アジアへの海外展開は今がラストチャンス。ポスト・オリンピックを乗り切るには

デジタルマーケティング

こんにちは、イノーバ代表の宗像です。

最近僕がすごく課題意識を持っているのが「ポスト・オリンピック」です。日本は大変幸運なことにオリンピックの誘致に成功して、2020年に向けて関連ビジネスを盛り上げていこうとしています。しかし問題なのは、観光やアジアからのインバウンドなどオリンピックに向けた盛り上がりのなかで、日本が抱える最も大きな課題である少子化が見逃されていることなのです。

今後日本は毎年0.5%の割合で人口が減っていくと予測されています。これはもはや、「人口減少」ではなく「人口消滅」です。過去の歴史を見ても、人口が減っていく国は、例外なく衰退するんです。

この人口減少をどう止めるか。すべきことは規制緩和と移民受け入れの二本柱ですが、利害が交錯するので、なかなかすぐには実現しません。

しかも毎年0.5%減となると、「ゆるやかな死」というよりは「急激な死」に向かっていることになります。

市場が縮小するなかで企業はどう対応するべきか

僕のビジネス経験から言うと、市場が伸びていかないと、本当に厳しい。市場が縮みはじめると、新規の売り上げが見込めないので、競合から奪うしかなくなります。

競合からシェアを奪うには価格競争しかありません。しかし、価格競争をすると、結果的に誰も儲からないビジネスになり、1社、2社と潰れていきます。存続をかけた我慢くらべの戦いになっていくのです。

競合にない独自のコスト優位性、あるいは付加価値など、価格競争を避けられるほどの圧倒的な差別化があればいいですが、たいていの会社はそうではありません。そうすると、価格競争は避けられない。結果として、雇用を維持するのも難しくなります。

アメリカでは市場資本主義が徹底されていますから、ライバルと合併して規模の経済で効率化を図ろうという話になるわけですが、サラリーマン経営の日本社会では、なかなかそういう思い切った舵取りができません。

では、どうやってこの縮小する市場で生き延びるか。事業成長の活路を見出すのか。そういった観点から考えることが重要だと思います。

アジアを中心とした海外展開という解決策

そうしたときに、日本の企業がしなくてはいけないのは「海外展開」です。

これまで、海外展開のハードルになっていたのは、知らない市場に参入してビジネスを展開することの難しさ。しかし、ここを乗り越えられる素地がだんだんできてきていると思います。

実は日本は世界の成長エンジンであるアジア市場に極めて近いです。逆にアメリカ、ヨーロッパの企業がアジアに参入しようと思うと、地理的な問題や心理的な問題もあってなかなか難しいんですよ。

日本はアジアと地理的に近い。格安ジェットが整備され、ますます近くなっています。そして多くの日本企業が既にアジアへと進出し、溶け込んでいるのもメリットです。

これまでのアジアは、コストの安い製造拠点として、途上国の人件費を安く使うという観点でした。しかし今後は、アジアそのものが市場になります。消費もするし、自国の産業も立ち上げる。高度成長期の日本に起こったことがアジアで起こるのです。

そういった背景から、今後、日本企業のアジアシフトは進むでしょう。

進むアジアの“EU化”

僕は、今後アジアはEUのように関税障壁が引き下げられ、ヒト、モノ、カネが行き来する単一市場へと進化していくと見ています。

TPPのような経済圏を作る活動も進んでいます。これからは、規制や関税をどんどん撤廃し、域内貿易を増やしていくと考えられます。そうなると、ヒトもモノも情報も、行き来が自由になる。巨大な市場が生まれるわけです。

アジアに出るなら、いまが最後のチャンスです。あとから行ったら成長に乗り遅れる可能性もあります。いま2020年のオリンピックに向けてビジネスを考えている人は多いですよね。ただ、オリンピックは一過性のイベントなので、もちろん観光は増えるでしょうが、所詮は観光でしかないので、経済への波及効果は限定的だと思っています。

ですから、目先のブームに惑わされるのではなく、より本質的に、どこに成長の機会を見出すかが大事です。そのときに、アジアの成長産業をそれこそオール・ジャパンで、日本企業が協力してとりにいくべきだと思います。

ネットファーストでアジアを攻める

まずは、ネットファーストでのアジア参入を考えてみることです。

かつての海外進出は、まず現地に駐在員事務所を作り、市場調査をして、それから支社を作っていました。やがてオフィスも借り、人材も雇い、段階的に大きくしていくという話でしたが、そんなスピード感では間に合いません。

ネットファーストで、Webは多言語化する。現地の人に向けたマーケティング活動を、日本を拠点にして行う。そこでビジネスが生まれれば、出張ベースで行って商談をしてもいいし、現地の代理店をつかまえてもいい。とにかく現地に拠点を開いて人を雇ってという手法より、よほど意味があると思います。

一般の人が認識している以上に、インターネットの世界はグローバル化が進んでいます。まず検索エンジンで言うと、Googleが世界のシェアの89.26%(2015年8月時点)。世界のシェアの9割ほどを握っています。FacebookもTwitterもグローバル・プラットフォームですし、LinkedInもビジネスの世界であればかなりカバー率が高い。

ネイティブアドという世界だと、「Outbrain」や「Taboola」というグローバルのネット広告を配信できる仕組みがあります。

こうしたかたちで、ネット上は完全に国境がなくなりつつある。言語の壁もほぼなくなってきている。そういうなかで、ネットファーストで、最初から多言語展開・多拠点展開をにらんでマーケティングをすれば、すごくチャンスがあるし、これからは欠かせなくなると思います。

言葉の壁を乗り越えた先にあるもの

そもそもアメリカなどの英語圏では、あまりグローバル化への意識がありません。「英語でリリースすれば、イギリスにも展開できるし、オーストラリアにも展開できる」という感じなわけです。

その意味で、多言語でデジタルファーストのマーケティングをすることは重要ですし、事例も徐々に出はじめている。

言語の壁に関して言うと、翻訳についてはさまざまなベンチャーがどんどん壁を突き崩していっています。Google自体も投資しているので、そこはたぶんなくなると思います。

画像や動画という非言語のコミュニケーションに関して言うと、本当にたやすく国境を越える、言語を越えられることは実証済みです。

たとえば日本のアニメ・コンテンツが、なぜこれだけ世界中で受けているかというと、YouTubeというグローバル・プラットフォームで、最初は違法なアップロードですが、みんなが見る。そのうち誰かが勝手に翻訳をして見る。そうするとやはりおもしろいということで、世界中にオーディエンスができるという話になるわけです。

それで「こういうやり方をすれば、お客さんが来るんだな」、「英語でコンテンツを作ったらこういう流入があるんだな」、「こういう会社から問い合わせがある」、「英語のリスティング広告はこうやって回せばいいんだな」みたいなノウハウを少しずつためればいい。

それこそ日本に来ているアメリカ人に頼んでもいいと思います。うちも、そのあたりをサービス化して、グローバルを視野に入れたコンテンツマーケティングを行うつもりです。

未来に負債を残さないため

僕らは、今まで上の世代が築き上げてきたものを享受している世代だと思います。戦争で負けてあれだけ焼け野原になったところを、我々の祖父母や両親の世代がものすごい臥薪嘗胆の思いで努力をして、豊かな国にしたわけです。

ただ、過去20年、30年でなにが起こっているかというと、日本国としての巨額の負債を抱えていて、それを次の世代につけ回そうとしているわけです。自分たちの息子、娘あるいは孫が、悲惨な思いをするんです。そんなことをしていいのでしょうか。

人間も動物の一種で、本能は子孫を残すことです。子孫を残さないような行動をしている現状はつまり、動物としての本能に反することをやっているんです。だから早く悔い改めないといけません。

万策尽きて、これ以上は成長できないとなったとき、本当の人口減少がはじまると思います。長い歴史のなかで、ときどき人口減少は起こるんです。それはつらく厳しいですが、みんなで価値観を変えて、なんとか生き延びるしかない。

成長をしないと、さまざまなひずみが出ます。今後は海外市場への進出を、本格的に考えるべきではないでしょうか。