「個人のメディア化」で情報拡散。NYタイムズスクエアの一角で行われたコンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティング

こんにちは。ニューヨーク在住ライターの廣田恵です。

年末にFacebookが発表した2015年のチェックインスポットのランキングによると、ニューヨークのタイムズスクエアが世界で3番目に多くチェックインされた場所だったそうです。ちなみに、第1位はディズニーリゾートで、第2位はユニバーサルスタジオ。上位2位が世界に複数存在するテーマパークへのチェックイン数の総計であることを考えると、ニューヨークの一角に過ぎないタイムズスクエアが第3位という結果には驚かされます。

タイムズスクエアと言えば、世界中の企業の広告であふれる華やかな繁華街。巨大ディスプレイやネオンサイン、電光掲示板が絶えず企業の広告塔となり、各社の激しい生存競争を象徴しているような場所です。

筆者が年明けに友人とタイムズスクエアを訪れたとき、一際目を引く手法で自社の宣伝をしている企業に引きつけられてしまいました。今回はその内容をご紹介したいと思います。

あなたの似顔絵、無料で描きます〜コンテンツでの集客〜

お昼過ぎにタイムズスクエアを立ち寄ってみると、路面に設置されたホワイトボードの前に並ぶ観光客の行列を見かけました。巨大なホワイトボードには似顔絵がずらり。そして行列の先頭では似顔絵師がせっせと似顔絵を描いています。観光客が道端で似顔絵を描いてもらっている光景はよく見かけますが、どうやらそれとは少し違うみたいです。

気になって様子をうかがっていると、スタッフの女性がにこやかに話しかけてきました。「よかったらあなたたちも参加していかない? 無料だし、いまなら待ち時間も10分弱よ」

特に予定もなかった私たちは、こうしてイベントに参加することになりました。あとから振り返ると、似顔絵という「コンテンツ」が、タイムズスクエアの数ある広告の中から私たちの関心を見事に引いた瞬間でした。

今年の抱負は何ですか?〜潜在顧客の開拓〜

列に並んでいると、1枚の葉書サイズのカードを渡されました。「似顔絵とともに、ホワイトボードに今年の抱負を書いてみて? すぐに思いつかなくても大丈夫。ここにひな型があるから」

渡されたカードを見てみると、そこには新年の抱負にふさわしい言葉が並んでいます。「新しい場所へ旅行する」「異文化を体験してみる」「外国語を習得する」などなど。しかも、それらの抱負が英語だけではなく、フランス語やスペイン語、中国語でも表示されています。

この時、イベントの主催者が語学関連の企業だとようやく察しました。カードに一通り目を通すと、筆者の予想は的中。彼らはLiving Languageという会社で、オンラインの語学講座を提供しているとのこと。企業の名前は聞いた事がないけれど、ちょっと面白そうではあります。

改めて列に並んでいる人々を眺めると、そのほとんどが観光客。非日常的な刺激を求めて旅をしているバックパッカー、活気あふれるニューヨークでの休暇を楽しんでいる家族、慣れない英語で苦労していそうな外国人旅行者。みんな潜在的に語学の習得に興味を持っていそうです。

タイムズスクエアでの体験が全世界へ〜シェアによる情報拡散〜

そうこうしているうちに順番が回ってきて、似顔絵師が慣れた手つきで私たちの似顔絵を描いてくれました。最後に今年の抱負も書いてもらい、ここまでわずか5分程度。

「この似顔絵の前で記念撮影してもいいですか?」と聞くと、似顔絵師は快く私たちの写真を撮ってくれました。そこへ先ほどの女性がやってきて言います。「写真をTwitterやFacebookで投稿するなら、うちの会社の名前をハッシュタグに付けるといいよ。抽選で1年間の無料体験を提供しているから」

私は「この会社に一本取られたな」と思いつつも、悪い気はしませんでした。1年の始まりに抱負とともに似顔絵を描いてもらい、素敵な思い出ができましたから。

個人のメディア化で情報は全世界へ

「個人のメディア化」とは、ユーザーがTwitterやFacebookなどを通して商品やサービスなどの情報を発信することを指します。今回ご紹介したLiving Languageはタイムズスクエアで観光客の似顔絵を描くことによって、「この体験を知人にも伝えたい」と人々に思わせ、自社の宣伝に成功しています。

メディアとなった個人を通して成功を収めた企業は他にもあります。その有名な事例のひとつは、コカ・コーラが2014年に世界で販売した「ネームボトル」でしょう。自分の名前がプリントされたボトルを見つけた顧客は、その喜びをソーシャルネットワークでシェアし、結果的にそれが商品の宣伝となり、その年のコカ・コーラの売り上げに大きく貢献しました。

個人がメディアとなって発信する情報は、企業が発信する宣伝よりも信用されやすく広まりやすいという特徴がありますが、今回のLiving Languageのケースでは次の3点がとくに優れています。

  1. 旅の思い出としての似顔絵と、新年の抱負という年始ならではの切り口で集客していること
  2. 自社のサービスに興味を持ちそうな旅行者などをターゲットに、自社の存在を自然に認知させていること
  3. 「特別な体験をシェアしたい」という個人を通して、企業の名前を全世界に拡散させていること

ユーザーの力を借りるのも手

世界各地からの移民や旅行者が集うニューヨークには、語学関連のビジネスが星の数ほどあります。そのなかで自社の認知度を高める試みとしてのLiving Languageの宣伝は非常にインパクトがありました。ユーザーに情報を発信させるために企業がその環境を作るというのも、数あるコンテンツマーケティングのひとつの手法なのですね。

イノーバは弊社のお客様がコンテンツマーケティングの導入事例をホームページで紹介しています。これらの成功事例が貴社のマーケティングのヒントとなれば幸いです。


参考:

➢     Would you brag about these locations? Facebook reveals its top 20 most checked-in places of 2015|Daily Mail

➢     10 User Generated Content Campaigns That Actually Worked|Hubspot

How user generated content is changing content marketing|Econsultancy