人気アニメが皮肉に描いたネイティブ広告。ユーザーの反応とは?

デジタルマーケティング

インターネットがあれば情報が簡単に手に入る今、ユーザーにとって有益な情報を提供することにより、ユーザーに自社の商品やサービスに興味を持ってもらおうという企業が増えています。その手段のひとつとして注目を浴びている「ネイティブ広告」は、ユーザーと企業のコミュニケーションを活性化させるツールとして日々進化しています。(詳細はこちらの記事「Outbrain社が選ぶ2015年のネイティブ広告ベスト5!評価されているポイントは?」をご覧ください。)

ユーザーと企業の双方にメリットをもたらすことを目的として生まれたネイティブ広告。しかし、現実にはネイティブ広告をはじめとするインターネット広告に不信感や嫌悪感を抱いている ユーザーが多いのも事実です。

アメリカの人気アニメ『サウスパーク』(South Park)をご存知でしょうか。アメリカ社会を風刺するこのアニメ、今シーズン(2015年9月16日〜12月9日)はネイティブ広告を含むインターネット広告全般を取り上げ、ユーザーの心理を痛快に描いています 。

現代人の怒りを代弁する『サウスパーク』

『サウスパーク』は1997年に放送が開始されたアニメで、今年で19回目のシーズンを迎えました。登場人物は小学生たちであるにも関わらず、内容はブラックユーモアに満ちているため、大人を中心に親しまれています。

タブー視されがちな人種、政治、宗教などの問題を赤裸々に描く『サウスパーク』は、スポーツ番組を除くケーブルテレビ史上最高視聴率を記録するほどの大ブームを巻き起こしました。今シーズンは昨今のアメリカ社会で特に緊張の高まる移民政策や銃規制を扱っています。

このように現代人が抱えている社会に対するストレスや怒りを痛快に描き続ける姿勢については、アメリカのジャーナリズムを代表するニューヨークタイムズ紙も高く評価しているほどです。

では、『サウスパーク』はインターネット広告をどのように描いているのでしょうか。さっそく象徴的な3つのシーンを見ていきましょう。

シーン1「インターネット広告にはもううんざり!」

201601-southpark-satirized-nativeads_2.pnghttps://www.youtube.com/watch?v=IVfslRsNXUc

ある日、学校新聞の編集長を務めている小学生のジミーは、校長室に呼び出されます。ジミーの書く記事に不満を抱いた校長先生が、今後は学校新聞の発行前に検閲を行うと言うのです。ジミーはこれに抵抗して、学校新聞を各家庭に配りはじめます。その新聞を受け取った父兄の一人は、ある事実に気づいて感動します。「この新聞には、広告も、スポンサード・コンテンツも、クリックを促すリンクもないぞ!」

その父兄は普段、インターネットでニュースを読んでいます。しかし、気になるニュースをウェブ検索するにも関わらず、画面にはどういうわけかまったく関係のない保険会社の広告が表示され、それを読ませられている自分に気付くと言います。そして、その広告を閉じようとしてボタンをクリックすると、別のスライドショーが現れ、芸能人の整形手術に関するゴシップ記事を読む羽目になっているのです。さらにボタンをクリックすると、今度は美顔用クリームの広告が出てきて……と、いたちごっこは永遠に続きます 。

"And I just want to know what's happening in the Middle East, but instead I'm looking at the 'Top 10 scariest movies of all time'!"

「中東で何が起きているかを知りたいだけなのに、気がついたら「史上最高のホラー映画トップ10」を読んでいるんだよ!」

シーン2「広告はどんどん進化する」

数日後、ジミーのもとにスーツに身を包んだ保険会社の代表が訪ねてきます。「学校新聞に自社を宣伝する記事を書いてほしい」というのが彼の依頼。彼はさらに報酬として法外な大金を用意することを約束します。

ジミーが戸惑いを見せると、彼は「みんなやっていることだよ」と畳み掛けます。インターネット広告にうんざりしたユーザーたちが広告をブロックしはじめたため、それに対抗して企業は様々な手法で宣伝することを考えているというのです。

"The more we try to shut them out, the more clever they get."

「広告をブロックしようとすればするほど、広告の方もさらに賢くなるのさ」

シーン2「広告がニュースに化けはじめた!」

その後もジミーのもとにビジネスマンたちが押しかけます。彼らが言うには、一般人の中でニュースと広告を見分ける能力を持つ人が珍しくなってきているとか。ジミーにはどうやらまだその能力があるようです。

ジミーは学校新聞に感動していた父兄の一人や、保健会社の代表のことを思い出し、ニュースと広告が混同されるようになった経緯について考察します。インターネット広告にうんざりした人々は、広告から解放されるために工夫を凝らし、ついに広告をブロックする仕組みを発明したけれども、広告の方もどんどん進化して……。

"They had to disguise themselves as news in order to survive."

「広告は淘汰されないように、ニュースに化けなければならなかったんだ」

視聴者の反応は?

さて、『サウスパーク』のインターネット広告に関するこのエピソードは視聴者の目にどのように映ったのでしょうか。放送直後のTwitterの反応を見てみましょう 。

「このエピソードが一体どこへ向かっているのか見当もつかないけれど、とにかくすごい。デジタルジャーナリズムや広告などについて議論を戦わせていて、次のエピソードが待ち遠しいよ」

「いま放送しているサウスパークはなかなかいいね。インターネット広告が人間よりも賢くなってきていることを皮肉っている」

「広告に関するこのエピソードはお気に入り!まったくもって、広告のせいでニュース記事を読むのは一苦労だよ」

他にも、「あのお父さんの気持ち 、わかるわー!」「広告からは逃げられない!」「『サウスパーク』がネイティブ広告について議論してる!」など、全体としてこのエピソードに共感を表す意見や、トピック自体に高い関心を示す意見が多く見られます。

ユーザーは敏感だ

ネイティブ広告を配信する際、広告の体裁ばかりに注意が向けられた結果、企業はこのようなユーザー側の心理をつい忘れてしまいがちです。

もっとも、『サウスパーク』はインターネット広告自体を批判しているわけではないと思います。視聴者の関心が高いテーマであることからも、やり方によってはユーザーと企業をつなぐツールとしての役割を存分に果たせると思います。『サウスパーク』の目論見は、このような議論を通してインターネット広告全体の質をあげようということではないでしょうか。

イノーバでは、ネイティブ広告で獲得したユーザーに対してメルマガやセミナーでのフォローアップを行い、マーケティング戦略としてROIを満たす施策に取り組んでいます。詳細につきましてはお問い合わせください。

参考:

How ‘South Park’ Perfectly Captures Our Era of Outrage/The New York Times

South Park Hysterically Satirized Ad Blocking and Sponsored Content/ADWEEK

The latest episode of 'South Park' was about ad blocking and hard-to-distinguish native ads/Business Insider India

‘South Park’ Finale Embraces the Healing Power of Guns/The Daily Beast

https://www.youtube.com/watch?v=3YRq7mP3hsU

https://www.youtube.com/watch?v=IVfslRsNXUc

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