小売、飲食業界の新常識!マーケターが知っておくべき、5つのモバイルトレンドとアプリを活用した最新事例

デジタルマーケティング

Foursquare, Yelpなどチェックイン・クチコミ系アプリが、最近いくつかのアップデートを行った。

彼らのアップデートの動向は、小売り店鋪や飲食店での消費者のモバイル利用動向を反映したり、予測していたりするので、毎回非常に興味深い。

今回はそれらのアプリのトレンドとともに、小売業界での独自開発モバイルアプリの活用事例として、米国西海岸で事業展開しているジーンズセレクトショップ Hointer のユニークなアプリ開発事例を紹介しょう。

1. 2013年の統計的なトレンド

トレンドを知る上でまず知っておきたいのが、モバイル利用における統計的な推移だ。

・世界には68億人のモバイルユーザーがいて、2011年の60億人という数字からさらに増加している。 ・米国では、2013年6月現在、成人(21歳以上)の56%がスマートフォンユーザーである。(Pew Internet調べ)  ※ちなみに日本では同時期に49.8%(IDC Japans調べ)という報告がある。 ・米国のオンライン購買者のうち38%はタブレットから買い物をしている。24%はスマートフォンからである。  (2013年8月12日?Nielsen調べ) ・2013年米国のモバイル広告費は114億ドル(約11兆円)に達すると見込まれる。  (Gartner調べ)

2. 米国スターバックスは売上げの10%がモバイルから

実はApp Storeでは散々な評価を得ているスターバックスのアプリ。

しかし、現に売上げの10%はモバイルから来ているという。これは、独自のモバイルアプリからの購入に加えて、Apple PassbookやSquare Walletの活用を導入した結果だという。簡単に言えば、モバイルからの支払いの選択肢を増やしたということだ。

コーヒーを12杯買うと1杯無料になるポイントカード機能もモバイルアプリで。となれば、充電だって自由にしたいよね?ということで、ボストンとシリコンバレーの一部店舗では、すでに店内座席へのワイヤレス充電マット(スマートフォンを置くだけで充電できるマット)の設置を開始している。

3. Yelp はモバイルからレビューを書き込む機能を充実させる動き

Yelpはおそらく米国最大の口コミサイトである。彼らはモバイルからレビューを書き込む機能を充実させる動きを見せている。

みなさんにも、お店に入った瞬間やサービスを受けた瞬間に抱く良い感想、悪い感想があると思う。

それらの感想、いわゆるレビューを、家に帰って改めてコンピューターの前に座り書くかといわれると、よほどのインパクトがあったときを除いては、それらの感想や感情はたいていどこかへ行ってしまっていることが多いのではないだろうか。

一方で、人々は新鮮で正直なレビューを常に探している。レビューをあてにお店を訪れたらガッカリさせられて、そのページを見直したら数年前のレビューだった、という経験が筆者にもある。

Yelpの新しいレビュー機能には課題も多い。リアルタイムレビューはエンドユーザーにとって最も役に立つ情報のひとつであるとともに、人々の感情を含むため、場合によってはその評価された店舗のビジネスを破綻させる事態も起きかねない。情報が分散してユーザーが混乱することも意図にそぐわない。

つまり、テクノロジーによって公平に大量の新鮮なレビューをキュレーションできる方法が模索される方へ向かっているのだ。

4. Foursquare はセルフサービスのローカル広告メニューを中小企業向けに拡大

米国では、ローカルの小売り・飲食業者にとってもForsquareはもはや無視できない存在になっている。日本のクチコミサイトやクーポン系サイトのステッカーを店舗で目にすることがよくあるのだが、米国ではそれが Foursquareや、Yelpなのである。

特にここ最近は、チェックイン・スペシャル(Foursquareでチェックインをすると受けられる割引サービスなど)を利用する個人経営の小売店や飲食店が急増している。

ROIを考えたときに最も効く広告手段のひとつとして捉えられており、Foursquare側もそれに応えるべく、特に位置情報を活用したローカル広告を中小企業にも(つまり少ない広告費でも)出稿しやすいようなメニューの開発に力を入れている。

5.Apple Passbookの活用

iOS 6以降登場したものの、実は筆者もあまり開いたことのない Apple Passbook。iPhone利用者がこのアプリを削除することが出来ないという点では、主要な小売業者、航空会社、チケット会社などのマーケターたちをある意味助けているようだ。米国では既にこのアプリの積極的な活用が始まっている。

使いやすいAPIのおかげで、自社アプリとうまく連携さえできれば、顧客が訪れたサイトを通じてパスを送ることも可能だし、顧客にemailなどを送ることも容易になる。

バーコード、QRコードなどスキャン可能なフォーマットを含む大部分のPOS(POS)システムとの連携や高度なカスタマイズの可能性も探られている。さらに、Samsung WalletのようなPassbookと同種のアプリがアンドロイド端末にも対応しはじめているので、米国のマーケターたちは積極的にPassbook活用の道を模索しているようだ。

モバイルアプリを開発したジーンズショップの試み

最後に、独自モバイルアプリを開発し、実店舗でオンラインショッピングの利便性との融合を試みている事例を紹介しよう。シアトルに2店舗を構え、近日、ロサンゼルスに新店舗がお目見えする予定のジーンズセレクトショップ?Hointerである。

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出典:Hointer

このショップでは、見た目で試着したいものがあれば、その商品のバコードをアプリでスキャンし、自分のサイズを入力して試着室に向かう。広い試着室にはそのサイズの現物が一瞬で用意され、試着をして気に入ればその場でgoogle wallet やクレジットカードで支払いをする。

気に入らなければ、試着した商品を戻すだけ。棚から自分のサイズを探す手間もなければ、サイズが見つからず店員に問い合わせたあげく待たされるようなこともないし、レジで待たされることもない。

実は彼らは、ジーンズショップというよりも、このシステムを他のリテイラーに提案しているテクノロジー系スタートアップなのだ。店舗側がコストを削減しつつ、新しいカスタマーエクスペリエンスを提供できることを売りにしている。

Youtubeで動画も紹介されているので、ご参考までにリンクを貼っておこう。 http://www.youtube.com/watch?v=2ZjWwlzRYBM

進化の速いモバイル周辺。特に小売・飲食業界は、これらのアプリのアップデートに注目することで新たなマーケティング戦略のヒントを得られる可能性がありそうだ。

参考: ・5 Mobile Trends Marketers Need To Know About?・Hointer?Photo: Some rights reserved by?lululemonathletic, flickr

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