【セミナーレポート】BtoB企業のブランディング、これからの潮流とは?

BtoBマーケティング

2017年2月2日(木)、文京シビックセンター(東京都文京区)にて、イノーバ主催のBtoB向けブランディングセミナー「BtoBブランディング&マーケティングセミナー 」を開催しました。登壇者は、株式会社サイバー・コミュニケーションズ ストラテジストの山崎浩人氏(第一部)と、当社代表の宗像淳(第二部)。それぞれ、社会の最新動向やさまざまな事例を交えながら、これからのBtoB企業のブランディングの考え方を紹介しました。

【第一部】反グローバリズム時代のブランディング〜マーケティングの潮流とBtoB事例〜

登壇者:山崎浩人(やまざきひろと)氏
株式会社サイバー・コミュニケーションズ ストラテジスト。日本企業のブランド理念策定や、グローバル戦略のコンサルティング、マーケティング・プロデュースを数多く手がけている。

そもそも、ブランドとは何か。私は、「ブランド=経営理念そのもの」であると考えています。これまで多くの企業が伝えてきたのは、自社のサービスやプロダクトの属性(What)にすぎませんでした。しかし今は、企業らしさ(How)や、理念(Why)、つまり「企業ブランド」を意識し、人間にとって共通する価値観に訴えかけていくことが求められています。

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特に2016年以降、日本企業からのグローバルに対するブランディング案件依頼が増加しています。そのとき、重要となるのがこの「人間にとって共通する本質的価値観」に他なりません。①喜びを感じさせる、②結びつくことを助ける、③探究心を刺激する、④誇りをかきたてる、⑤社会に影響を及ぼす――これら5つの価値観は、国による文化や宗教の違いにも左右されにくいものです。

グローバリズムから“反グローバリズム”へ

そしてさらに今、米大統領選の結果を受けて、世界情勢が大きく変わろうとしています。グローバル時代から、“反グローバリズム”へ。そんななか、企業は世の中に対してどのような発信をしていけばよいのでしょうか。

グローバリズムとは、新自由主義や他国の支配などの覇権主義を意味していました。それが反グローバリズム化することにより、民族自決や他国との協調といった多極化が進むと予測されます。こうした動きにより、国際秩序や世界経済にも大きな影響が生まれてくるでしょう。

これまでの基本的なブランド構築は、マクロ環境分析から文化的テンション、市場調査を経て、生活者インサイトの発見というプロセスで行われてきました。しかし今後は、まず、大きく変革した世界の潮流や情勢を的確に捉えてから実施する必要があります。

こうした流れを踏まえると、BtoBのブランディングは、「BtoS(Social)」になりつつあるといえます。もはや、「Social Good」であることは当たり前。これまでのマーケティングに重要だったのは、大企業が優位になりやすい「規模・認知による信頼」でしたが、反グローバリズム(=反・覇権主義)の時代は「良質・実質による信頼」へと潮流が変化しているのです。

世界と日本のブランディングの違いとは

では、実際に海外ではどのようなブランディングが行われているのでしょうか。日本の事例と比較してみると、その差は如実に現れています。

海外の企業がブランディングにおいて重視しているのは、事業価値の共感と理解です。社会的な価値を実現しているか、ターゲットをたたえるスタンス、リアルなストーリーなどをコアに据えた発信が多数を占めています。

一方日本企業は、未だに社名・商品名の認知や話題づくりを重視する傾向があります。旬なタレントの起用、フィクションによる世界観、機能面の訴求などは、長期的なブランディングにつながりにくいものです。

現在のブランディングのポイントは、TVコマーシャル中心の「話題づくり・認知」ではなく、事業価値の「共感・理解」をいかに得るかという点にあるといえます。しかしこうした変化によって、限られた大企業だけではなく、中小企業もブランド・コミュニケーションによる成果を見込めるようになったといえるでしょう。

その際、大きなポイントとなるのは「Social Good」を大前提とし、自社の理念(WHY)を、“らしさ”(HOW)でどのように実現するか(WHAT)を考えること。

日本企業ならではの理念・ストーリーを確立したうえで、反グローバリズム時代におけるブランドの社会的価値(信頼)と、エモーショナルな価値訴求を追求してください。

【第二部】ブランドと見込み客を育てるオウンドメディアのススメ

登壇者:宗像淳(むなかたすなお)
株式会社イノーバ 代表取締役CEO。著作:『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる』(2014,日経BP社)、共著『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本 人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り (「いちばんやさしい教本」シリーズ) 』(2015, インプレス)

まずは、BtoB企業でブランディングに成功した事例をご紹介します。1つ目はアメリカのGeneral Electric(GE)社。2000年代になるまで、同社は「世界でも最悪の汚染者」とみなされていました。

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しかしGEは2005年に、環境技術と持続可能な社会インフラに関する戦略的な取り組みとして、さまざまなコンテンツの発信をスタート。自社製品の宣伝ではなく、より大きなテーマである「グリーン技術」や「持続可能インフラ」に関して、レポート、インタビュー、事例、動画などの掲載をはじめたのです。

その結果、10年の月日をかけて、同社のイメージは180度転換することになりました。現在では、「世界の環境リーダー」というパーセプションを獲得しています。

2つ目は、社員数80名のバネ会社である東海バネ工業株式会社。同社は自社製品のユーザーを紹介する「ばね探訪」などのサイトで、バネの基礎知識というマニアックな情報や、お客さまのプロジェクトストーリーを熱く語るコンテンツなどを発信しています。

知名度・認知度が低かったにも関わらず、こうした情報を発信し続けることで、同社にたどりつく人が増え、結果的に認知度が広がっていきました。5年間で年平均200件の新規顧客を獲得し、2016年には経済産業省の「ものづくり白書」に掲載されるまでになっています。

この2つの企業がブランディングにフル活用した手法こそが、コンテンツマーケティングです。発信型のWebサイトを使うことで、お客さまへの発信と、ビジネスのきっかけづくりを両立することができるのです。

ブランディングをBtoBビジネスに生かすには

お客さまがものを買うときに必要な3つの要素は、「ニーズ」「タイミング」そして「ロイヤリティ」です。特にBtoB商材の場合、ニーズがなければ、タイミングが合わなければ売れません。ニーズとタイミングの両方がそろってはじめて「売れる」可能性が生まれます。さらに「ロイヤリティ」が加わることにより、「売りやすく」なるのです。そのためブランディングによって、この「ロイヤリティ」を高めることが重要です。

では、どのようにロイヤリティを高めればよいのでしょうか? ブランド構築の柱となる要素は3つあります。1つは「Likability(好ましさ)」。買い手に好かれやすいかどうかを指します。これを獲得するには、「顧客ニーズの理解」「共感を示す」「フレンドリーさ」「正直さ」などが必要です。

2つ目は「Experitise(専門性)」。商品やサービスが高度に細分化した今、ブランドを構築するには何かに特化した専門性が不可欠なのです。

そして3つ目は「Distinctiveness(他社との明確な違い)」。他社製品と明確な違いがあることです。ニッチでも、「ここだけは負けない」という差別化要因を打ち出すことができれば、競争から抜け出す助けになります。

さらに、ロイヤリティを高めるために有効なもう1つの手法が「ソートリーダーシップ」。これは、業界の問題点を指摘したり、進むべき将来像を語ることで他社を教育し、影響を与え、結果としてビジネスにつなげていく取り組みです。

企業がこの「ソートリーダー」の地位を獲得すれば、おのずと消費者や顧客からの信頼が高まります。それによって、競合他社とスペックや価格だけで比較される存在とは、一線を画すことが可能になるのです。

情報発信で見込顧客を育成するオウンドメディア

ブランディングのキーワードである「Likability(好ましさ)」、「Experitise(専門性)」、「Distinctiveness(他社との明確な違い)」、そして「ソートリーダーシップ」。コンテンツマーケティングの手法によって、これらを網羅することができます。

オウンドメディアにさまざまなコンテンツを掲載することにより、ターゲットとする見込客が課題解決を探るとき、自社の製品やサービスを見つけられるようになります。そのコンテンツとの接触時に、閲覧履歴などを取得し、個々のニーズに合わせてカスタマイズしたコミュニケーションによって顧客を育成していくのです。

こうしたコンテンツマーケティングを成功させるためには、顧客の購買プロセスに寄り添ったコンテンツ設計が重要です。潜在層に対しては、認知度を上げるためのコンテンツを。情報収集をしている人には見込顧客を教育するため、購入先を比較検討中の人には、選択肢を評価してもらうための情報を。そして購入の準備段階にある人には、発注を決めてもらうための後押しとなるコンテンツを。

その際、大切なのは、コンテンツを発信するだけで完結してはいけないということです。いくら情報を発信しても、集客・参客・追客のしくみがなければ、見込顧客を顧客へと育成することはできません。サイトに来訪した人の個人情報を得る、メールで顧客化・リピート化をはかるなど、裏側のしくみをいかに構築できるかが成功の鍵となります。

オウンドメディア活用のポイントとは

オウンドメディアを企業ブランディングに活用するためには、コンテンツの制作者のみが取り組んでも意味がありません。マーケティング・コミュニケーションのみならず、インサイト/フィールドセールス、カスタマーサクセス、プロダクト、サービスデリバリーなど、社内の全領域が関わり、大きな1つのしくみを構築していかなければならないのです。そのためにも、360度全方向の顧客理解に基づき、全てのタッチポイントを最適化していく必要があります。

コンテンツマーケティングの実践は、簡単なことではありません。しかしオウンドメディア型のコンテンツマーケティングなら、自社ブランドを育みながら見込顧客を育成・獲得することができます。イノーバでは、オウンドメディアの立ち上げから仕組みづくり、運営までを支援するソリューションを提供しています。この手法によって、1社でも多くの企業さまのブランディングを、成功に導いていきたいと考えています。

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