「集客したいけれど、広告はちょっと……」海外法律事務所に学ぶ5つのマーケティング術

インバウンドマーケティング

弁護士や司法書士、税理士などの士業を営む場合、独立後にクライアントを獲得できるかどうかは死活問題です。クライアントとの信頼関係で成り立つ仕事ゆえ、紹介や口コミで顧客を増やしていくことが理想でしょうが、独立したての頃は実績も少なく、苦労することもあるかと思います。

テレビや雑誌に顔を出したり、広告を打ったりする顧客獲得方法もあります。しかし、こうした方法によって「ガツガツしていてクライアントの心象を悪くしてしまうのでは」という懸念を抱く方も多いでしょう。

「新規顧客を開拓したいけれど、大々的な広告は打ちたくない」

今回はそんなジレンマを解決すべく、あるアメリカの法律事務所のホームページからコンテンツマーケティングのヒントを探ります。

マーケティングに余念のないJackson & Wilson

Jon Mitchell JacksonとLisa M. Wilsonは、1986年にJackson&Wilsonを開業したベテラン弁護士です。彼らは人身事故と不慮の死亡事故を専門分野として、カリフォルニア州オレンジ郡にて30年近く活躍してきました。

堅実に業績を積み重ねた結果として数々の受賞歴を持つ二人は、さまざまな弁護士口コミサイトにおいても高い評価を獲得しています。それでもなお、彼らはマーケティングを重視し、既存のクライアントとの関係維持や新規顧客の開拓を意識した情報発信に力を入れています。なぜでしょうか。

カリフォルニア州は法律事務所の激戦区

昨今のアメリカでは、日本以上に弁護士の供給過多が問題視されています。American Bar Association(アメリカ法曹協会)によると、全米における弁護士の数は2015年に130万人を突破しました。

ちなみに日本における同年の弁護士数は3万6千人。両国の人口はアメリカが日本の約2.5倍であるのに対し、両国の弁護士数はアメリカが日本の約36倍であることから、アメリカの弁護士数の多さは特筆すべきものです。

さらにアメリカの弁護士数を州別に分析すると、最も弁護士が多い州はニューヨーク州で約17万人。2番目に多い州はカリフォルニア州で約16万人。国内の弁護士の25%以上がこの2州に集中していることになります。

試しに「オレンジ郡」「人身事故」というキーワードを弁護士検索サイトに入力すると、なんと1000人以上もの弁護士たちがヒットしました。「無料相談あり」という条件を付けて再検索しても、該当する弁護士の数は200人近くに上ります。

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アメリカの弁護士たちがマーケティングを重要視する理由はここにあります。弁護士の数が年々増加する中、ベテラン弁護士ですら、競合する弁護士にクライアントを奪われかねないという状況下に置かれているのです。

インターネット上の情報が第一印象を決める

「弁護士や法律関連の相談を求めている人の75%以上が最初に起こす行動はウェブ検索である」という統計が示すように、ホームページは法律事務所の顔であり、宣伝の役割をも果たします。自身のブログで日々情報を発信している弁護士も珍しくありません。

しかし、周りの流れに乗って闇雲にホームページを開設したりブログを更新したりするだけでは、せっかくの情報も星の数ほどあるその他の情報に埋もれてしまいます。

では、インターネット上でどんな工夫をすれば、クライアントとの関係を築き、集客効果を得ることができるのでしょうか。Jackson & Wilsonを事例として5つの戦略を見ていきましょう。

1. 顧客目線のトップ画面

スーツに身を包んだ弁護士たち、整然としたオフィスなどの写真をホームページのトップ画面に掲げている法律事務所が多い中、Jackson & Wilsonのホームページはユニークです。

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“Ever Feel This Way?” (こんなふうに感じたことはありませんか)という質問とともに映し出される画像は、不穏な天候の中、一本の綱の上に立っているビジネスマン。その真下の海ではサメが泳いでいます。まさに絶体絶命という状況ですが、ここには「我々はあなたの味方です」というメッセージが込められています。

仮にこのトップ画面が、「我々はこんなに受賞歴がある法律事務所です」というJackson & Wilsonの宣伝だとしたらどうでしょう。受賞歴の数はJackson & Wilsonの強みではありますが、それをホームページの入り口に置いてしまうと敷居の高い印象を与えるかもしれません。

Jackson & Wilsonはトップ画面で親しみやすさを演出した後、「一般情報や回答集」「今すぐ助けを求む!」などの個別のアイコンを用意し、ホームページを訪れた人のニーズに応えようという姿勢を見せています。

2. ブログによる潜在顧客の発掘

今や、企業の経営者などのビジネスパーソンがブログを書き、ユーザーへ情報を発信することは珍しくありません。しかし、弁護士がブログを書く場合、業務の専門性ゆえにとっつきにくい内容になってしまいがちです。

Jackson & Wilsonのホームページ内にあるブログは一般人が興味を示しそうなトピックを次々に掲載しています。

その一つが、話題のニュースをテーマとした内容。例えばこちらの記事は、先月末、暴風雪がアメリカ東海岸を襲った日の投稿です。「暴風雪による物品損害が生じた後、あなたの権利を守る方法」というタイトルの記事はタイムリーな話題なだけに、今すぐ物品損害で訴訟を起こしたいという人以外にも関心を持ってもらえる可能性があります。

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また、弁護士を必要とする人全般に役立つ情報も人気です。「最高の弁護士を見つけるための3つの有効な方法」「我々がクライアントに提供できる100以上のこと」などの投稿は、掲載から時間が経った後も繰り返し閲覧されています。

以上のようなブログ記事は、その記事を読んだ人が将来的に弁護士を必要とした際にJackson & Wilsonのクライアントになる可能性を生み出しています。こうした潜在顧客をターゲットとした内容のブログは、集客の役割を果たしているのです。

3. 見込み顧客との距離を縮めるQ&Aと事例集

Jackson & Wilsonのブログが将来的に弁護士を必要とする可能性のある潜在顧客に向けて書かれているのに対し、同社ホームページ内にあるQ&Aは現在弁護士を必要としている見込み顧客を対象に用意されています。

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「誰がカリフォルニア州における不慮の死亡事故の訴訟を提起できるか」「カリフォルニア州における不慮の死亡事故を主張する場合に時間制限はあるのか」などの、差し迫って訴訟を起こしたい人が抱える質問と、それに対する回答が提示されています。より専門的な内容に踏み込むため、文章での説明に加えて動画も用意されています。

一連のQ&Aの後にはJackson & Wilsonが実際に手がけた訴訟が事例集として掲載されています。法律事務所に電話やメールで相談するのは敷居が高いもの。しかし、問い合わせの多い情報をホームページ上にまとめておくことで、彼らは見込み顧客との距離を縮め、結果として見込み顧客からの問い合わせを増やすことができます。

4. 信頼関係の維持のためのニュースレター

ブログやQ&A、事例集を読んで「この法律事務所は信頼できそうだな」「実際に相談したいな」とJackson & Wilsonに興味を示した見込み顧客は、彼らが配信するニュースレターを希望することができます。Jackson & Wilsonは週に1度、見込み顧客宛に最新情報を発信することで、一度築いた顧客との信頼関係を続けていきます。

5. デジタル環境の最大活用

Jackson & Wilsonは以上のような方法で、将来クライアントになりそうな人々に対し、それぞれの状況に合った情報を発信して集客をおこなっています。

そして特筆すべき点は、ホームページ上で発信した情報を、さらに拡散させる工夫を凝らしていることです。例えば、ブログを読んだ人が記事を気に入った場合、TwitterやFacebookを始めとするさまざまな手段で情報をシェアすることができる設定になっています。

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また、こうしたシステムは情報拡散を可能にするだけでなく、ブログを訪れた人がどの記事に関心を持っているかを知る、言わばマーケティングの材料にもなります。

情報発信を通じて誰よりも先に指名してもらう

Jackson & Wilsonのように有益な情報を発信しながら既存顧客との関係を強化し、さらには新規顧客をも獲得できるWebサイト構築は、広告に嫌いのある士業の方々にとって一つの有効な戦略となるのではないでしょうか。

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参考: