雪だ!チャンスだ!100年に一度の大雪にも負けないアメリカ企業のPR施策

デジタルマーケティング

こんにちは。ニューヨーク在住ライターの廣田恵です。

先月は世界各地で大寒波が到来したようですが、こちらアメリカ北東部も1月末に大規模な暴風雪に見舞われました。約100年ぶりの規模と報道された今回の暴風雪により、ニューヨーク州を含む11の州で非常事態宣言が発令され、地域の住民は屋内待機を強いられました。

あるレポートによると、今回の暴風雪をめぐり ”East Coast blizzard” (東海岸の暴風雪)、”blizzard”(暴風雪)、”NYC blizzard”(ニューヨークの暴風雪)などの単語がインターネットの検索ワード上位に挙がったそうです。また、わずか2日のうちに暴風雪関連のツイートが12万4000件に上ったことも報告されています。まさにデジタル社会を象徴する統計ですね。

さて、人々の関心が暴風雪に向けられたなか、企業がさまざまな形で暴風雪と関連した情報を発信し、ユーザーに好意的に受け入れられている様子を目にしました。今回はその事例をご紹介したいと思います。

暴風雪への対策はできていますか?〜関連商品の宣伝〜

「備えあれば憂いなし」という諺の通り、暴風雪が到来する前に必要なものを揃えようとするのが人の心理。私も暴風雪の前夜に近所のスーパーへ駆け込みましたが、お店の混み具合は想像を絶するものでした。

そのようななか、多くの企業が行ったのが暴風雪に関連する商品の宣伝です。

こちらはドイツのリキュール銘柄Jagermeister(イエーガーマイスター)が投稿したTweetです。「大きな嵐がやってくるから、イエーガーマイスターを手に入れてみんなで家に引きこもろう」というメッセージとともに、暴風雪をイメージした写真を掲載しました。雪の日の過ごし方を提案した投稿は、リツイートを通して多くのTwitterユーザーによって拡散されています。

https://twitter.com/jagermeisterusa

また、暴風雪と関連付けたキャンペーンを展開する企業も見られました。婦人用ファッションブランドのLoft(ロフト)は、暴風雪エリアに住む既存顧客宛てにこんなメールを配信しました。

「雪に備えてセーターを1着買うと、もう1着は半額!」

こうしたキャンペーンは「この企業は豪雪エリアに住む自分のことを気にかけてくれている」という気持ちを生み出し、顧客の購買意欲をかきたてます。

お店に来られないあなたへ〜送料無料キャンペーン〜

子供服の専門店Carter's(カーターズ)からは、暴風雪が襲った当日、絵本の挿絵のような吹雪のイラスト付きメールが届きました。イラストの上には、こんなメッセージが書いてありました。

“Let it snow! FREE SHIPPING”(雪よ降れ!送料無料)

「非常事態宣言が出ているし、外には出られない」という声に耳を傾けてくれたかのようなキャンペーン。雪と関連付けた商品を提案する以外にも、こんな形で顧客の気持ちに寄り添うことができるという一例です。

ただいま営業中です〜開店状況のリアルタイム更新〜

ニューヨークを中心に店舗を拡大しているスーパーのFairway Market(フェアウェイマーケット)は、暴風雪が到来した日に30回以上もTwitterを更新しました。いくつかの店舗が通常より早い時間の閉店を強いられるなか、スーパーの激戦区となるエリアの店舗は状況に応じながら営業を続けているため、Twitterが掲示板のような役割を果たしたのです。

またフェアウェイマーケットは自らの発信だけでなく、顧客からの個別の問い合わせに対してもTwitter上で瞬時に応じ、お店と顧客の双方がリアルタイムでコミュニケーションを取れる環境を提供しました。

201602-pr-in-blizzard_2.png

https://twitter.com/fairwaymarket

ニューヨークにある老舗の書店ストランドも、暴風雪の当日にお店が営業中であることをTwitterで発信しました。地下鉄の運行状況に言及しているところに、顧客への配慮を感じます。

201602-pr-in-blizzard_3.png

https://twitter.com/strandbookstore

貴重な映像をお届けします〜認知度アップのチャンス〜

ワシントンDCにあるスミソニアン国立動物園は、今回の暴風雪の間、臨時休業を余儀なくされました。しかし、彼らはそんな逆境にも負けず、たちまち世界中から注目を浴びることに成功しました。それは、ある動画をTwitter上で投稿したからです。

 

https://twitter.com/nationalzoo 

雪の上を楽しそうに転がるパンダを撮影したこの動画は、この季節にしか見ることのできない貴重な映像。これを瞬時に世界へ向けて発信することで、スミソニアン国立動物園はTwitter上で通常の24倍もの訪問客を獲得しました。この動画は暴風雪が襲った週末に最もシェアされた動画のひとつとなり、2月15日時点でおよそ19万回拡散されています。
(Facebookでも動画は公開されており、同時点で6000万以上のPVと200万近いシェアを記録しています。) 

タイムリーな情報を発信し続けよう

デジタル環境のおかげで、企業はユーザーが必要とする情報を瞬時に発信することができるようになりました。こうした企業とユーザーのコミュニケーションは短期的な売り上げにだけでなく、顧客との長期的な関係構築にもつながります。

今回は暴風雪をきっかけとしたマーケティング事例に特化しましたが、ユーザーの心理に寄り添ってタイムリーな情報を発信し続けることは、デジタル社会のマーケティングにおいて欠かせない要素となるでしょう。

参考:

➢     East Coast buried in snow; NYC travel comes to halt|CNN

➢     People can't stop searching for the 'East Coast blizzard' online-and other stats|Digiday

➢     Walmart, Home Depot missed mobile opportunities during recent blizzard|Mobile Marketer