SNSに投稿する商品写真のトンマナ統一のコツ

デジタルマーケティング
多くの有名ファッションブランドやコスメブランドが、こぞってInstagramやFacebookをはじめとするSNSをマーケティングに活用しています。美しい商品写真が魅力的なコンテンツとなって、何百万人ものフォロワーを集める企業も。
また、スマホからでも投稿できて手軽なことから、限られた社内リソースやマーケティング予算でもスモールスタートできます。しかし、社内に写真撮影やブランディングのノウハウがないと、マーケティングの効果が十分発揮できないことも。ここでは、SNSに投稿する写真のブランディング効果を上げるための、写真のトンマナ統一の方法をご紹介します。
目次
ブランディングにおいてトンマナ統一は必須
トンマナとは、「トーン&マナー」の略称で、広告写真や雑誌の文章における文体やデザインの一貫性を意味します。トンマナを統一することで、瞬時にどの企業の商品かを理解させます。
SNSマーケティングにおいてもトンマナ統一は重要です。各ブランドのInstagramを参考にしてみると、トンマナの重要性がわかります。
Tiffany & Co.のInstagramでは、デザイナーのスナップや商品のクロースアップ写真に混じって、ティファニーブルーを背景や添景に入れたイメージ写真が定期的に出てきます。写真の一覧を見ると、ティファニーブルーが一定間隔で表示され、すぐにTiffany & Co.だと認識できます。
(2015年11月18日時点)
Coca-ColaのInstagramでは赤が印象的な写真やイラストの比率が多いです。
(2015年11月18日時点)
LUMINEの公式Instagramでは、特定の色が用いられているわけではありませんが、全身コーディネートの構図が記号として機能しています。
(2015年11月18日時点)
社内に専門のデザイナーがいたり、プロに外注できたりすればベストですが、社内リソースだけでも、トンマナを統一させることはある程度できます。
ここでは、社内リソースだけでSNSマーケティングをスタートするときの、トンマナ統一の準備についてご紹介します。
やるべきことは以下の2つです。
- 品質管理責任者の設置
- ガイドラインの作成と共有
1.品質管理責任者をひとりに決める
社内でSNSの運用をする場合、写真撮影を社内の複数人が兼務で担当することもあると思います。しかし、人それぞれ色の見え方が微妙に異なるため、複数人が写真を撮ると、トンマナがブレます。そのため、写真の最終チェックと色補正をする品質管理責任者をひとりに決めておきましょう。専任であれば「アートディレクター」などと呼ばれるポジションですね。最終的に写真の品質を確認する責任者を明確に設置することで、写真のブレが少なくなり、商品イメージを統一させられます。
社内にデザイナーがいるのならその方にまかせればよいですが、社内にデザイナーがいなくても問題ありません。「ブレをなくして統一感を出す」ことが目的ですので、重要なのは知識やセンスというよりも、とにかく一人に決めてしまうということ。デザインセンスにこだわりすぎると人選が難しくなります。(もちろん、知識やセンスが伴っている方がベターであることは言うまでもありませんが。)
2.コンセプトをガイドラインにまとめて共有する
コンセプトが決まっていないと、統一感のある写真は撮れません。
上記で決めたアートディレクターが専門デザイナーでない場合はなおさらです。
そこで重要なのが、あらかじめコンセプトを決めておき、社内で共有できるガイドライン資料に落とし込んでおくこと。
コンセプトの概要は、A4用紙数枚程度でも大丈夫です。
最低限、以下の項目を設定しておきましょう。
メッセージ
写真で伝えるべきメッセージを決めます。「このブランドはどういうイメージを持っているのか」「ユーザーに対してどう思ってもらいたいのか」を決めておくことで、写真のメッセージ性を統一することができます。
このときメッセージとして打ち出すべきは、「そのブランドの商品を持つことで、ユーザーの感情が
・力強くイキイキとしたイメージを持たせたい……コントラストを強めにし、彩度も少し高めにする
・かわいらしく、やさしいイメージにしたい……少し弱めのコントラストで、明るく、ハイキーな写真にする
など、写真で伝えるメッセージを決めると、それにともなってどのようなトンマナで伝えるべきか決まってくるでしょう。
メッセージはひとつのみでなくても構いません。まずはブランドをユーザーにどのように認知してもらいたいのか、洗い出してみましょう。
撮影場所
光源が異なる環境で撮影した写真を、あとから補正によって統一させるのは手間がかかります。撮影場所はある程度決定しておくとよいでしょう。
構図
配置を統一させることもトンマナ統一のために重要です。商品ごとに背景を変えるのもいいですが、ブランドごと、種類ごと、または特性ごとに分類したほうが、統一感がでるでしょう。
余白もまた記号になります。基本的な撮り方としては、商品を中心に置いて撮影すること。画面いっぱいに撮影してしまうと、商品がはみ出してしまう場合があります。中途半端に商品が切れていたりすると、印象はあまり良くないでしょう。
背景
背景は白無地なのか、使用場面はどのような場所か、どのような添景を入れるのか、入れないのかなど、あらかじめ設定しておきましょう。
加工用のアプリの種類
専用のアプリを使うことによって、簡単に色調や明るさを調整できます。iPhoneでもAndroidでも同じアプリを使用し、同じフィルタを使用すれば、それぞれの写真の差は少なくなります。あらかじめ補正のルールを決めておきましょう。
カメラの機種
撮影に使用するカメラは、あらかじめ機種を決めておくのがベターです。デジカメでも、スマホでも、機種によって違いがあります。
サンプル写真
文字情報だけで伝えきれませんので、サンプル写真も必ず用意しておきましょう。この際、OKのパターンとNGのパターンとがあると、分かりやすくて良いでしょう。
資料としてまとめることで、継続的にコンセプトに沿った写真を撮れるようになります。
商品写真は「記号」。トンマナを統一させて効果的なマーケティングを
企業が発信する写真は「記号」と理解するべきです。
もし、その記号が統一されていれば、写真を見るだけで、どの企業の商品か理解してもらえるようになります。標識のように、見ただけでその意味がパッとわかるようなものが理想です。
コカ・コーラはかつて「暗闇で触ってもすぐにコカ・コーラとわかるような形」にこだわってあの特徴的なボトル形状を採用したというのは有名な話です。イメージが統一されていないと、記号として認識されず、いつまで経っても覚えてもらえません。
商品写真のトンマナを統一し、消費者から瞬時に認識される写真を撮影すること。そうすれば、SNSによるPR効果は、より高まりますし、事前にルールを決めて管理すれば、社内のリソースだけでも運用可能です。ぜひ取り組んでみてください。
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