日本のマーケティングに抜け落ちている3つのポイント

経営・ビジネスハック

日本で「マーケティング」と呼ばれているものと、マーケティング理論発祥の米国でのマーケティングの間には、大きな隔たりがあります。ここでは、日本の企業にありがちなマーケティングへの誤解とそれがもたらすリスク、さらにマーケティングの本当の意義について考えてみましょう。

日本のマーケティングに抜け落ちている3つのポイントとは?

日本の企業で行われるマーケティングで、抜け落ちてしまいがちなポイントが3つあります。

1. ニーズはあるか

その製品は、本当にターゲットが求めているものか。製品を作る前にリサーチや議論を重ねて開発されたか。

2. ターゲットは絞り込まれているか

ターゲットと呼んでいる消費者グループは、市場を細分化し、自社製品のコンセプトにあった層に絞り込まれたグループか。

3. ターゲットのニーズと製品はマッチしているか

売り出すターゲットグループと自社製品のビジョンはマッチしているか。競合他社に負けないポジショニングを見定めて資金投下されてきたか。

もし、この3つのプロセスを踏んでいないのであれば、そのマーケティングはターゲットであろうと思われる大まかなグループに、よくある販促の打ち手を試してみているだけの戦略です。

プロダクト先行だから「押し売り」になる

日本のマーケティング部門では、製品の開発段階におけるマーケティング戦略よりも、すでに作った製品を、消費者に売るためのプロセスや手法に重きを置いている傾向があります。特に、流通に関するマーケティング戦略の比重は大きく、力が注がれてきました。

既存の製品をどのようにターゲットに魅力的な製品にみせるかは、マーケティングの重要な役割ではありますが、このプロダクト先行型のマーケティング戦略では、結果として消費者に自社のエゴを押し付ける「ハード・セリング(押し売り)」に陥る危険もあります。

ここには、ものづくり大国日本の歴史において、プロダクトありきのマーケティング戦略が未だ脈々と受け継がれています。
その結果、マーケティング部門の意志決定権は弱く、部門の存在意義を十分に認識されず、マーケティング戦略をおろそかにすることへの危機感が低い傾向にあります。

マーケティングを軽視するとビジネスの成長が止まる

日本の多くの企業はバブル崩壊後の危機的状況の際に、マーケティング施策の練り直しに立ち戻るよりも、短期的成果の見込めるコスト削減に走りました。

コスト削減は、新しいものを生み出す可能性を搾取します。マーケティング戦略の根本であるSTP分析が浸透していなかった日本では、そのしわ寄せが今の企業の伸び悩みという点であらわになりだしています。

「価値の創出」こそがマーケティングの意義

マーケティングの成功事例に頻出する米アップル社ですが、実はスティーブ・ジョブズはマーケティングという言葉を嫌っていました

アップルのコンピューターが開発されはじめた1970年代は、製品主導型のマーケティングが米国においても主流でした。ものは作れば作るほど売れるもので、経済が好調であったことがその理由です。しかし、スティーブ・ジョブズはこの企業から消費者への一方向の流れに違和感をもっていました。これでは、消費者に製品を押し売りしているのと一緒である、と。

マーケティング本来の意義は、「お客さまにとっての製品の価値を創出すること」です。お客さまに製品の価値を感じてもらうためには、製品の特徴を伝えるだけでは伝わりません。ターゲティングした層がどんな悩みや欲求をもっているかを知り、それを解決したり満たしたりすることが価値の創出です。そして、その期待値を上回る製品やサービスを提供することを実践したアップルは大成功をおさめました。

ターゲティングが曖昧だと、ターゲットが本当に求めているものを知ることできません。コカ・コーラのようなマス・マーケティングが予算的にも可能な大企業は別ですが、多くの企業はそうではないでしょう。ターゲティングの設定や見直しは、マーケティングにおいては重要なプロセスです。

本質的なマーケティングを実践できる企業だけが生き残る

ある時期までは、従来のプロダクト先行型マーケティングは大きな問題になってきませんでした。ものは作れば作るほど売れたからです。しかし、現代の消費者は、価格優位性だけでは製品を購入しなくなっています
製品を比較・検討し、自分にとって価値の高い、利益を享受できる製品やサービスを求めるようになっているのです。

作ったら売れるという時代は終わり、マーケティングの役割は「製品中心」から「顧客中心」「価値主導」の考え方に変化しました。

顧客目線で顧客にとっての価値を創出する本質的なマーケティングを実践できる企業だけが生き残る時代になるでしょう。