「数字」と「事例」を用意する。Web担当者の「上司マネジメント」のコツ

デジタルマーケティング

こんにちは、イノーバ代表の宗像です。

イノーバがおこなったBtoB企業マーケティング活動実態調査レポート(中小・中堅)によると、およそ2割のマーケティング担当者は、「上司の理解/サポートが足りていない」と感じているようです。とくに日本の企業では、マーケティングに詳しい人が少なく、マーケターやマーケティング部は孤立しがち……。しかし、上司からのサポートを受けられなければ、企業としてのマーケティングは成功しません。そこで必要となるのが「上司マネジメント」という考え方です。

なぜWEBマーケティング担当者には上司マネジメントが必要か

「上司マネジメント」とは、上司とのコミュニケーションを円滑にし、サポートしてもらうための関係性を構築する手法です。マーケターが成果を上げるには、上司のサポートもさることながら、予算をとってこなければいけません。

ただ、とくにデジタル・マーケティングに関しては、専門性が高く、知らない人からすると「よくわからない」ということが起こりやすい。しかし、モノを売るという意味においては、みんなが意見を出し合う必要性もある。

たとえば、ある外資系のベンチャーの例で言うと、営業や技術開発などのファンクションについては専門部署が独立して決定・実行しているけれど、マーケティングの施策になると、いろいろな部署がミーティングに入ってくるし、意見も言ってきます。

ただし、みんながマーケティングに精通しているかというと、そうではない。「オレはこう思う」みたいな、感覚論や経験論が横行しやすいのです。がっかりするようなケースも少なくありません。

ある輸入業者のEC販売部門では、もともと店舗で接客していたという経緯もあり、「ECサイトにおける転換率とはどういう意味だ?」と言われ「買った人の割合です」と答えると、「たった3パーセントなのか。残りの97人はどうしているんだ!」と言われたそうです。

また、Webサイトのリニューアルにおいても、現場レベルで意見を集約し、コンセプトやワイヤーフレームを出したら、社長の「いや、オレの趣味に合わない」という一言で、完全に白紙になってしまうこともあるようです。

たとえ強い想いを持って仕事をしていても、仕事がスムーズにいかないと、フラストレーションがたまります。すると、Web担当者はモチベーションもわかず、結局は「会社がわかってくれない」「上司がわかってくれない」という不満がつのり、成果につながりにくくなるのです。

上司とは「× 上下関係」「○ 相互関係」

そこで、「上司マネジメント」の発想が大切になってきます。やはり、会社で働いていると、「上司はえらい。部下は指示を受けて動かなければいけない」と、つい思ってしまいますよね。

もちろん、指示・命令に従うことは大切です。しかし、上司は企業にとって、ひとつのファンクションに過ぎません。会社全体として「売上げを上げる」「コストを下げる」「会社のミッションを達成する」ことが最も重要なのです。会社全体のために、上司を機能させるマネージャーのような視点を持ち、どんどん上司を動かしていくべきだと思います。

そのような思考をすれば、「上司はただ仕事を振ってくる相手ではなく、自分の仕事を応援してくれる人なんだ」と、考えられるようになるのです。

上手な上司マネジメントに必要なこと

そのうえで、上手に上司マネジメントをおこなうために、次の3つのポイントがあります。

1.  上司を理解する

相手を理解することなしに、良好な人間関係は構築できません。「上司マネジメント」においても、まずは、上司を理解することがスタートとなります。

そもそも何を重要視しているのか。数字を上げることを重要視しているのか、あるいは仕事をスムーズに進めることを重要視しているのか。それぞれの人にとって、大事にしていることがあるはずです。

そのようにして、上司をより深く知ることで、「この人はこういう動きをすれば理解してくれるし、満足するんだな」ということがわかります。

いずれにしても、「どういう性格なんだろう」「どういう考え方の癖があるんだろう」「苦手なところ、強いところはどこだろう」ということを、あらためて理解することが大切だと思います。

2.  説得材料として「数字」と「事例」を用意する

説得力のある議論を展開するには、「数字」と「事例」がベースとなります。きちんと数字をふまえた話ができること。そして、具体的な事例を提示できること。数字、事例を意識するだけで、説得力は10倍高まります。

また、目的や狙いをはっきりさせることも、理解を助けます。現場のWebの担当者の仕事は、専門知識を持った技術者のような側面があるため、施策ベースの考え方に偏って、目的や狙いの説明がおろそかになりがちです。

しかし、上司からしてみると、目的・狙いがあっていれば、「あとは任せるからやっておいてよ」と指示することもできる。ですので、「なんのためにやるのか」「なぜ必要だと思うのか」をしっかり説明できることが重要だと思います。

また、何をどのような順番でやっていくのか、スケジュールも含めて全体像を提示することも大切です。いわゆる「グランドマップ(全体地図)」ですね。

たとえば、予算が1000万円必要な施策であれば、いきなり「予算を1000万円ください」と言うのではなく、「最初の3ヶ月は100万円で●●の成果を目指します。その成果を見て、次の6ヶ月の継続判断をします」などと、段階的なアプローチをおこなうことが重要です。グランドマップを示すことで、計画的な提案できれば、上司の納得感も高まって予算も通りやすいはずです。

3. 粘り強さ

上司も人間です。新しいことをやろうとするとき、どうやって納得してもらうかと言うと、最後はやっぱり粘り強さなんですね。「そんなに言うんだったらやってみろよ」、と。多少はしつこいと思われるぐらいに上司にアプローチすることも必要です。

「こういう取り組みが必要だと思う」と繰り返し提示して、毎回宿題をもらって、その宿題に答えていけば、クリアできるはずです。

上司をうまくマネジメントできると、仕事のやりがいも変わってきます。企業においてひとりの人が担当できる仕事の範囲は、すごく狭いものです。しかし、上司や、上司の上司まで活用できれば、がぜん仕事の範囲は広くなる。営業部門に働きかけたり、商品開発に働きかけたりもできる。大切なのは「したたかな部下魂」です。結果として、会社のためになれば、上司は出世できますし、Win-Winですよね。

専門性の罠にはまらず、会社としてどう成果を上げるかを考えよう

デジタル・マーケティング部が陥りがちなのが、「どうせ言ってもわからないよね」となることです。つまり、説明責任を放棄してしまう。しかしそれは、自分の仕事のやりがいを放棄しているのと同義です。

しっかりと説明し、プラスアルファとして上司をマネジメントできれば、デジタル・マーケティングという領域でも、仕事がおもしろくなる。もともと最先端のことをしているわけですし、自分の仕事やスキルを理解してもらえれば、活躍の領域は無限です。

「上司はわかってくれない」、「会社がわかってくれない」と思っている人は、まず、「どうやったらわかってもらえるか」と、発想を変えて考えてみてほしいと思います。

自分が成果を出す必要があり、会社を動かさなければならないとした場合、実は、そのためのノウハウや情報は、すでに世の中にあります。「会社だからわかってくれない」と思うのではなく、「使いこなしてやれ。自分の活躍の材料にしてやれ」と思って付き合うぐらいがちょうどいいんじゃないかと思います。

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