論や戦術をただ持ってくるとなると、市場が違うし、受け取られ方が違うからうまくいかないよね、という話も同時に存在していて。まさに今それが起きつつあるのが、マーケティングオートメーション(MA)の世界だと思うんですよね。日本のBtoBのマーケティングにアメリカからMAと言う黒船がやってきた。けど、それをそのまま当てはめようとしてもうまく機能しなかったり、結局運用に乗らなかったり。
考え方をそのまま理解した上で、実行する部分については、実際の消費者や自社のターゲットがどんな反応をして、どんなメッセージを届けるべきなのかというのを考えて応用していく。ややこしいと言えば、ややこしいのですけど。そのまま持ってきて、通用することと通用しないことがありますよね。
マーケティングのグローカリゼーション(“グローバル”と”ローカル”を合わせた言葉=世界規模で物事を考えた上で、地域に合わせて柔軟に活動すること)とでもいいますか。
山田 文化が違いますからね。そこで大事なのは、BtoBにおいては特に、デジタル以前は営業さんがいて、電話するなり、飛び込むなりで新規顧客を開拓して、顧客と信頼関係を作って、商品を納入して、良好な関係を維持するみたいなことをやってきたわけですよね。
デジタルが入ってきて、顧客が自社以外の商品の情報も簡単に知ることができるとか、比較できるようになった。その中で、アメリカでは先行してMAのようなものが発達して、利用されていますよ、というのが現時点なわけです。
じゃあ、日本でそれをどう取り入れていくかという話をするときに、もちろん、そのまま取り入れるというのは難しくて、もっと前の段階があると思うんですよ。
亀山 もっと前の段階?
山田 “なにをデジタル化するのか”なんですよね、BtoBにおいては。僕は、以前コピー機の飛び込み営業を4年間やっていたんですが、やっぱり、人がやった方が効率的な良いコミュニケーションとか営業活動というのは存在するんですよ。
でも一方で、「この辺りをご挨拶にまわらせて頂いてます」みたいな営業トークを何百件もひたすらやり続ける飛び込み営業とかって、どう考えてもデジタルの力でもっとインバウンド型に変えられるよね、ということもあるんですね。
企業によって営業フローや工程はまちまちなので、なにがデジタル化できるか、したほうが効率的か、お客さんにとっても良いかを考えなきゃいけない。逆に、この部分は人手でやって、一部はデジタルで補完しようとか、そういう設計があった上でのMA導入であれば、ものすごく便利だし効果も上がる。
「Alignment」部門横断的取り組みが経営を進化させる
亀山 その設計を、それこそ営業やマーケだけじゃなくて、商品開発〜マーケティング〜営業っていう一連のプロセスを串刺しで設計しなきゃいけない。昨今アメリカでよく話題になっている「Alignment(アライメント)」(※マーケティング&セールスのプロセスを一本の線に繋ぐこと)の話ですが、これって今回再三出てきている「ブランディング」も同じ話ですよね。部門ごとにサイロ化していると実現できない。部門横断的な取り組みが必要になる。
山田 そうなんですよ。その点、今回のイベントに登壇していたような、経営戦略にブランドが深く結びついている会社の経営体制は、日本のそれとは大きく違いますよね。日本だと営業部、マーケティング部、広報部とかがそれぞれ別々のゴールをもって活動していますが、アメリカだとこれに情報システムなど、インフラ的な部分も含めて経営戦略とかなり一体化しているなと感じました。
亀山 CEO、COO、CMOだけじゃなく、CTOやCIOも含めて経営の一角として機能している。
山田 はい。マーケティングを行う時に、必ずインフラってついて回りますからね。目立たないですけど。たとえば動画マーケティングやろうって言ったときに、“どんな意図で作成して、集まった情報をどうするのか”ってマーケティングプランニングは経営戦略に沿っていないといけないですし、そのプランを実行するときに受け皿となるインフラが整備されていなければ結局機能しない。
大学院のインターネットビジネスの講義で「情報システムプランニングは、ビジネスプランニングを包括する必要がある」教わったことがあるんですが、マーケティング計画も設備投資も、経営戦略の一部となっていないと本来は成立しないんだなと感じました。
亀山 最近のアメリカの企業にはマーケティング出身者も多いですし、頻繁に人材が出入りする人材の流動性もある。それに、とことん議論するディスカッションのカルチャーが根付いていることも後押ししてそうですね。
山田 たとえば営業部は広報部に対して気を使っていてこれは言えないとか。広報部は営業部にこれは言えないとか。そんなことを言っていると、ブランド価値の向上も、Alignmentも実現できないんでしょうね。
代理店のこれからの役割
亀山 ようやくBtoB企業にCMO(Chief Marketing Officer: マーケティング責任者)があらわれはじめた、といった段階の日本企業においては、やっぱり経営者が先陣を切ってがんばるしかないですかね。
山田 そうですね。その、プロセスを一本の線につなぐ役割は、CEOもしくは経営者が率先してやるのが理想的なんでしょうけど。現実的には、少なくても日本の場合は、難しい企業のほうが多いはず。となったときに、そこが代理店のような「外注先」と言われる人たちの新しい役割になるかも知れないですね。アメリカの企業内でそういったことをやってる人材って、日本にはかなり少ないはずなので。
「テクノロジー分かってますよ」とか、「媒体の特性分かってますよ」とか、「こんな事例ありますよ」とか、「この先の消費者とか業者はこんな動きをしてますよ」とかは、クライアント企業よりエージェントやベンダーやディストリビュータのほうが情報を持っている。そういったものを、企業の経営戦略と結びつけて、一本の線にしていくというのは、新しい役割として十分求められることかなと思います。でも人材不足ですよね(笑)
亀山 そのあたりは、山田さんご自身もこれからやっていかれる領域ですよね。
山田 そうですね。僕の会社では、集客の支援がメインなんですが、経営戦略とマーケティングプラン、テクノロジーや商品開発やCRMを一本の線につなげていく役割は、少しずつ求めたれてきています。テクノロジーが発達してきて、広告を出稿して運用することは、広告主様側で可能な状況になってきている。これまで以上に幅広い役割を果たしていく存在に変化していくべきなのかなと。
亀山 そこは大きい変化ですよね。
日本のレベルは決して低くない
亀山 なんかマーケティングの話になると、常に日本ってアメリカに対して数年遅れてる、みたいな、万年補欠みたいな印象になっちゃいますけど、負けてない部分もあると思うんですよね。自分自身アメリカとヨーロッパにいた経験からも。
山田 そうですね。これは個人的な印象ですが、言われているほど日本のレベルは低くないなと思った部分もあります。特にスマホまわりは日本の方が上なんじゃないですかね。たとえば、キーノートを聴いて感銘を受けたダンキンドーナツのWebサイトは、個人的にはお世辞にもイケてはなかった(笑)
亀山 意外とダメじゃん、みたいな? (笑)
山田 かなり使い勝手が悪かった(笑) そもそもスマホ最適化がされてないんですよ。講演聴いて、ダンキンドーナツってずいぶん前に日本にあったけど、食べたことないからニューヨークで食べてみようと思って、この辺で近い店舗はどこだろうと探しにいったら、すごい探しにくいんですよ。もうあり得ないレベルで。ウソだろう!と。
亀山 Googleマップのほうがいいじゃないか、と(笑)
山田 昨日、ドヤ顔で話されていたけど、これ?!っていう。日本でモスバーガーを探す方が、圧倒的に探しやすい。例えばモバイルマーケティングについては、日本の方が、緻密さとかサービスのクオリティは上だったりするんじゃないかと感じました。
それに、イベントに来ている方々の質問の内容とか、話されていることとか、街を歩いているビジネスパーソンとか、提供されている街中のサービスをとっても、平均点は東京の方が上なんじゃないかと感じることがすごく多かったです。全体的に大雑把で、緻密さも感じない。
亀山 そのへんはまぁ、カルチャーもあるし、当然のことながらユーザーのニーズに合わせてるんでしょうね。日本のユーザーはたぶん世界一要求が高いから。
ダンキンドーナツWebサイトをスマートフォンで表示した様子
失敗のカルチャー
山田 カルチャーの話でいくと、“失敗しても恥ずかしくないですよ”というのは土壌として明らかにありますね。むしろ失敗していないことのほうが、結構恥ずかしいというか。
亀山 失敗していないのはチャレンジしていないから、ということですね。
山田 そう。お前チャレンジできない、ということになる。これは、リスク回避から検討しはじめる日本の価値とは明らかに違うし。この辺りは、イノベーションが起きにくい、阻害している要因にもなっているだろうし。決定的な差を生んできているところかなと思いました。
「コンテンツマーケティング」という言葉は必要ない
亀山 そろそろ時間なので、最後のトピックに。
今日お話を伺っていて印象的だったのが、「コンテンツマーケティング」という言葉がもはや一度も出てこなかったこと。僕も、それは正しい方向だと思うんですね。コンテンツは経営資源になっていくはずなので、ブランドのパーセプションを変えていかなくてはいけない時の手段のひとつとして当然存在していて、当たり前に使っているものだし、それこそ経営戦略と一体化しているべきなんですよね。
なので、そもそも「コンテンツマーケティング」という言葉も必要ないし、僕は日本も徐々にそうなっていけば良いなと思っているんですけど。アメリカでは、もう当たり前のものになっていると感じましたか?
山田 そうですね。マーケティング手法としての「コンテンツマーケティング」という話は出てこなかったです。ただ、話されているキーワードの中には何回も「コンテンツ」と出てきました。それは、やはり資源として使ってると。「カスタマー」とか「アライン」という言葉も出てきているし、「ユーザー」という言葉もたくさん出てくる。
でも、「コンテンツマーケティング」とか「リアルタイムビッティング」とか「DSP」とか、我々が得意としている「ソーシャル」とか「サーチマーケティング」とかは、一切出てこない。そんなことは語りつくされたような感じが明らかにあって。誰もそんなことは質問しない感じでした。
亀山 そうでしょうね。そろそろad:techも名前を変えたほうがいいんじゃないかな(笑)
山田 アドもテックも、少なくても話に中心ではなかったですね。
亀山 一要素としては、当然あるでしょうけどね。
山田 たとえば、マーケティング成功事例の紹介とかもYoutubeにあがっている動画で「これがウケたんだよね」とか。これってもう絶対媒体の話ではないですよね。その動画の内容がどういうターゲティングをしていて、どういう効果をもたらしたかという話なんで、その時点でもはやアドではないし、テックでもない。
亀山 手法の話ではない。
山田 デジタルマーケティングの話でもない。誰に何をどう見せて、どうして欲しいかという話で。消費者とのコミュニケーションそのもののお話をしているので。経営寄りのお話ですよね。それは、大きな会社でも小さな会社でもそうで、どう適応していくかというお話をしている。
日本のマーケターよ、英語を学び、外へ出よ!
亀山 マーケティング=経営戦略、ですね。いやー、行きたいなー。
山田 ぜひ一緒に行きましょう(笑)ロスあたりで5月にあるらしいです。今回で火がついちゃって。次回も行ってみようかなと思ってます。。
英語と飛行機が苦手なんで、できれば国内に留まっていたい人間なんですけどね(笑)でも、同じ業界の講演であれば、意外と聞き取りくらいはできるものなんだと。6割7割ぐらいは少なくとも解釈くらいはできると。話すのは全然ダメでしたけど(笑)
亀山 大丈夫です。オーディエンスもほとんど同じくらいのレベルなんですよ。ニューヨークなんて、そもそも英語が母国語じゃない人間ばっかりなので。何となく半分伝わっていればいいやみたいな。みんなそうですよ。
山田 確かに、言葉の壁なんてほとんど気にしなかったし、いろいろなものを生み出す土壌が整っているから、新しいものがどんどん出てきている。年に1回、2回ぐらいはそういう場所へ行って、キャッチアップしなきゃと思いましたね。インターネットがあるからどこにいたって情報取れるという感覚でいたんですけど、やっぱり現場に行くのとは違うなと。限界があるなというのはすごく感じたことですね。
亀山 「書を捨てよ、街へ出よう」ですね(笑)
山田 あとは、そうやって持って帰ってきた情報を、少しローカライズなり、咀嚼して伝える場を国内にもっと作る必要性も強く感じましたね。
亀山 やりましょう、それ。次回は一緒に。今日はありがとうございました!
インタビューを終えて
いかがだったでしょうか?
今回取材を終えて記事化をするにあたり、”要点をまとめて個別のブログ記事にわける”というアイデアもあった中、長文になることを承知であえて対談をそのまま書き起こす形式をとったのは、現地の空気を肌で感じてきたハイブリッドマーケティング山田さんの言葉を極力そのままお伝えしたかったからです。
普段から国内外問わず常に最新のデジタルマーケティング情報にキャッチアップしている山田さんをして言わしめた「インターネットがあればどこにいたって情報は取れると思っていたが、限界がある。実際に足を運ぶことの大切さを感じた。」という言葉が、個人的にはとても心に残りました。
この後編から読み始めた方は、ぜひ前編もご一読ください!
前編はコチラ⇒【ad:tech NewYork体験インタビュー前編】「ブランド価値を高めよ」〜“リアルタイムマーケティング”を実現するための3つのポイント
インタビュイープロフィール
山田 将司(株式会社ハイブリッドマーケティング取締役)
大学卒業後、OA機器販売会社で複合機の新規開拓営業に従事。入社3年目に営業成績日本一となる。世の中に影響を与える無形の自社商品を販売することで、商品説明能力を高めたいと考え株式会社ロックオンに入社。広告効果測定・リスティング広告自動入札システムの代理店営業を担当。東日本大震をきっかけに、地域や企業の再生・発展に「ガッツリ」関わりたいと考えるようになり、2012年4月、株式会社ハイブリッドマーケティングに参画し、取締役に就任する。現在は、多くの中小企業や公共団体のWebマーケティング支援を精力的に行ないながら、大学院で経営学を学んでいる。
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