トイレットペーパー、電池……地味な商品でコンテンツマーケティングを成功させる方法5選

コンテンツマーケティング

Apple・IKEA・コカコーラなどのブランドは、いつも華やかなコンテンツマーケティングを仕掛けているようなイメージがある。では、地味な業界の「縁の下の力持ち」的な商品で、コンテンツマーケティングを行うことはできるのだろうか……?

答えは、YES。私たちが毎日使うトイレットペーパーや、定期的に購入する人も多いであろう電池のような商品でも、インパクトのあるコンテンツマーケティングは、もちろん可能だ。

本記事では、本来の「地味さ」にもめげずに、クリエイティブなマーケティングで成功した海外の事例を5つご紹介する。

地味な商品その1:トイレットペーパー

5-brilliant-marketing-campaigns-for-boring-products_2.png出典:CharminのTwitter

トイレットペーパーは、生活になくてはならないもの。でも、大量に買い込んでいるところを、知っている人にはあまり見られたくない……。そんな種類の商品ではないだろうか?

しかし、アメリカのトイレットペーパーメーカー「Charmin」は、そんな消費者の恥じらいを吹き飛ばすように、堂々と、トイレネタをツイートしている。

「#TweetFromTheSeat(トイレからのツイート)」や、「#ThatAwkwardMoment(気まずい瞬間)」といった、ハッシュタグもユニークだ。ツイート例をいくつかご紹介しよう。

  • 「気まずい瞬間=ビジネスの電話をしている最中に、ミュートにするのを忘れてトイレを流してしまったとき」
  • 「緑色のものを食べたら、出てくるときも緑色かな?」
  • 「気まずい瞬間=自分の5歳の子供が、遊園地で45分も並んだ後で、今すぐオシッコに行きたいと言ったとき」

要するにCharminは、「人は皆、排泄をする」と言いたいのだろう。このメッセージを、下品すぎないユーモアで伝えているのは、お見事である。

地味な商品その2:電池

電池も、商品としてはかなり地味な部類に入ると思うが、電池メーカーの「Duracell」は、こんなパワフルな動画を作成した。

Duracell: Trust Your Power – NFL’s Derrick Coleman, Seattle Seahawks

http://www.youtube.com/watch?v=u2HD57z4F8E

アメフト選手のデリック・コールマンは、聴覚障害者初のNFL攻撃選手。彼が、NFL選手になるまでを再現した映像と、本人のナレーションが流れる。

「関係者たちに、フットボールをやめるよう忠告された」「でも、3歳から耳が聞こえなかったから、忠告も耳に入らなかった」……。ラストでは、選手としてフィールドに向かう姿を映し、「内に秘められたパワーを信じろ」というメッセージで終わる。

人生の壁にぶつかっている人は、勇気をもらえそうな動画だ。同時に、電池の「内に秘められたパワー」を信じてもらうのに、効果的なコンテンツでもある。

地味な商品その3:ガム

ガムも、地味と言えば地味な商品。ガムのメーカー、トライデント(注:南米ではBeldent)が公開したのは、こんな動画だ。

Beldent Almost identical

この映像は、アルゼンチンのブエノスアイレス現代美術館で行われた、興味深い実験の様子を収めたもの。何組かの一卵性双生児が椅子に座り、1人は無表情、もう1人はガムを噛んでいる。

そして、参加者たちに、「より、友達が多いのはどちら?」「より、パーティーに招待されるのはどちら?」などの質問をしていく。481人の参加者のうち73%が、ガムを噛んでいる方に好印象を抱くという結果になった。

「ガムを噛んでいる表情が、他人に与える印象」というテーマが、とても面白い。

地味な商品その4:ミキサー

ミキサーも、華やかとは言えない商品の1つだろう。家庭用ミキサーのメーカー、「Blendtec」が提供するのは、目を疑ってしまうような実験映像だ。iPhone版が数年前に大きな話題になったので、知っている人も多いかもしれない。

Will it Blend? iPad Mini vs Kindle Fire HD vs Nexus 7

この動画は、iPad Mini・Kindle Fire HD・Nexus7の比較版だ。これらを無理矢理折り曲げ、ミキサーにかけて、スムージー(?)にしてしまうのである。ぶっ飛んではいるが、ミキサーの強力さに驚かされるだろう。

「うちの商品は、何でもブレンドできますよ~」と、口で説明する代わりに、実演して見せているわけだ。これほど、説得力のあるメッセージがあるだろうか。

いま、注目されているタブレット3種の比較という、トレンドを取り入れている点も興味深い。

主演のTom Dickson氏(Blendtec社の創設者)は、それぞれのフタを開ける際に、こうつぶやく。「Googleの匂いがする」「これは、Amazonの匂い」「この匂いは、Apple」

「今をときめくITジャイアントも、Blendtecにかけちゃえば“ひとたまり”もない」という、ブラックジョーク効いている作品だ。

地味な商品その5:機内安全ビデオ

飛行機が出発する前に、機内で見せられる安全ビデオは、当たり前だが、とても地味で退屈だ。少なくとも、バズを起こせるコンテンツとは言えないだろう。

しかし、バージン・アメリカ航空は、ユニークな安全ビデオを作成し、バズを起こすことに成功した。まずは、出だしだけでもいいので、こちらをご覧いただきたい。

Virgin America Safety Video #VXsafetydance

http://www.youtube.com/watch?v=DtyfiPIHsIg ミュージカルである。しかも、かなりレベルが高い。監督は、ジョン・M・チュウ。キャストは、「アメリカン・ダンスアイドル」のスターやオリンピック選手、「アメリカン・アイドル」の決勝出場者などだ。

もちろん、歌って踊りながらも、酸素マスクや救命胴衣の使い方などは、ちゃんと説明している。しかし、あまりにも楽しくて、ついつい見入ってしまうので、注意事項が頭に入らない可能性はあるかもしれない……。

最後に

商品が地味だからといって、マーケティングまで地味である必要は全くないということが、おわかりいただけただろうか? どのような業界・商品でも同じだが、マーケティングは、アイデア次第ということだ。

少し考えてみるとわかるが、実は、地味な商品をつくっている会社はとても多い。そして、そういった商品の多くは、私たちの生活に欠かせないものだ。

取り扱っている商品が、「地味だからこそ」思いつけるアイデアだってあるはずだ。今回ご紹介した海外事例が、少しでもヒントになれば幸いである。

参考元:?3 Brands in Boring Industries That Tell Amazing Stories?3 More Examples of Good Content in Boring Industries?5 Brilliant Marketing Campaigns for Boring Products

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