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イノーバマーケティングチーム2024/02/04 15:30:542 min read

5W1Hは海外向けマーケティング戦略にも使える!その起源と海外版活用事例

「When、Where、Who、What、Why、How」で構成される5W1Hは、英語圏でのマーケティング業務推進においても大いに活用することができるフレームワークです。

そもそも5W1Hは、1900年代にアメリカで確立され、その後、海を渡って日本へ浸透した言わば輸入品です。海外、いわゆる欧米の先進国でも、導入当初はジャーナリズムを中心に多く活用されていましたが、今では、マーケティング戦略の立案やプレゼンテーション、コミュニケーションなどにおける、問題解決や情報収集を目的とした手法として、有用なフレームワークです。

日本の5W1Hと、その考え方や応用方法はほぼ変わりはありません。ターゲットが英語圏であるからといって気後れする必要はなく、5W1Hのフレームワークに沿って、1つ1つ丁寧に分析を行い、解を導き出せば、海外でも十分に通用するマーケティング戦略を立てることが可能です。

ここでは、5W1Hの起源や、海外における5W1Hの派生系フレームワークをご紹介し、実際の活用事例についてご紹介いたします。
 

5W1Hの起源である5Wとは?

5W1Hの起源をとても古く基礎となった考えが始まったのは古代ギリシャ時代と言われています。長い時間をかけて、さまざまな分野の著名人が最適なWを使ったフレームワークを追求してきました。ここでは、5Wの起源となる概念が英語で世に紹介された時期から、現在に至るまでの歴史について時系列に解説します。

5w1h.png5W1Hの起源となる概念が初めて英語文献で紹介されたのは、修辞学者のThomas Wilsonが1560年に出版した「The Arte of Rhetorique」です。

Thomas Wilsonは同書で「Seven Circumstance(7つの事象)」という5Wの起源となる考えを主張しています。「ある事象を理解するためには、事実を構成している7つの事象「Who、What、Where、What help、Why、How、When」を理解する必要である」と言っています。

その後、少し時期を開けて、1880年代にWilliam Cleaver Wilkinsons教授が、「3W(What、Why、What of it)を使い、聖書の研究に応用しました。この3Wも、現在の5Wの基となっていると言われている考えの1つです。
 
その形を最も近づけたのは、Rudyard Kiplingという児童小説家でした。彼が1902年に出版した「The Elephant’s Story」の一部を要約してご紹介します。

「僕には、6人の信頼できる召使がいる。彼らの名前はWhat、Why、When、How、Where、Whoだ。」

これにより、5Wの概念は世間に知り渡るようになりました。日本に5W1Hが浸透したきっかけであり、出典元であるとされています。
 
1917年からは、アメリカの高校のジャーナリズムのクラスで取り上げられるようになり、文章の書き方のプロセス、研究やリサーチを目的とした情報収集の方法や問題解決方法として教育現場でもその有用性が注目されました。 
現在では、イギリスやアメリカの小学生の授業で導入されています。ジャーナリストやニュースレポーターを目指す人向けの研修や授業では、一番初めに受ける基礎となるフレームワークでもあります。2000年以降は、ビジネスにおけるコミュニケーション、プレゼンテーション、マーケティング戦略、企業戦略といった多くのビジネスシーンで、思考整理、問題解決、アイディア発掘などを目的に、活用されるようになりました。
 
5Wは、欧米を中心とした先進国で、幅広い目的と場面で使える、シンプルかつ実用的なフレームワークとして進化してきました。英語圏に向けたマーケティングプランの立案やコンテンツ制作、これに関わる英語でのプレゼンテーションも、英語ネイティブにも馴染みの深い5W1Hであれば、ターゲットの納得度の高い、ロジカルな施策を打ち出すことが可能です。
 

【海外版】5W1Hの派生系フレームワーク

日本ほど多くは存在しないものの、欧米先進国でも5W1Hの派生系フレームワークがいくつか存在します。呼称の違いなども含めて知っておくと参考になるフレームワークを下記にご紹介します。

5w1h_2.png

5W

5W1Hの起源となる5Wは、今でも多くの場面で使われています。

5W1H

英語版5W1Hでは、whatがwhat if(したらどうなるだろう)、whoがwhom(誰に)に置き換えられて使われることがあります。

6W

5W1Hの同義です。6Wと呼ぶこともあるので、覚えておくとよいでしょう。

5W2H

5W1Hに「How much」が加わった派生系フレームワークです。日本式5W2Hでは、主に価格戦略や、資金計画も含めたお金に関わる戦略を分析しますが、英語版では、このHow muchに長さ、重さ、距離、ユニット、合計数値といった量に関する分析要素が含まれています。

5Whys(Why-Why-Why-Why-Why)

このフレームワークは、大野耐一氏(元トヨタ自動車副社長)が考案したフレームワークで世界で注目され、今ではさまざまな海外の現場で活用されています。「なぜを5回反復することで、事象の因果関係や、問題の真の原因を究明することができる」という考えです。

自動車製造業に限らず、ビジネスで問題に行き詰まった時の原因究明や、業務効率化のための問題点の分析など、その応用方法は海外の記事で多く紹介されており、ビジネススクールでもケース・スタディとしての1つとして取り上げています。

ゴールデン・サークル(Why-How-What)

TEDスピーカーとして有名になったサイモン・シネックが2009年に発表した新たなフレームワークです。彼は、人の心を大きく動かしてきたスピーカーや企業は「まずWhyを分析し、そのWhyを実現するためのHowを考え、その結果製品やサービスなどのWhatを生み出してきた」というルールを発見しました。 
事例として、アップル社やキング牧師のかの有名なスピーチなどを取り上げ、多くの人が彼らの考案したゴールデン・サークルに共感しました。ゴールデン・サークルは、マーケティングやセールスなどあらゆるビジネスシーンにも活用できるフレームワークとして更なる注目を集めています。
 

【海外版】5W1Hと派生系フレームワーク5つの活用事例

それでは、実際にアメリカを中心に紹介されている5W1Hと派生フレームワークの活用事例をご紹介していきます。

情報伝達に使われる5W1H

2010年のEditor of the yearにも名を連ねた故Steave Buttry 氏は、5W1Hの有用性を自身のブログ「Stevebuttry」で綴っています。情報伝達をする際には、下記のリストのキーワードを参考にして情報を収集します。

Who  対象人物、ソース、キーパーソン、ユーザーネーム

What  起きた事実

When  事実が起きた日時、過去・未来を語る時にはその日時

Where 場所、住所、開催地、コミュニティ、オンラインコミュニティ

Why   因果関係が明確になるよう、当事者をよく理解して説明する

How   どのように、どのくらい、費用、何人

情報の一時情報をWhoで問います。オンラインで情報収集が容易になった現代では、情報の信憑性を問うことは重要なポイントになりました。Whereは、物理的な空間だけでなく、オンラインコミュニティなども含まれています。Whyでは当事者の目線に立ち事象をとらえて説明する点などは、説得力ある情報伝達には欠かせないポイントです。
 

起業や新事業立案で使える5W1H

起業が盛んな米国で、起業家向けのコンテンツを配信しているサイトでは、起業時の分析に使える5W1Hを紹介しています。ビジネスを始める前に6つの要素を明確にするべきであると発信しています。WとHは以下のような問い置き換えられます。
 
What どんな会社を作るのか?人々(投資家、消費者、社会)に何を伝えることができるのか?

Why  なぜその会社を作るのか?なぜその製品を作るのか?マーケットのどういった隙間を狙うのか?どういった問題を解決する会社(製品)なのか?

Who  だれがそのサービスに興味を持つのか?ターゲットはだれなのか?B2BかB2Cか?だれがその製品にお金を払いたいと思うのか?

Where グローバル展開するのか?国内のみに展開するのか?

When  起業までのスケジュール、タスク、タイムライン

How どうやってターゲットに買ってもらうのか?いくらで売るのか?マーケティングプランは?
 
「起業」を、「新事業」に置き換えて分析することも可能ですね。
  

B2Bのカスタマージャーニーマップで使える5Wの変化系

米国のコンサルタントが運営するブログサイトFORRESTERでは、5Wを使ったカスタマージャーニーマップの設計方法を紹介しています。When 以降は購買ステージ毎にWhat-Whereを分析する変化系になります。図も合わせて参考にしてください。

Who   企業、部署、チーム、意思決定者、意思決定者に到達するまでに関与する人々

Why   購買する企業や部署、チームが改善のために必要としているものはなにか?達成したい目標はなにか?改善したい課題はなにか?

When   購入ステージ

What   購入ステージ毎に異なる、ターゲットが持つ疑問・必要なコンテンツ

Where  購買ステージ毎に異なるチャネル

5w1h_3.png 
カスタマージャーニーマップの設計に、苦手意識を持っている方には、この5Wを使ってシンプルに分析してみることをおすすめします。
 

コンテンツマーケティングの戦略立案で使える5W

コンテンツマーケティング戦略立案では、特に5Wや5W1Hのフレームワークを推奨している情報を目にします。米国でコンテンツマーケティングが注目されるようになった2010年以降、5W1Hがデジタルマーケティングでも有用であると、さまざまなブログが発信しています。ここでは、米国のオンラインマーケティングサービス提供会社が運営するTOPRank Markething Blogで紹介されている事例をご紹介します。

Who   読み手はだれか?購買決定者は?ペルソナは?

What   読み手はなにを探しているのか?なにが必要なのか?

When   いつコンテンツを発信すべきか?発信する頻度はどのくらいか?

Where  発信するチャネルは?読み手が読みやすく、シェアしやすいチャネルは?

Why  なぜ、コンテンツを配信するのか?聞き手は、コンテンツを読んで、なぜ次のアクション(コンバージョン)を起こしたくなるのか?

How    計測方法はどうするか?

Whatはつまり、キーワードの設定にも影響する要素です。Whyの後者「聞き手は、コンテンツを読んで、なぜ次のアクション(コンバージョン)を起こしたくなるのか?」という解を導き出すことは、コンテンツマーケティングを成功に導く重要なポイントです。
 

製造業の業務改善で使われる5Why(Why-Why-Why-Why-Why)

前章でも少し触れた「トヨタ式5W(5回のなぜ)」は、日本から発信され海外にも定着したフレームワークです。定着した先では、業務プロセスを改善し、製品やサービスの品質のばらつきを抑えるために使うシックス・シグマの分析に併用されているケースを目にします。ここでは、プロジェクト遅延の原因究明を事象に、分析のサンプルをご紹介します。
 
Why なぜプロジェクトが長引いているのか?

初期の計画の納期に間に合っていないから

Why なぜオリジナルの計画通りにいっていないのか?

初期の計画通りに終わらせるためには時間が足りなかったため。

アサイメントが個々のチームメンバーに余裕を持ったタイミングで伝わっていなかった

Why  なぜアサイメントが早い段階で伝わっていなかったのか?

アサイメントの詳細決定が予想以上に長引いたから

Why   なぜ予想以上に長引いたのか?

プロジェクトリーダーが、必要事項について前もって確認できていなかった

Why  なぜプロジェクトリーダーは決断が遅れたのか?

他の業務に時間が取られ、頻繁にチームやメンバーとのミーティングやコミュニケーションが取れていなかった 
Whyを複数回繰り返すことで、見えていなかった問題点が浮き彫りなっていきます。製造業に限らず、作業工程の改善や、問題点の因果関係を究明する時に5 W(5つのWhy)は活用されています。
 

まとめ

5W1Hは、欧米を中心とした英語圏でのマーケティング業務推進においてももちろん、活用することができます。日本の5W1Hと基本的な伝え方や考え方は同じであり、海外向けマーケティング業務だからといっても気後れする必要はありません。上記でご紹介した5W1Hとその派生系フレームワークを使って、海外でも通用するマーケティング戦略を立案してください!

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