注目の動画のコンテンツマーケティング|5つの事例

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングのコンテンツ形態は、さまざまなものがあり得ます。自社ホームページ、ブログ、フェイスブック、インスタグラム、ピンタレスト、動画、ウェビナー(ストリーミング技術を通じたリアルタイムのセミナー)、オンラインメディアのネイティブアド枠向けの記事などです。同時に複数(5~8種類)の形態を利用している企業が多いようです。

しかし、コンテンツマーケティング・インスティテュートCEOのジョン・ピュリッジは

「現在、コンテンツマーケティングの中心はブログとなっている。しかし、製作費はある程度かかってしまうが、今後はもっともマーケティング効果を発揮する動画に企業はもっと力を入れるべき。また、インターネットを通じて相手がどこにいても自社の講師が教えるセミナーを開催できる「ウェビナー」(ウェブ+セミナー)も、フェイス・トゥー・フェイス(対面)に匹敵する強力なマーケティング効果が期待できる」

と、企業のマーケティング担当者たちに助言しています。

米国の動画制作会社アンルーリーの調査によれば、動画を楽しんだ人の85%がその商品を買いたいと感じたという結果も出ています。ディストリビューション(配信)方法は、自社ウェブサイト(オウンド・メディア)、YouTubeやFacebookなどのソーシャルメディア、Eメール、マスメディア(テレビ、新聞)や有力ブロガーへのビデオの送付などが考えられます。

ここからは、成功した動画コンテンツの事例5選をご紹介します。

〔1〕ミキサーの実演動画で売上が7倍に

米国のブレンドテックという企業の創業者トーマス・ディクソンが、軽妙なトークとともにさまざまな品物を自社製品のミキサー「トータル・ブレンダー」に投入し、実際に粉砕してみせることで、ミキサーの性能を宣伝するシリーズ動画。

毎回ディクソンの決め台詞「Will it blend? That is the question.(ブレンドできるのか? そこが問題だ)」で始まり、「では、このアップル・ウォッチ(腕時計)を入れて、どうなるか見てみましょう」と言って、本当に本物のアップル・ウォッチをミキサーに入れてスイッチを入れると、品物が粉砕される様子が流れ、原型がなくなるほど十分粉々になると、逆さにして中身を空けます。

最後は「Yes, it blends!(うん、ブレンドできる!)」と締めくくり。ほかのバージョンでは、電球や携帯電話などさまざまな品物を投入します。

このシリーズはYouTubeだけで2億回を超えるアクセスを記録、それ以外のチャンネルでも数百万アクセスを数え、その結果、商品の売り上げは7倍に跳ね上がり、自社従業員たちも大いに奮い立ったとのこと。

あるビジネス誌は「かつてもっとも成功した13のマーケティング・アイデアの一つだ」と評しています。このシリーズを企画・制作したマーケティング戦略家のジョージ・ライトは「どんな企業でもコンテンツ・マーケティングで成功することができる」と語っています。

〔2〕知らない人同士がファースト・キスをする動画

米国の女性向けアパレルメーカーのレンが制作し、昨年3月に公開したプロモーション動画「ファースト・キス」は、10組の初対面のカップルにカメラの前でキスをしてもらう様子を見せてくれます。長さは3分強。「名前は何だったっけ?」「素敵な目ですね」など、恥ずかしげに話す2人が、やがて熱烈なキスを交わしていきます。

これが視聴者の心を揺さぶり、YouTubeに公開後、1か月半足らずで8千万回再生され、Facebookでのシェア数約140万、Twitterでのツイート数は6万8千以上に達しました。

同社の創業者でクリエイティブ・ディレクターのメリッサ・コウカーによると、ウェブサイト訪問者数は140倍に増え、そのうち96%は初回訪問者。売上は136倍近くに拡大したそうです。

〔3〕音楽教室「東山堂」のストーリー動画 

岩手県で音楽教室を運営する東山堂は今年1月、感動的なストーリー動画を制作、YouTubeにアップしたところ、フェイスブックなどで共有が広がり、130万近いアクセスを稼ぎました。

新婦の父が娘に内緒で音楽教室に通い必死でピアノを習い、その結果、つたない演奏だが結婚式披露宴で初めて披露、娘を泣かせるというものです。長さは3分間。ドキュメンタリータッチで、人々の心を揺さぶるハート・ウォーミングな作りとなっています。

米国のコンテンツ・マーケティング戦略家、ロバート・ローズも「動画は(商品を売るための)CMのようにではなく、短いドキュメンタリー(ストーリー)としてつくるべきだ」と言っています。

〔4〕ウェストジェット航空のクリスマスサプライズ動画

米ウェストジェット航空は2013年12月、クリスマス用のドキュメンタリー仕様の動画を制作、YouTubeに投稿、これが世界中で視聴され、400万アクセスを超えるヒットを記録しました。

同社の乗客全員に搭乗前に予め希望のクリスマスプレゼントを聞いておき、到着までに着陸する空港の職員が街中のおもちゃ屋を必死に駆けずり回り、それを到着した乗客にサンタ姿でプレゼント、乗客は歓喜のあまり躍り上がって喜ぶという夢とサプライズのあるストーリーです。 

〔5〕恐怖のコーヒーショップの動画

映画「キャリー」(2013年)をプロモーションするためのコーヒーショップでのいたずら動画がYouTubeで600万アクセスを超える大ヒットとなりました。

あるニューヨークのコーヒーショップの店内に大掛かりな細工を仕掛けておきます。そして、客として入ったある若い女性がテレキネティック(超能力)でコーヒーカップを飛ばしたり、テーブルを動かしたり、絵画を落としたり、ほかの客を壁に張り付けたりして、まさに恐怖映画の世界を本物のコーヒーショップで再現。ほかの客を恐怖と混乱に陥れるというストーリーです。

企業にとって動画制作はもはや必須ツール

そうは言っても、初めて動画マーケティングを試す企業にとっては、不安があるかもしれません。米シカゴの動画制作会社のCEOを務めるガイ・バウアーは

「いま、動画革命が起きているのです。インターネットがテレビとラジオを殺しつつあります。動画はもはやオプションではありません。あなたの会社も動画を作る必要があるのです」

と強調しています。まずは、他社が手がけて成功している動画の構成・コンセプトをフォーマットとして、真似て制作してみることです。

 一方、動画で成果を上げている米国SASインスティテュートの社内広報担当者、リサ・アーニーは、動画制作時のアドバイスとして

「あなた自身が学校へ行って学ぶ必要はなく、専門会社に依頼すればよいのです。飽きられないように長さを短く、できれば90秒以内にすること。印象的なキャラクターの登場人物を設定すること。アクセス数だけでなく、コメントの数なども考慮すること。最初はむずかしいかもしれませんが、やっていくうちに慣れてくるものです」

と助言しています。

photo by ancouverfilmschool