モバイル検索がより高速に/Google AMP本格始動!

デジタルマーケティング
日本時間の2016年2月25日、Googleのモバイル検索の結果ページにちょっとした――しかし非常に大きな――変化が起こりました。Googleが関係各社と共同してきたGoogle AMPプロジェクトが、いよいよ本格的に動き始めたのです。
この記事では今注目のGoogle AMPについて、マーケターとしてぜひ知っておきたい事柄をご紹介します。
Googleモバイル検索ページが変化した!
Googleにとって何より重要なミッションは、利用者が安全かつスピーディーに情報にアクセスできる環境を提供することです。このミッションの達成のために、Googleは様々な取り組みを進めています。
そして、去る2016年2月25日に、そんなGoogleのモバイル検索に新たな機能が加わりました。スマホをお手元にお持ちの方は、Googleにアクセスして検索窓に現在ニュースで話題になっているキーワード――たとえば2016年3月3日時点では「大統領」が話題です――を入力し、検索ボタンをクリックしてみてください。検索結果ページのトップニュース下にカルーセルパネル※が表示され、サムネイル画像と記事タイトルが横一列に表示されますね。
ここで、カルーセルパネルに表示された記事のタイトルをクリックしてみましょう。瞬時にページの内容が表示され、表示されたページ上で左右にスワイプすると、カルーセルパネルで前後に表示されていたページへとスムーズに移動することができます。
※カルーセルパネル:画像などのコンテンツをスムーズに横にスライドさせるためのWebデザインの一種。通常、横長の長方形エリアに要素が横並びに表示され、スワイプやボタンクリックなどで表示を切り替えることができる。
Google AMPとは
カルーセルパネル内に表示されているのは、「AMP」に対応したウェブページです。
AMPとはAccelerated Mobile Pagesの頭文字を取ったもので、Google AMPは2015年10月にGoogleがモバイルインターネットの高速化を目的として発足させたOSSのプロジェクトの名称です。立ち上げの時点で、Twitter、Pinterest、Adobe Systemsや、BBC、Wall Street Journal、New York Times、Conde Nast、朝日新聞、毎日新聞、産経デジタル、BuzzFeedといった大手メディアが多数参加し、モバイルインターネット体験の向上を目指して対応を進めてきました。
Google AMPはプロジェクトの名前であると同時に、AMP対応ページを作成するためのフレームワークの名前でもあります。フレームワークとしてのGoogle AMPは「AMP HTML」「AMP JS」「Google AMPキャッシュ」の3つの要素から成り立ち、モバイルページを高速表示するためのさまざまな機能を提供しています。
Google AMPフレームワークに含まれるAMP HTMLは、既存のHTML/CSS/JavaScriptにいくつかの制限・拡張を加えたものです。このAMP HTMLの仕様に沿ってコードを記述することで、AMP対応のWebページを作成できます。残りの二つ、AMP JSとGoogle AMPキャッシュはAMP対応ページを高速に表示するための裏側の仕組みを担当するもので、通常、Webサイト作成者がこれらについてとくに意識する必要はありません。
Google AMPに対応するための2つの方法
WebページをGoogle AMPに対応させるには、前述のAMP HTMLに準拠する形でWebページのコードを記述する必要がありますが、そのための具体的な対応方法は、Webサイトの運用形態によって大きく二つに分けられます。
まず、WordPressなどのCMSを使ってサイトを構築している場合は、CMSが提供するAMP対応プラグインを導入することで、半自動的にAMP対応を行える可能性があります。お使いのCMSがAPM対応プラグインを提供しているかどうかをチェックしてみましょう。ちなみに、WordPressのAMP対応プラグインは下記から入手することができます。
WordPress AMPプラグイン?| WORDPRESS.ORG
プラグインに頼らず自分で個別にAMP対応のページを作成する場合は通常のWebページと同じようにエディタなどを利用してページを制作することになりますが、この際、標準のHTMLではなく、前述のAMP HTMLの仕様に沿ってコードを記述する必要があります。
AMP HTMLによるAMP対応Webページ作成の手順は、下記の資料/ページに分かりやすく紹介されていますので、制作に携わる方は目を通しておくことをおすすめします。
AMP導入ガイド日本語版PDF AMPプロジェクト公式ページ
Google AMP対応はランキングに影響を与えるか?
ところで、サイト運営者にとっての重大な関心事は、やはり「AMP対応の有無が検索結果ページの表示順位に影響を与えるのか?」という点でしょう。これに対して米Googleのジョン・ミューラー氏は、2016年2月26日に開催されたオンラインQ&Aにおいて、「現時点ではAMP対応の有無をランキングシグナルとしては使っていない」と明確に回答しています。
Webmaster Central office-hours hangout(動画)| YouTube
つまり、現時点ではAMPへの準拠がそのまま上位表示に繋がるわけではない、というのがGoogleの正式な見解です。
とはいえ、AMP対応を行うことでモバイルページはより「軽く」なり、スピーディーで快適な検索・閲覧体験をモバイルユーザに提供できるようになります。モバイルページの「重さ」に辟易しているユーザの満足度を向上させられるのは、大きなメリットだといえるでしょう。
また、Googleは今回のAMP対応ページの表示開始について、次のように述べています。
「Google 検索結果での AMP 対応ウェブページの表示開始は、本プロジェクトにおいて、まだ一歩にすぎません。モバイルインターネットを高速に、もっと快適にするために、業界を超え、さまざまなパートナーと協力していきます。」
モバイルウェブをもっと速く | Google Japan Blog
今後、Googleはモバイル検索結果ページにおいて、ニュース記事だけでなくさまざまなジャンルの記事が高速表示に対応していく可能性があります。加えて、TwitterなどのサイトでもAMP対応が進められていることを考えると、AMP対応はウェブサイト運営にとって外すことのできない重要な要素となっていくことが予想されます。
これは今回のAMP対応に限ったことではありませんが、Googleは常に「検索ユーザに最上の検索体験を提供する」ということを念頭において動いています。Webサイト運営者に求められるのは、「Googleがどう対応するか?」ではなく「Googleの先にいる検索ユーザのメリット」を常に意識し、Webサイトをより良いかたちに改善していく姿勢なのかもしれません。
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