2016年デジタルマーケティングを動かす6つのトレンド

デジタルマーケティング
デジタルマーケティングを取り巻く環境は急速に変化し、新しい動きが生まれています。2016年、消費者行動とマーケティング活動はどのような方向へ進んでいくのか、どのような動きに注目すべきか、マーケターが知っておくべき6つのトレンドをチェックしてみましょう。
目次
1. 消費者行動は、さらに「瞬時化」
いつでも片手にはスマホやタブレットがあり、常に「つながる」モバイル環境が生活の隅々にまで浸透し、消費者は、「この商品を買おう」「旅行の予約をしよう」などと、思い立った瞬間にすぐ行動を起こせるようになりました。
2015年7月にGoogleは、「マイクロモーメント」というキーワードを提唱しました。これは、消費者が何かを欲しい、知りたい、やりたいと思った「瞬間」に手元のスマホやタブレットなどで検索し、購入したり、行動に移したりする、新しい消費者行動を表す言葉です。このほかに、2015年3月に登場したTwitterのライブ動画配信アプリ「ペリスコープ」も、そんな「瞬時」の欲求を捉えたサービスです。米国では、登場から4ヶ月で1000万人を突破しました。
2. ソーシャルメディアの「購入ボタン」で変わる新しいEコマース
SNSユーザーが、リンクや広告を通して購入サイトへ飛ぶのではなく、自分のフィードを離れることなく商品を購入できる「購入ボタン」の導入が、新しいEコマースの可能性を広げています。
2015年には、Pinterestが6月から米国で、Eコマース用の購入ボタンである「Buyable Pin」の提供を開始。Twitterも試験期間を経て、9月より米国内で「Buy」ボタンの本格的運用を始めました。そのほかに、Instagramがフィード上の広告への「購入ボタン」導入を米国に続き日本国内でも開始し、Facebookも2015年10月から日本国内で「購入ボタン」のテストを開始しています。
ユーザーの興味と購入オプションが直結することで、購入までの意思決定が早まったり、促されたりすることが期待できます。特に中小企業にとっては、SNSという多くの新しい顧客と接触できる場で販売が可能になることは、大きなビジネスチャンスとなります。
2016年には、日本のSNS利用者数が6870万人を超えると予測されているなか、SNSとEコマースの融合は、消費者の購買に至るまでの行動に変化をもたらします。マーケティングのアプローチ法にも再考が求められるようになるでしょう。
3. 動画広告が進化をとげ、ますます重要に
米国ではすでに動画広告が企業の規模を問わずマーケティングに利用されるまでに発展していますが、日本でも動画広告市場は急速に拡大しており、2017年までに880億円市場に成長すると予測されています。
Facebookでも動画広告の配信を開始、毎月10億人を超える利用者を持つYouTubeでも、動画広告や動画キャンペーンの展開例が年々増加し、企業のマーケティングプラットフォームとしての価値を高めているようです。
また、新しい動画広告の形態として、2015年7月よりGoogleがYouTubeでの360度動画広告をスタート。PCのマウスで視野を変えたり、「Google Cardboard」をセットしたモバイル端末を使用して視野を変えたい方向に頭を傾けたりすると、360度のパノラマ動画が視聴できます。標準的なインストリーム動画広告よりビュースルーレート(広告表示からコンバージョンに至った確率)が36%高いことが確認されており、顧客とのエンゲージメントを高める手段として注目されています。
さらにGoogleでは、検索画面に動画広告を挿入するサービスをテスト中とのこと。BingとYahoo!でも同様に、検索と動画広告の融合を進めています。幅広い消費者層が接触する検索画面に動画広告が登場することで、その受容度が著しく上がり、動画広告のさらなる需要が高まることが予測されます。
4. AIの進化で情報が向こうからやってくる
Googleの「Google now」やAppleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」に続き、Facebookもパーソナルアシスタント「M」のテストを2015年8月から開始しました。現段階のパーソナルアシスタントは、人工知能(AI)を使い、ユーザーの音声やテキストによる質問への自動応答や、音声からのテキスト作成の機能など、簡単な作業の効率化ができるレベルです。
今後は「欲しいものを伝えておけば購入してくれる」「秘書のようにスケジュール管理をしてくれる」「行き先を伝えれば、自動的に道案内してくれる」「要望を察知し、先回りして手配する」など、誰もが優秀な秘書ロボットを手に入れるSF映画のような世界が現実のものとなる日も遠くないようです。
現在では、私たちはPCやスマホを介し自分で情報を探しに行きますが、パーソナルアシスタントが欲しい情報を欲しい時に用意してくれるようになると、人とデバイスとの関わり方が根本から変わることになります。このメガトレンドは着実に現実に近づいており、2016年はその元年となると言えるでしょう。
5. バーチャルリアリティの新時代がマーケティングとカスタマーエクスペリエンスを変える?
2016年に登場するバーチャルリアリティ(VR)用ゴーグル「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」は、まったく新しいデジタル広告の到来を告げるものだと注目されています。本商品はゲーム用に開発されたヘッドマウントディスプレイで、360度の動画をVRとして実体感できるもので、スマホとの接続も可能です。
2014年にOculusを買収したFacebookは、VRのマーケティングへの活用法について具体的な発言は避けていますが、VRを広告に活用していく可能性を視野に入れており、ユーザーにとってはこれまでにないカスタマーエクスペリエンスとなるでしょう。
現在、大手広告主の参入が囁かれていますが、マーケターにとってVRコンテンツ作成は新たな挑戦となります。Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、かつてのスマホのように、最初はゆっくりとであっても、VRは普及すると予測しています。
6. ウェアラブルデバイスと「モノのインターネット(IoT)」がさらに進化
あらゆるモノがインターネットにつながり、新しい価値を創出するのが「モノのインターネット(IoT)」であり、新しいビジネス創出の場として、近年大きな期待が寄せられています。スマートグラスやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスもIoTの一部であり、これらによってオムニチャンネルがさらに広がりました。
将来的には、家電製品のディスプレイもマーケティングのオムニチャンネル化するとみられています。スマートハウス、スマート家電やスマホと連動したIoTにより、ネット上だけでなく、日常生活のデータがリアルタイムで収集できるようになり、サービスや広告のパーソナライズ化はさらに進むことが予測されます。
まとめ
モバイル環境の急速な進化とそれに伴う消費者の行動の変化に対応するには、常に先を見据えたマーケティング戦略が必要です。トレンドを意識しつつ、自社にとって最適なマーケティングコンテンツを作成できるよう、目的や手法の設定、投資についての検討を行っていくことが重要でしょう。
参考:
The top 7 online marketing trends that will dominate 2016 | Forbes
The Top 7 Social Media Marketing Trends That Will Dominate 2016 | Forbes
Micro-Moment Learn about this new consumer behavior , and what it means for brands | thinkwithgoogle
Twitter’s Periscope livestreaming app gets 10 million users in first four months | Indipendent
Buy buy buy: Why all of your favorite social networks want you to shop now|Mashable
Twitter Expands ‘Buy’ Buttons To Bigcommerce, Demandware, Shopify… And Best Buy | Techcrunch.com
「インスタグラム」 広告展開を強化、”購入ボタン”の設置も可能に|通販新聞
Facebook for business 日本でもモバイルECの新機能をテストへ | Facebook
Facebook、メッセンジャーの中にいるパーソナルアシスタント「M」のテスト開始|ITmediaニュース
Are Video Ads Coming To Google Search Results? | Forbes
Facebook’s peddling virtual reality to ad buyers | DIGIDAY.com
人気記事