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イノーバマーケティングチーム2024/03/08 11:26:192 min read

コンテンツマーケティングの業界別成功事例

コンテンツマーケティングは、B2BやB2C、業種や企業規模にかかわらず実践でき、幅広く有効です。もちろんそのアプローチはさまざまで、成功している企業は、それぞれのターゲットやマーケットに応じて工夫しています。

今回は、さまざまな業種における国内外のコンテンツマーケティングの事例を紹介します。成功事例には、たくさんの実行可能なヒントが潜んでいます。ぜひ、「どうすれば自社でもこのヒントを生かせるのか」「自社に置き換えるとどうだろうか」という視点で参考にしてみてください。

1. 製造業

東海バネ工業株式会社 ホームページ

東海バネ工業株式会社のサイトトップ画像

東海バネ工業株式会社

東海バネ工業は、バネやスプリングを製造する会社です。この会社のサイトには、バネに関するコンテンツを豊富に用意しています。

例えば、まだバネのことをよく知らないカスタマーに向けては、「ばね基礎知識」というコンテンツが公開されています。ここでは、膨大な基礎知識を読みやすいように、約40の項目に章立てして、解説しています。

充実した納入事例コンテンツがありつつも、「ばね探訪」というコンテンツが用意されていることが、同社サイトの特徴のひとつと言えます。「ばね探訪」では、同社の製品がカスタマーの現場でどのように活用されているのか、さながらルポルタージュのように紹介されています。

単に、自社の製品を紹介しているわけではなく、カスタマーの企業思想やビジョン、ストーリーを詳細に伝えています。同社とカスタマーの信頼関係が見えてくるコンテンツで、同社への依頼を初めて検討しているカスタマーに安心感を与えることもできるでしょう。

すでにバネに詳しいカスタマーに向けては、詳細な技術資料も公開されており、B2Bの全方位にコンテンツが用意されています。

このような充実したコンテンツは、中小企業が抱えるブランド力や認知の弱さをカバーし、新規顧客の獲得や未開拓の顧客層からの引き合いにもつながることでしょう。

ポイント

  • ニッチな分野に特化して特異的なメディアを確立
  • カスタマーのストーリーを伝えることで自社製品の信頼性をアピールにつながっている

株式会社キーエンス「バーコード講座」

株式会社キーエンス「バーコード講座」のサイトトップの画像

バーコード講座

センサー技術で広く知られる株式会社キーエンスによるサイトです。日本を代表する企業でありながら、B2Bのコンテンツマーケティングにていねいに取り組んでいる一例です。

このサイトでは、バーコード全般に関する規格や基礎情報、読み取りの仕組みといった技術情報、さらにはバーコードリーダの選び方まで解説されています。さまざまな種類や規格があるバーコードは、専門性が高く、2次元コードやバーコードリーダの導入に悩んでいるカスタマーは多いでしょう。あらゆるバーコードの情報を網羅したこのサイトを見れば、ユーザーは自身のニーズに合ったバーコードがどれなのか見つけることができます。

書籍並の情報量を誇るこのサイトコンテンツは、印刷して社内で保管および共有をしたいところ。そのためにコンテンツをPDFファイルでダウンロードできるように工夫されています。

その他にも、多数の技術資料やノウハウの詰まったコンテンツをEブック(PDFファイル)として公開していて、会員登録をすれば、無料でダウンロードすることができます。

顧客に自社製品に関連するナレッジを提供することは、製品理解を深めることにもなります。リードジェネレーション(見込み客創出)はもちろん、信頼度を高めることにつながる取り組みです。

ポイント

  • eBookコンテンツによるリードジェネレーション
  • 豊富なコンテンツで専門性のアピールにつなげる

シーメンス社(Siemens)「Siemens Global Weblogs」

Siemens Global Weblogsのサイトトップの画像

Siemens Global Weblogs

B2Bの製造業の企業のなかでも、コンテンツマーケティングの評価が世界的に高いのが、ドイツに本社を置くSiemens(シーメンス)社です。エネルギー産業や自動車産業、ヘルスケア産業向けの技術製品を開発しているグローバル企業です。

多角化された製品群のそれぞれの専門性が非常に高いため、ブログもジャンルごとに分かれています。

例えば、「The Energy Blog」では、「Managing a Complex Energy System: Digitalization is Key(複雑なエネルギーシステム管理では、デジタル化が鍵となる)」、「The Big Transformation: Switching to Low-Carbon Energy Systems(低炭素エネルギーシステムへの大転換)」といったテーマで記事が投稿されています。このように、時代をリードするハイテク産業として、日に日に複雑化していく電力供給の仕組みや、未来の社会のあり方、最新の開発情報などを頻繁にアップしています。

企業の規模によって、コンテンツマーケティングのアウトプットはまったく異なります。Siemensのケースは、マーケティングとしての要素よりも、社会に求められる情報を発信していくオピニオンリーダーとしての要素が強いと言えるでしょう。

ポイント

  • 最新技術に関するコラムでオピニオンリーダーとしての地位を確立する

2. 不動産業

住友不動産販売株式会社「映画と住まい」

住友不動産販売株式会社「映画と住まい」のサイトトップの画像

住友不動産販売株式会社 映画と住まい

住友不動産販売株式会社が公開している「映画と住まい」は、とてもユニークなコンテンツです。誰もが一度は観たことがある有名な映画を取り上げ、舞台となった住まいの環境や間取り、ライフスタイルを連載で紹介しています。

例えば、ニューヨークが舞台の映画『ユー・ガット・メール』の回では、あらすじを簡単に紹介し、主人公が暮らすクラシックで素敵なマンションを、不動産のプロならではの視点で、ストーリーと絡む舞台装置として解説しています。

そして、最後には、主人公が住むような大規模マンションのある街は……と、実際の物件紹介に結びつけています。映画の世界観やライフスタイルと物件情報をうまくつなげることによって、イメージ喚起されたユーザーが主体的に物件に興味を持つ、このようなインバウンドなフローを実現しているのです。

ちなみに、『ドラえもん のび太と雲の王国』を取り上げている回では、おなじみの野比家の間取りを推測・検証していて、ドラえもんファンは必読です。

ポイント

  • 誰もが知っている映画やアニメを引用して見込み客の関心をひく
  • ライフスタイルを想起させるコンテンツ戦略
  • 地域情報を発信し物件の魅力のアピールにつなげている
  • 子育て世代に訴求するコンテンツ

Halstead Property社「the halstead blog」

Halstead Property社「the halstead blog」のサイトトップの画像

the halstead blog

Halstead Property社は、ニューヨークの不動産会社です。同社のブログでは、ニューヨークのエリア情報やイベント情報をはじめ、物件を選ぶにあたってのノウハウなども公開されています。

例えば、「5 Ultimate NYC Observation Spots(ニューヨークにおける究極の展望5選)」という記事では、ニューヨークの街を一望できるビュースポットが紹介されています。あるいは、「Top 5 Paleo Restaurants in NYC Not to be Missed(見逃したくない、ニューヨークのパレオレストラン トップ5)」では、流行中のパレオダイエットに対応しているニューヨークのレストランの情報を掲載しています。

ニューヨークの街の魅力を伝え、流行やシーズンに対する感度の高い情報を頻繁にアップデートしていることで、ニューヨークという立地のブランディングや、ライフスタイルの訴求に成功しています。

このように直接的に物件を紹介しない記事が並ぶなか、「Eye Candy of the Day(今日の魅力的な物件)」という連載は異彩を放っています。デザイナーズハウスなど、キャッチーなビジュアルの物件を取り上げ、ひとつの物件を紹介しているこの連載。いわゆる間取りなどといった物件情報は掲載せずに、環境や眺望、物件の魅力的な特徴を述べていて、イメージを訴求するに留まっています。詳しい物件情報はリンクをクリックしないと見られません。これによって、セールスとしての物件紹介ではなく、「魅力的な物件を紹介する」というインテリアカタログのような位置づけのコンテンツとして仕上がっています。

ポイント

  • 物件の魅力を伝える高い品質のコンテンツ
  • 立地のブランディング

3. 士業

廣升健生税理士事務所 「升メディア」

廣升健生税理士事務所 「升メディア」のサイトトップの画像

升メディア

廣升健生税理士事務所のWebサイトです。同事務所は、主にフリーランスを対象に、クラウド会計ソフトを利用したサービスを展開している税理士事務所です。

自社サービスの紹介をしつつも、基本的にオウンドメディアというポジショニングで情報を発信しています。フリーランス向けのクラウド会計ソフトの活用方法や経理処理についての情報に力を入れており、経理処理で悩みを抱えているフリーランスとのエンゲージメントが見込まれます。

同事務所は、通常の地元企業との取引を重視した税理士事務所とは異なり、クラウドサービスの活用を主軸にしているため、ターゲットエリアは全国です。そのため、情報価値の高い当該クラウドサービスの取扱説明コンテンツや、会計税務のコンテンツによって、地域を問わず、潜在顧客を集めることができます。自社サービスのターゲティングとマーケティングアプローチがしっかりと合致していると言えます。

また、代表税理士自身が、コンテンツに多く露出し、セルフブランディングに取り組んでいます。動画やイラストといったリッチコンテンツを多用して、ユーザーフレンドリーなコンテンツづくりに努めていることも随所に感じられます。

ポイント

  • 情報価値の高い当該クラウドサービスの取扱説明コンテンツ
  • 代表税理士自身が、コンテンツに多く露出し、セルフブランディングに取り組んでいる

Crunch「Crunch blog」

Crunch「Crunch blog」のサイトトップの画像

Crunch blog

イギリス南部の会計事務所Crunchは、スタートアップ企業や中小企業などを対象にした会計ソフトの販売を行い、会計業務の支援をしています。

トップページでまず目は入る「You live life. We do the numbers.(あなたは自分の人生を歩んでください。数字のことは我々がやります。)」というメッセージが印象的なWebサイトです。

さて、肝心のブログでは、どのような工夫がされているのでしょうか。

まず優れている点は、そのカテゴリ設計です。

  • Freelancer Advice(フリーランス向けアドバイス)
  • Contractor Advice(独立業務請負人向けアドバイス)
  • Small Business Advice(中小企業向けアドバイス)
  • Startup Advice(スタートアップ企業向けアドバイス)

これらはそのまま同事務所のターゲットであり、潜在顧客に向けたコンテンツです。

例えば、中小企業向けアドバイスのカテゴリでは、「How do I pay back a student loan when I’m self-employed?(自営業者はどのように学生ローンを返済すればよいのか?)」といった記事や、「Can I claim for a Christmas party as a business expense?(クリスマスパーティは経費として計上できる?)」といったユニークでニッチな記事まで、幅広くアップされています。

ターゲットごとにメジャーな話題からニッチな悩みまで幅広く解決してくれるコンテンツが満載なので、ロングテール的に潜在顧客のニーズとのエンゲージが見込めるでしょう。

また、『Business expenses guide(経費ガイド)』をはじめとした無料ガイドブックをEブックとして公開しています。さまざまなノウハウを無料で公開し、潜在顧客のニーズ喚起を行い、自社サービスの付加価値を高めていくという一連の取り組みに成功しています。

ポイント

  • 優れたカテゴリ設計
  • メジャーな話題からニッチな悩みまで幅広く解決し、ロングテールキーワードをカバー

4. IT、ソフトウェア企業

株式会社マネーフォワード「Money Forward Bizpedia」

株式会社マネーフォワード「MFクラウド 公式ブログ」のサイトトップの画像

Money Forward Bizpedia

MFクラウドは、株式会社マネーフォワードが展開している会計・確定申告・請求書発行等のクラウドソフトウェアです。ターゲットは法人から個人まで、クラウドサービスなので、もちろんエリアは問いません。

公式ブログでは、会計や税務に関する情報が非常に充実しています。その一方で、会計とは直接関係のないビジネスハックについての記事も豊富なことが、このブログの特徴です。

例えば、ビジネスハックのカテゴリには「【2016年保存版】東京都内のコワーキングスペースエリア別まとめ」という記事があります。会計処理とは直接関係ありませんが、SOHOのフリーランスにとっては有益な情報です。このように潜在顧客のニーズを広く汲み取った記事展開をすることで、潜在顧客とのタッチポイントを増やしています。

また、中小企業向けの記事も多く目に留まります。例えば、「中小企業の倒産理由とは?万一の備えを万全に」という記事。これは経理担当者向けではなく、経営者向けの記事です。このように、小規模ビジネスの経営者もターゲットに含んでおり、自社製品のニーズがどこにあるのか、誰がターゲットなのか、正確に見極めていることがうかがえます。

ターゲットのペルソナを深掘りすること、あるいはカスタマージャーニーをきちんと行うことの意義が見えてくるブログではないでしょうか。

ポイント

  • 明確なターゲティング
  • ターゲットに役立つ情報発信で効果的に集客

salesforce.com「Customer Success ブログ」

salesforce.com「Customer Success ブログ」のサイトトップの画像

salesforce.com Customer Success ブログ

Salesforceは、クラウド型のビジネスアプリケーション群を展開する企業です。クラウドCRM(顧客関係管理)ソフトウェア会社としては世界最大を誇り、米国に本社があります。

公式ブログである「Customer Success ブログ」では、ITトレンドやイノベーションについての情報をはじめ、マーケティングや営業戦略についても取り上げています。これまで取り上げてきた他社のブログとは少し異なり、自社の製品をソリューションとして明確に提示している記事が非常に多いことが特徴です。

例えば、「中途採用人材の即戦力化 会社側に必要な心得とは」という記事は、中途採用者にまつわるデータやケーススタディを交えて、いかに即戦力化するかといった内容です。ケーススタディでは、自社製品を導入した企業において、それがどのように中途採用者を支援できたかを紹介しています。

また、無料のEブックも数多く用意されています。多いことは良いことですが、検索性が悪いと、ユーザーは目的のコンテンツにたどり着けない場合があります。しかし、同ブログでは、サイドバーから興味のあるカテゴリを選び、数あるEブックの中からニーズにあったものをページ遷移不要で選べるようになっており、秀逸なUXを実現しています。

ポイント

  • ケーススタディに注力
  • 幅広い話題を扱いつつ、自社の製品をソリューションとして明確に提示

まとめ

いかがでしたでしょうか。

さまざまな企業が、それぞれの業態や業種にあったコンテンツマーケティングを実践しています。いずれの事例にも共通しているのは、顧客にとって価値のあるもの発信するというコンテンツマーケティングの基本でした。

あなたの会社では、どのようなコンテンツを発信するのがよいのでしょうか。このブログでもさまざまなノウハウを公開していますので、ぜひコンテンツマーケティングを始めてみましょう。

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