マーケティングオートメーションの現状動向と、DMPで進化するコンテンツマーケティング【MarkeZineDay 2015 Spring レポート#1】

コンテンツマーケティング
皆さんこんにちは。イノーバマーケティング部の亀山です。
3月17日(火)に開催された翔泳社主催マーケティングイベント「MarkeZine Day 2015 Spring (マーケジンデー)」に参加してきました。
技術の進歩や新手法の登場など、変化の激しいデジタルマーケティング業界。その時々の時流を色濃く反映した同イベントは、今後のトレンドを占う上でも非常に参考になります。弊社イノーバも登壇した、当日の各セッションの模様を、2回にわけてお届けします。
- 【A-1】マーケティングオートメーションの現状動向と今後の見通し
- 【C-3】コンテンツマーケティング×DMPでひらく新たなオウンドメディア戦略
- 【C-4】アナリティクスとDMPが支えるこれからのUX改善
後半セッションは第2回レポートで公開中
【A-5】 The Future of Marketing 2015 - One to One カスタマージャーニーから見えてくるマーケティングの未来
【B-6】 オムニチャネル、本当のところ実践できてますか? ~ソーシャルCRMからECまで、オンラインとオフラインをつなげるオムニチャネル戦略
【A-1】マーケティングオートメーションの現状動向と今後の見通し

イベントのオープニングを飾ったセッションのテーマは「マーケティングオートメーション」。昨年頃より国内でも認知が高まり、この考え方をうたったツールなども登場し盛り上がりを見せている分野ですが、まだその守備範囲や定義が定まっておらず、各ツールベンダー独自の解釈、定義が氾濫している印象があります。
同セッションでは、マーケティングオートメーションツールを提供する3社が、ベンダーサイドから見たマーケットの状況と課題、今後の展望などを語りました。以下にポイントをまとめます。
ツールベンダーから見たマーケティングオートメーション市場の現状
- 具体的なニーズが出てきている
- 現状ニーズには主に3つのポイントがある
- 代理店に販売を依存していた事業者が直販へのシフトを志向。顧客と直接繋がりたがっている。
- メール以外のチャネルへ顧客接点を拡大したがっている。LINEやスマホアプリへの通知配信など。
- オートメーション(自動化)による省力化ではなく、深掘り。顧客データをより深く、精緻に収集・分析することで真の1to1コミュニケーションを実現したがっている。
課題と解決のポイント
- 主な課題は人材と組織体制
- 新しい手法なのでそもそも市場に経験者がいない。ユーザーとベンダーが一緒に育っている姿勢が必要。
- ファネル、もしくはバリューチェーンの考え方で見ていく必要がある。部分効率を積み重ねてもどこかにボトルネックが出来てしまえば全体最適(売上向上)にはつながらない。マーケティング活動の担当部署が細分化されているとおこりがち。バリューチェーン全体を俯瞰できる仕組みと人材が必要。
- 広告、Web、営業、カスタマーサポートなど、別々の部署が別々に行っていたアクションを統合しなければならない。「Center of Excellence」(企業や企業グループなどで部門横断的取り組みを継続して行う際に、その活動にかかわる人材やノウハウ、ツールなどを結集した組織やグループ)という考え方がヒント。クライアント側でも部門横断的にデジタルマーケティングを横串でマネジメントしていく必要がある。
- 1to1コミュニケーション実現のテーマは「お客様を知ること」
- これがないと、折角1to1のマーケティングオートメーションツールを導入しても結局全員に同じキャンペーンを打つようなことになってしまう。
今後の展望
- デジタルプラットフォームが出来て情報が取れるようになったことで、キャンペーンを打つ時のトリガーが、打ち手視点ではなく受け手視点にかわった。顧客の行動に応じて、メッセージを発信する。「顧客」から「個客」へ。
- 「デジタルマーケティング」の領域が広くなっている。オンラインだけじゃなくなっている。オフラインも含めてどう顧客体験(Experience)をデザインしていけるか。Chief Experience Officerの登場。
【C-3】コンテンツマーケティング×DMPでひらく新たなオウンドメディア戦略
<登壇者>
株式会社イノーバ 代表取締役社長 宗像 淳
トライアックス株式会社 代表取締役 植山 浩介
今回イノーバは、プライベートDMPを自社開発しているトライアックス株式会社と共同での出展。コンテンツマーケティングとDMPを組み合わせることで、1to1コミュニケーションに向かってより進化するコンテンツマーケティングのあるべき姿をお伝えしました。
セッションアジェンダ
- コンテンツマーケティングについておさらいと、普及の背景
- コンテンツマーケティングに関する誤解
- コンテンツショックによる「コンテンツマーケティングの死」はやってくるのか?
- コンテンツマーケティングのあるべき姿と事例
- 顧客を知り、一人ひとりと1to1でつながるために。プライベートDMPというアプローチ。
- DMPとは?
- DMPで進化するカスタマージャーニー
- 事例
【C-4】アナリティクスとDMPが支えるこれからのUX改善
<登壇者>
アドビ システムズ 株式会社 シニアコンサルタント 小栗 順平 氏
続いてのセッションでは、Adobeの小栗氏よりユーザーデータを活用したサイトUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善について。
グローバルでは51%の企業がなんらかの形でABテストを意思決定に取り入れており、またCVRが高い企業ほどABテストを業務に取り入れているという調査結果もあるといいます。また、業績上位20%の企業の内70%が、マーケティング予算の5%以上をUXの最適化に投資しているそうです。
従来の単純なA/Bテストによる場当たり的な改善ではなくユーザーデータの収集〜分析〜ターゲティング〜クリエイティブ改善という一連のプロセスがシームレスに繋がる環境の構築が重要という内容でした。以下、ポイントをまとめてお伝えします。
キーポイント
- UX改善のプランニングは、いかの割合で注力すべき
- ターゲティング:40
- オファー内容:40
- クリエイティブ:20
- ABテストで効果をあげていくためにしっかり分析もできる環境を
- セグメンテーション、パーソナライゼーションを考えることが重要
- パーソナライズのためには、DMPを活用することで行動データレベルからユーザープロフィールを形成するべき
- セグメント→ターゲティングへのシームレスな実行が可能な環境が、改善スピードを加速する
- Interest, Status, Stage, Location/Timeの軸でセグメントを考える
- サイト外も含めたカスタマーエクスペリエンスの最適化を目指すべき
Adobeでは、同社サービスに興味があってコーポレートサイトに訪れるニーズ顕在層以外からのマーケティングデータ収集に、CMO.comというオウンドメディアを活用しているそうです。このサイトでは、Adobeのサービスの利用有無に関わらず、広くマーケティングニュースに興味のあるユーザーを集め、その情報を収集しているとのことでした。
所感
ネットの浸透、モバイルデバイスの普及により、顧客とのタッチポイントが増加し、同時にユーザーの行動情報(位置情報、購買情報、閲覧情報等)をリアルタイムに収集することができるようになりました。また、それらを統合するプライベートDMPのような技術も成熟してきました。これにより、企業は顧客一人ひとりとつながることによる顧客体験価値の最大化を求め、そのために今まで以上に「顧客を知る」ことに注力しはじめていると感じました。言葉としては使い古された感のある「パーソナライゼーション」や「1to1コミュニケーション」という言葉ですが、ようやく本当の意味で実現できる基盤ができつつあります。
第2回レポートでは後半セッションの様子をお伝えします。
記事執筆:(株)イノーバ。イノーバでは、コンテンツマーケティングのノウハウを詰め込んだ無料のebookや事例集をご提供しています。ダウンロードはこちらからどうぞ→https://innova-jp.com/library/
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